ゴールデンカムイを読み始めると間もなく登場するエゾオオカミ・レタラ。
白銀の毛を持つ彼の圧倒的な姿に目を奪われた方も多いのではないでしょうか。
狼は日本では絶滅してしまい私たちにはあまり馴染みがありませんが、一体どういった生き物なのでしょうか。
実はその狼という存在の中に、物語の最重要人物であるウイルクの本質、そして金塊への鍵が隠されていたのです。
目次
【ゴールデンカムイ】最後のエゾオオカミ
エゾオオカミは〝ホロケウカムイ〟と呼ばれ、アイヌの人々と共生してきました。
しかしもう見ることはありません。
エゾオオカミはエゾシカを主食としていたのですが、明治の北海道開拓によりエゾシカが減少。
それによって餌の獲れなくなった彼らは放牧された家畜を襲うようになり、人間による駆除の対象となってしまいます。
そして大雪によるシカの減少や高価な毛皮目当ての狩りなども原因となって1900年頃には絶滅してしまったのでした。
世間でそう認識されていた中、谷垣の前にレタラが現れたのです。
その存在は苦難を乗り越え生き残った最後のエゾオオカミとして、谷垣と二瓶鉄造の猟師魂に火を点けることとなりました。
【ゴールデンカムイ】アシㇼパさんになつくレタㇻ
気高き姿で登場したレタラですが、アシリパにはお腹を出して甘えるほど懐いています。
飼い犬っぽくて可愛いんですよね。
狼がそんな姿を人に見せるのかという話なのですが、実はレタラは幼い頃、親と共にヒグマに襲われていたところをアシリパに拾われたという過去があるのです。
親狼は残念ながら絶命した後だったのですが、レタラは以来アシリパと家族・姉弟のように過ごしてきました。
しかしある日レタラは、他の狼の声に応えるようにしてアシリパの元を去ってしまいます。
アシリパにとって父親がいなくなった失意の中、さらにレタラも失うことになってしまった悲しい別れでしたが、レタラは今でもアシリパの危機に颯爽と駆けつけます。
離れていても強い絆は健在なのです。
【ゴールデンカムイ】ウイルクは狼が好きだった
アシリパの父ウイルクと旧知であったソフィアの話で、ウイルクは狼が好きだったことがわかりました。
その思いはウイルクがまだ名も無き幼少の頃から持つもので、ウイルクがウイルクとなった根源でした。
ウイルクは森で一匹の狼を見つけ、彼を観察する中で狼の生態を知り、その存在に強く魅かれたのです。
狼との出会いはウイルクという人物を形作る大きなものでした。
【ゴールデンカムイ】狼には役割分担があり合理的
創作物の影響か、狼というと何となく〝孤高〟というイメージがありました。
ウイルクが見つけた狼もレタラも一匹狼となっていましたし。
ですが実は狼は本来、社会的な群れを形成して行動しています。
体もそこまで大きくないですから、餌をとるため、ヒグマなどの脅威に立ち向かうため、群れを作るのは合理的ですね。
さらに群れに所属する彼らにはそれぞれ役割分担があり、それによって効率良く生きているのです。
アシリパの元を離れ他狼のところへ向かったレタラも、種としての理に適った行動だったのでしょう。
【ゴールデンカムイ】役目がなければ仲間でも殺す
狼は合理的ゆえに、時には仲間を殺すこともあります。
ウイルクも森で狼を見つけた時にその姿を見ました。
病気などの理由で動けない様子の狼をウイルクが観察していたある日、群れがその狼の元へやってきました。
彼を迎えに来たのかと思いましたが、なんと群れは彼を殺して去って行ったのです。
狼はそれぞれの役割をこなし効率的に動いているため、誰かが足を引っ張ればその群れごと壊滅する可能性があるということ。
だからこそ、役目がないと判断されたその狼は切り捨てられたのです。
【ゴールデンカムイ】狼の生き様に美しさを感じたウイルク
群れのために仲間が仲間を殺す姿に、ウイルクは強く心惹かれました。
一見無情に見えるその行動は、自分たちが生き残るために余分な優しさを削ぎ落としているからこそ。
そのシビアで無駄のない機能的な生き様は〝純粋で美しい〟として、ウイルクの心に大きく刻まれ、憧れを抱くこととなりました。
【ゴールデンカムイ】ウイルクはポーランド語で「オオカミ」という意味
狼に憧れた幼いウイルクは、仲間に殺されたその狼の毛皮を被って走り回るようになりました。
狼のような生き物になりたかったのです。
そんな姿を見てポーランド人の父親が名付けたのが〝ウイルク〟。
それはポーランド語で〝オオカミ〟という意味でした。
狼と名付けられた少年は彼らの純粋な生き様を目指し、後に「間違った情けや優しさは弱さになる」という、狼のように判断に迷いのない合理的な人間となったのです。
【ゴールデンカムイ】誰にも教えてはいけない「ホロケウオㇱコニ」
ウイルクはその名の由来を妻に語ったことがあります。
それを聞いた妻はウイルクにアイヌ語の名を付けました。
〝ホロケウオシコニ〟
それはアイヌ語で〝狼に追いつく〟という意味。
誰にも教えてはいけないとアシリパに語ったその名は、ウイルクと妻そして娘のアシリパの3人しか知りません。
そこに金塊への鍵が隠されているようです。
まとめ
中途半端な迷いは周りを巻き込んで破滅する。
群れのために自らの役割を認識し全うするという生き方は、人間社会に所属する私たちの教訓にもなるのではないでしょうか。
しかし他を想いながら甘さや迷いを捨てるのは簡単なことではありませんので、そこにウイルクの強さが見えるかと思います。
狼を通して見えてきたウイルクの生き様と名が物語の核心に繋がっているようですので、その辺に注目して読んでいきたいですね。

⇒ついつい一緒に言いたくなっちゃう!アシㇼパさんがよく使う・・
⇒ホロケウオシコニが導く金塊への道!!いま物語が大きく動き・・