「無職転生~異世界行ったら本気だす~」には、この物語のカギとなる人物が何人か登場します。
しかし、カギとなる人物が、目立つキャラクターだとは限りません。
その代表的な人物といえば、「ギース」でしょう。
彼は剣術も魔術も使えない冒険者ですが、そのランクは「S級」です。
戦闘力のない彼が、どうしてS級という高いランクの冒険者になれたのでしょうか。
それには、いくつかの理由がありました。
また、ギースの過去やヒトガミとのつながりについて衝撃的な事実が明らかにされ、ファンの間でも話題になりました。
今回は、地味だけど実は無職転生の「キーマン」だったキャラクター、「ギース」について詳しくご紹介していきましょう。
【無職転生】ギースのプロフィールは??(小説Ver)
彼の本名は、「ギース・ヌーカディア」。
魔族ヌカ族の最後の生き残りです。
お酒とギャンブルが大好きで、いい加減なところもありますが、世話好きで頼りになる性格でもあります。
容姿は特徴的で、ヌカ族らしく顔はサル顔。
髪形は短髪で、いかにも「遊び人」といった雰囲気のキャラクターです。
服装は全体的に黒っぽく、関節各所だけに皮のプロテクターが付いています。
ケンカなどの殴り合いには弱いため、戦闘能力はありません。
もともと、ヌカ族の村長の息子として何不自由なく暮らしていましたが、平穏な日々に飽きて冒険者になりました。
【無職転生】ギースは元黒狼の牙のメンバー!!何を担当していた??(小説Ver)
ギースは、パウロが率いた冒険者パーティ「黒狼の牙」の元メンバーです。
シーフというポジションでしたが、主に雑用係を担当していました。
情報を集めたり、冒険の進行方向を設定したりと、その仕事は多岐にわたります。
雑用業務の中には、カギが掛かっている物の解錠や罠を発見する仕事、テントの設営や商人との交渉もあり、冒険者パーティの中では、1番大変な役割を担っていました。
それらをそつなくこなすギースは、「優秀な雑用係」といっても過言ではありません。
シーフを担当する人物は、字が読めて頭が良く、商家の出が多いといわれています。
その仕事ぶりを見れば、いかにギースが切れ者か、わかるのではないでしょうか。
また、ギースは料理の腕前がプロ級で、野草や木の実などから香辛料を作り出すほどです。
冒険者仲間だったゼニスにも、過去に料理を教えていました。
それが原因かは明確な答えは明らかにされていませんが、パウロとゼニスが結ばれたのは、どうやら、ギースが教えた料理がきっかけになっているようです。
つまり、ゼニスはパウロの胃袋を掴んだということになります。
その結果、パーティが解散し、ギースも冒険者を廃業していることから、彼にとって人に料理を教えるということはジンクスとなっているため、以降人に料理を教えることはしていません。
また、ギースはパーティのお金でギャンブルをすることもありましたが、賭け事の才能があり、増やしてくることが多かったようです。
パーティのお金が少ないときは、ちゃんと自重もしていました。
そのためか、パーティではギースの行動について大目に見ていたようです。
「黒狼の牙」が解散した後は、他の冒険者からの誘いはなく、冒険者を辞めてギャンブラーとして生活をしていたようです。
【無職転生】ギースとルーデウスの衝撃の出会いとは??(小説Ver)
ドルディア族の村の牢屋で、ギースはルーデウスと出会いました。
冤罪で捕まっていたルーデウスのところに、別の罪で捕まったギースがやってきます。
ギャンブルで、イカサマがばれたのです。
しかし、ギースが捕まった理由には、ある真実が隠されていました。
フィットア領消失事件の際、ギースは森を中心に被災者を探していました。
そして、ドルディア族の村に子供が捕まっていると知り、その子を助けるためにワザと捕まったのです。
実はこの行動、すべてヒトガミの助言だったことが、のちに明かされています。
ギースが牢屋に入ったとき、ルーデウスを見てパウロの子供だと一瞬で気づいたのはこれが理由です。
牢屋の中では、ルーデウスに「新入り」と呼ばれ、彼の背中を掻いたり肩をもんだりと、まるでメイドのようにギースは使われていましたが、全部ルーデウスに怪しまれないようにするための行動でした。
ですが、裸だったルーデウスにベストをあげるなど、ギースの優しい一面も見せています。
その後2人は開放され、ドルディアの村からミリスに向かうルーデウスたちに、ギースは同行しました。
ちなみに、ミリスに同行する際、ギースはルイジェルドに会いましたが、実は30年前にも1度2人は会っています。
ギースが駆け出しの冒険者だったころ、魔物に襲われて死にかけていたところを、彼はルイジェルドに助けてもらっていました。
ギースにとってルイジェルドは、命の恩人というわけです。
【無職転生】ギースはヒトガミの使徒??使徒となったきっかけは??(小説Ver)
剣術も魔術も人並み以下だったギースは、何度も死にかけています。
そこを助けたのがヒトガミです。
ギースは子供の頃から、ヒトガミの声を聞いて生きてきました。
死にかけたとき、ピンチだったとき、ヒトガミの助言が彼を救っていたのです。
力のないギースにとって、それは救いでした。
その後も、ヒトガミの助言を聞いたギースは、冒険者としてもランクを上げるなど、順風満帆に過ごしていましたが、結局はヒトガミに騙されて、ヌカ族の村を滅ぼされてしまいます。
しかし、ヒトガミに利用され騙されたとはいえ、助けられたことも事実として受け止め、ヒトガミの使徒として行動するようになりました。
ギースの中で、「助けられたら恩返しをするという」考え方は、彼の信念だったのかもしれません。
【無職転生】ギースはなぜルーデウスに手紙を出した??(小説Ver)
ベガリット大陸にある迷宮都市ラパンでゼニスが見つかった際、迷宮からの救出が困難と判断したギースは、独断でルーデウスに救援要請の手紙を送っています。
以前、パウロがルーデウス宛てに書いた手紙には、「こっちでなんとかする」と書いていたのを知っていたため、プライドの高いパウロの心情を考慮しての行動だったようです。
実は、このときはまだヒトガミの本当の目的も知らず、また、ルーデウスを倒してほしいという依頼をギースはヒトガミから受けていません。
ヒトガミの指示がなかったから、自分の良心の元に、手紙を出すという行動に出たというわけです。
そのため、実際にはヒトガミが不利になるような行動をしています。
ヒトガミも、ルーデウスには「ベガリット大陸へ行くと後悔する」と助言していました。
このエピソードは、ある意味で、ヒトガミの知る未来を変える大きなポイントになっていたのではないでしょうか。
もし、ギースからの手紙がルーデウスに届かず、そのままやり過ごしていたとしたら、結果はまた別のものになっていたかもしれません。
【無職転生】ギースの裏切り!!なぜルーデウスと敵対した??(小説Ver)
騙されたことがあったとはいえ、ヒトガミに何度も助けられたギースには、オルステッドに寝返ったルーデウスの行動が理解できませんでした。
ルーデウスは、ヒトガミに助けられたことがあるのに、それを裏切るという考え方は筋が通っていないと、ギースには思えたのでしょう。
ギースの中では、ルーデウスとの出会いや旅の思い出は楽しいものでしたが、それ以上の思いはありませんでした。
つまり、ルーデウスには「恨みもなければ恩もない」、ヒトガミには「恨みはあっても恩が残っている」という論理から、ギースはルーデウスを裏切るという結論にいたったようです。
また、非力な自分がルーデウスに勝てれば、すごい奴だと世間に認めさせることができるのではないかという思惑もありました。
ちなみに、オルステッドがループしてきた歴史の中でも、ギースがヒトガミの使徒だと名乗ったことは1度もなく、死にかけても、殺されかけても、最後まで、ギースはその正体を隠し通しています。
そのため、オルステッド自身も、ルーデウスから話を聞くまでは、ギースがヒトガミの使徒だとは気づいていませんでした。
「勝てないわけだ」というオルステッドの言葉が、それを物語っています。
ギースという1番目立たない人物が、ヒトガミの最後の砦であり、「切り札」だったという結末は、無職転生という物語において、実に衝撃的な展開だったといえるでしょう。
【無職転生】ギースの最後は??(小説Ver)
ギースはルーデウスたちを倒すべく、バーディガーディ、剣神ガル・ファリオン、冥王ビタ、北神アレクサンダー、鬼人マルタを仲間に引き入れました。
そして、ルーデウスたちに戦いを挑みます。
ギース自身も、あらゆるものを装備して身を固めるなど、準備も万端にしていました。
しかし、ギースには彼らをまとめることが、最後までできませんでした。
なぜなら、それぞれの個人の目的が違っていたからです。
どんなに高い戦闘力を持った人材を集めても、所詮はその場限りの寄せ集めの集団で、お互いの信頼関係などありません。
ギースの指示など、聞いてもらえるはずもないのです。
結局、最後はルーデウスが放った「フラッシュオーバー」で焼かれ、ギースは戦に敗れます。
彼は死ぬ間際、この戦いでの敗因は人の心を掴むことができなかったヒトガミにあること、自分は全力で戦ったこと、そして、ルーデウスに「勝った奴が正しい。胸を張れ」と伝えました。
最後は仲間だったギレーヌに、「先に逝く。また飲もう」と告げて息を引きとります。
ルーデウスが彼の遺骨を、パウロのお墓の横に埋葬したことから、ルーデウスにとってギースは憎めない人物であったことは、間違いありません。
まとめ
今回は、戦闘能力はないけれど、なんでもこなせる頭の良い冒険者、「ギース・ヌーカディア」についてご紹介しました。
彼は、冒険者としては戦うことができないため、一見すると、役に立たないような人物に見えるかもしれません。
ですが、無職転生という物語を隅々まで読んでいくと、ギースの行動は考え抜かれており、本当に頭の良いキャラクターだったことがわかります。
あのオルステッドすら、ギースの正体を見抜けなかったことが、何よりの証拠です。
戦闘能力はなくても、知力でルーデウスたちを翻弄した姿は、ギースがS級冒険者にふさわしかったこと、そして有能な人物であったことを証明しました。
最後は悲しい結末に終わりましたが、ギース自身、きっと後悔はなかったでしょう。
今頃お酒を飲みながら、天国でパウロと盛り上がっているかもしれません。
