デリック・レッドバットはなぜ死んだのか?
結論から言うと、アリエルを庇ったためです。転移事件の日、王城に現れた魔物ターミネートボアから王女を守り、命を落としました。そのときの言葉が、アリエルを王への道へ向かわせます。
デリック・レッドバットは、出番の少ない人物です。それでも、この一人が死ななければアスラ王国の物語は始まりませんでした。順に見ていきます。
この記事でわかること
- デリックがアリエルを庇って死亡したこと
- 相手がターミネートボアという魔物だったこと
- その場面がフィットア領転移事件と同じ日であること
- 最期の言葉がアリエルを王へ向かわせたこと
- シルフィエットが守護術師になった経緯とつながっていること
アリエル王女に仕える守護術師でした
デリック・レッドバットは、アスラ王国第二王女アリエル・アネモイ・アスラに仕えていた守護術師です。
守護術師とは、王族の身辺を守る役目にあたります。剣で守る騎士とは別に、魔術で守る立場の人物が置かれていました。
当時のアリエルは、王位に強い関心を持っていたわけではありません。第一王子派との争いに巻き込まれ、命を狙われる立場にいた少女でした。デリックはその側にいて、日々の危険から彼女を守っていた人物です。
転移事件の日に、何が起きたのか
すべてが変わったのが、フィットア領の転移事件の日です。
この事件では、フィットア領一帯の人間が世界中へ飛ばされました。それだけでは終わりません。魔物までもが、あちこちに転移してきたのです。
アスラ王国の王宮も例外ではありませんでした。白百合の園と呼ばれる場所に、ターミネートボアという魔物が現れます。そしてアリエルに襲いかかりました。
ここでデリックが動きます。王女の前に出て、盾になりました。そして命を落とします。
同じ場面に、もう一人が飛び込んできました。空から転移してきたシルフィエットです。彼女は風魔術で勢いを殺して着地し、目の前で魔物に襲われている王女を見て、全力の魔術を放ちました。
魔物は倒れます。ですがデリックには間に合いませんでした。
僕はこう読む
この場面には、間に合った人と間に合わなかった人が同時にいます。
シルフィエットは空から落ちてきて、たまたま王女を救いました。デリックは職務として守り続けてきて、その日に死にました。
努力や忠誠と、結果が噛み合っていません。助けたのは偶然そこにいた少女で、死んだのは毎日守っていた男です。
無職転生には、こういう配置がよく出てきます。転移事件そのものが、誰の落ち度でもなく人生を壊していく出来事でした。
だからこそ、デリックが残した言葉が効いてきます。理不尽な死のあとに、意味のほうを人が後から作っていく。この作品の骨組みが、短い場面に詰まっていると読んでいます。
最期に残した言葉
この記事のいちばん大事な部分です。
デリックが最期に伝えたのは、自分を助けてくれという願いではありませんでした。どうか王になられてください。そしてアスラを良い国に。
死にゆく守護術師が、守ってきた王女に託したのが国の未来でした。
この言葉が、アリエルという人物を作り変えます。それまで王位に執着していなかった王女が、王を目指すと決めたのです。
なぜアリエルは王になりたいのか。検索でよく調べられている問いですが、答えはここにあります。本人の野心ではなく、死んだ守護術師の遺言が出発点でした。
デリックの死が、その後を動かします
この一件は、二重の意味でアスラ王国編につながっていきます。
ひとつは、アリエルが王位争いに本気で乗り出したことです。第一王子派との対立は、ここから長い戦いになります。暗殺者を差し向けられる場面もありました。
もうひとつが、空いた守護術師の席です。デリックを失ったアリエルのそばに、やがてシルフィエットが立つことになります。
シルフィは身元が分からないまま保護され、貴族たちに疑われ、政権争いの都合で男装させられました。そしてフィッツと名乗り、守護術師としてアリエルを守ります。
デリックが守っていた場所に、彼が守り切れなかった日に現れた少女が入った。この巡り合わせが、のちのラノア魔法大学での物語につながっていきます。
| 出来事 | 結果 |
|---|---|
| 転移事件で魔物が王宮に出現 | アリエルが襲われる |
| デリックが庇う | 王女は助かり、本人は死亡 |
| シルフィエットが転移してくる | 魔術で魔物を倒す。魔力が枯渇し髪が白くなる |
| デリックの最期の言葉 | アリエルが王を目指すと決める |
| 守護術師の席が空く | シルフィがフィッツとしてその役を継ぐ |
守護術師という役目の重さ
デリックの死を見ると、この役目がどういうものかが分かります。
王族を守るというのは、危険が来たときに自分の体を先に差し出すということです。逃げれば守れない。だから前に出るしかありません。
のちにフィッツとなったシルフィエットも、同じ立場に立ちます。暗殺者・夜目の烏を退けたのも彼女でした。人前で声を出さないよう指示されていたのは、アリエルの影武者を務めるためです。
顔も声も名前も差し出して、主君の身代わりになれる状態にしておく。これが守護術師という仕事の実像でした。
デリックが果たしたのは、その最終形です。差し出せるものを、最後に全部差し出しました。
僕はこう読む
アリエルが王を目指す理由が他人の遺言だという点に、この王女の危うさと強さが同居していると思っています。
自分が国を良くしたいから王になる、ではありません。守ってくれた人がそう言い残したから、王になると決めた。動機が外側にあります。
だからアリエルは、道中で何度も自分の資格を問われます。それでも折れなかったのは、退けばデリックの死が無駄になるからでしょう。
人は自分のためだけには、あそこまで踏ん張れません。誰かに託されたことのほうが、長く効く。
出番の少ない守護術師が、アスラ王国編を最後まで動かし続けている。無職転生は、こういう仕掛けを静かに置いてくる作品だと読んでいます。
まとめ|デリックの死をどう読むか
デリックはアリエルを庇い、ターミネートボアに倒されて死亡しました。
経緯を並べます。
- 場面はフィットア領転移事件と同じ日、アスラ王国の王宮
- 最期の言葉は、王になってアスラを良い国にしてほしいというもの
- その一言が、王位に関心のなかったアリエルを変えた
- 空いた守護術師の席に、のちにシルフィエットが入る
僕はこう読む
この場面には、間に合った人と間に合わなかった人が同時にいます。
シルフィエットは空から落ちてきて、たまたま王女を救いました。
デリックは職務として守り続けてきて、その日に死にました。
そしてアリエルが王を目指す理由は、他人の遺言です。自分が国を良くしたいから王になる、ではありません。この動機を外から与えられた危うさと読むか、託されたからこそ折れない強さと読むかで、あの最期の言葉の重さが変わってきます。
——あなたはアリエルが王を目指す動機を、他人の遺言に頼った危うさだと思いますか。それとも、託されたからこそ折れない強さだと思いますか。よければコメントで教えてください。
よくある質問
デリックの死は転移事件と同じ日に起きています。王宮での経緯から確認しておきます。
Q. デリック・レッドバットはなぜ死んだのですか?
A. フィットア領転移事件の日、アスラ王国の王宮に現れた魔物ターミネートボアからアリエルを庇ったためです。
Q. なぜアリエルは王になりたいのですか?
A. デリックが最期に、王になってアスラを良い国にしてほしいと言い残したためです。もともと王位に強い関心があったわけではありません。
Q. デリックとシルフィエットには関係がありますか?
A. 直接の面識はありませんが、同じ場面にいます。デリックが倒れたあと、転移してきたシルフィエットが魔物を倒し、のちに空いた守護術師の役をフィッツとして継ぎました。
Q. 守護術師とはどんな役目ですか?
A. 王族を魔術で守る役目です。危険が迫れば自分の体を先に差し出す立場で、フィッツはアリエルの影武者まで務めていました。
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最終更新:2026年8月23日


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