Web版の「無職転生~異世界行ったら本気だす~」を読んだ方なら、エリスと別れたあとのルーデウスは「どう過ごしていたのか」と気になった方は多いのではないでしょうか。
しかし書籍版の7巻で、完全書き下ろしの話が追加されました。
エリスと別れたあとのルーデウスが描かれた新しい物語です。
そこに登場したのが「カウンターアロー」という冒険者パーティです。
その中に「ミミル」という魔術師がいました。
彼は無職転生の中では目立った存在ではありません。
しかし、ミミルという人物はルーデウスの心に深く残った人物でした。
今回はこの「ミミル」について、ルーデウスと出会った経緯や結末までを詳しくご紹介します。
目次
【無職転生】ミミルは冒険者パーティ「カウンターアロー」のメンバー(書籍Ver)
ミミルが所属していたBランク冒険者パーティ「カウンターアロー」は、5人組です。
アスラ王国で活躍していました。
- ティモシー:リーダー、攻撃魔法を得意とする魔術師。
- スザンヌ:副リーダー、前衛で戦士を務める。
- パトリス:初級の風魔法を使う、魔法戦士。
- サラ:アーチャー、中衛を担当。
- ミミル:ヒーラー。
彼らとルーデウスは、ローゼンバーグへ向かう馬車のなかで出会いました。
ここで、少しだけカウンターアローについて、説明をしておきます。
サラはアスラ王国の中央付近にある、ミルボッツ領の西端にあった村の出身でした。
しかし、突如森に溢れた魔物によって、両親を亡くしています。
その惨劇により天涯孤独となったサラでしたが、現場にいたスザンヌが、彼女を助けました。
スザンヌは、森に溢れた魔物の討伐に来ており、当初パーティを組んでいたティモシーも一緒だったようです。
ですがこの戦いでスザンヌのいたパーティは、スザンヌとティモシーだけしか生き残れず、他のメンバーは全滅しています。
ミミルとパトリスも同じような境遇でした。
つまり、カウンターアローという冒険者パーティは、ミルボッツ領で起きた魔物の討伐により、孤独になった人間たちが集まって結成されたパーティです。
ミミルたちは、アスラ王国ではそれなりに活躍はしていましたが、ランクの低い魔物が多いため、さらに上を目指して、北方大地(中央大陸北部)に移動中でした。
ちなみに、「ローゼンバーグ」とは、魔術の研究に長けた「バシェラント公国」にある第二都市で、その大きさは公国のなかでも1、2を争う大きさの町です。
場所は、アスラ王国の国境から約2カ月かかるところにあります。
アスラ王国とは比べ物にならないくらいに強い魔物が多く、冒険者の需要も高い場所です。
【無職転生】ミミルどんな見た目をしている??(書籍Ver)
ミミルは中肉中背で、白っぽいローブを着ています。
濃い茶色の短髪で、なかなかの美形だと言えるでしょう。
武器は、メイスを使います。
彼の特徴は、語尾に「〇〇っす」と付けるしゃべり方です。
カウンターアローのなかでは1番逃げ足が速いと言われていましたが、パーティの雰囲気を和ませる、明るい存在だったようです。
【無職転生】ミミルはヒーラー!!得意な魔法は??(書籍Ver)
ミミルはヒーラー、治癒魔術師です。
治癒魔術が中級で、解毒魔術は初級が使えます。
そして、ミミルと言えば神撃魔術でしょう。
「スノウドレイクの鱗の採取」をギルドの依頼で受けた際、洞窟でスケルトンとレイスとの戦闘になりました。
スケルトンとレイスは、火魔術で消滅させることもできますが、レイスが生きている限りスケルトンは不死身になります。
そのため、レイスを殺さねばなりません。
レイスは火魔術だと一旦は消滅しますが、しばらくすると復活します。
そこで有効な魔術として使われるが、神撃魔術です。
神撃魔術は火魔術より圧倒的に早く、そして幽霊系の魔物を完全に消滅させることができます。
また、神撃魔術で消滅したレイスは2度と復活をしません。
ミミルが放った「エクソシストレート」は光の塊となり、スケルトンとレイスを消滅させました。
ちなみにルーデウスは、このときはじめて、幽霊系の魔物を見たようです。
ミミル自身も、このときで2回目だと言っていました。
無職転生の異世界では、幽霊系の魔物はめずらしいのかもしれません。
【無職転生】ミミルはなぜ死んだ??(書籍Ver)
ミミルは、スノウバッファローの群れに襲われ、亡くなっています。
スノウドレイクの討伐が終わった数カ月後、ルーデウスは雪かきの依頼を受けていました。
依頼が完了しギルドに戻ったところ、カウンターアローのメンバーを見つけます。
しかし、そこにミミルとサラはいませんでした。
メンバーに事情を聞いたルーデウスでしたが、そこでミミルが死んだことを聞かされます。
カウンターアローのメンバーは、依頼を受けて目的地に向かう途中、視界が悪くなるほどの猛吹雪に遭い、西にある「トリーアの森」に迷い込んでしまいました。
トリーアの森は、ローゼンバーグから半日ほど離れた場所にあります。
そこで、スノウバッファローの群れに襲われたのです。
ミミルはそのトラブルに巻き込まれ、死亡しました。
また、この戦いのなかでサラもはぐれてしまい、ほかのメンバーは探しましたが、彼女を見つけられていません。
仕方なく撤退という判断をしたティモシーは、間違っていたのではないかと悔やんでいました。
その話を聞いたルーデウスは、残されたカウンターアローのメンバーには何も言わず、黙って、トリーアの森を目指します。
ルーデウスにしてみれば、付き合いは短くとも、それなりに仲良くしていた仲間です。
どうしても、ミミルとサラの生死を確かめたかったのでしょう。
【無職転生】ミミルの死体はどうなった??(書籍Ver)
とても残酷な話ですが、ミミルはスノウバッファローに食べられて亡くなっています。
スノウバッファローは肉食で、共食いをする魔物です。
また、骨とともに食べ残しを取っておくという、変わった習性を持った魔物でもあります。
これは、食べ残しの匂いにつられてやってくる、別の魔物を食料とするためです。
ルーデウスは2人を探している途中、スノウバッファローの群れを見つけ1人で殲滅しました。
やがて、骨の山を見つけたルーデウスは、そのなかに、ミミルの頭部を見つけます。
とてもつらい状況ではありましたが、ルーデウスは目の奥が痛くなるのを我慢して、その頭部を袋に入れ持ち帰ることにしました。
体の一部であっても、せめて持ち帰って仲間にあわせあげたい、町の近くに埋葬してあげたいとルーデウスは思っていたようです。
このミミルの最後は、無職転生の中でも、非常に残酷で悲しい結末だと言えるでしょう。
唯一の救いは、一緒に行方不明になっていたサラが生きていたことだったかもしれません。
【無職転生】ミミルの死がパーティ解散を招いた??(書籍Ver)
結論から言うと、カウンターアローがその後どうなったのかは、明かされていません。
原作ではカウンターアローというパーティが、継続しているのか、また解散したのかなどは、何もわからない状態です。
ルーデウスが、突然カウンターアローから離れた背景には、サラとの関係がありました。
つまり、ミミルの死が、直接「パーティの解散を招いた」という原因ではないようです。
ミミルの死から約1年後、ルーデウスはローゼンバーグで活動を続けていました。
カウンターアローのメンバーも同じです。
ルーデウスはカウンターアローの正式なメンバーではありませんでしたが、このころには、お互いの生い立ちや、故郷の話をするようになっていました。
そして、ルーデウスとカウンターアローの関係で1番変化があったのが、サラです。
出会った当初こそ、サラはルーデウスを嫌っていましたが、一緒に仕事をするうちに、いつしか彼を好きになっていました。
やがてデートをすることになり、サラからルーデウスを誘ったのですが、そこではじめてルーデウスは、自分自身が「不能」であることに気づきます。
結局、落ち込むルーデウスを置いて、サラは「最悪」という言葉を残し帰ってしまいました。
お酒を飲んで荒れているルーデウスを、ローゼンバークで出会ったもう1人の冒険者「ゾルダート」が見つけ励まします。
ルーデウスが彼に悩みを打ち明けたところ、「プロに任せよう」という結論になり、2人は娼館に行きました。
結果、プロにお任せしても不能は治っていません。
しかも、タイミングの悪いことに、娼館の前にいたルーデウスをサラが目撃します。
おまけにサラが近くにいることに気がつかず、ルーデウスは彼女の悪口を言ってしまったのです。
その日ルーデウスは、カウンターアローと一緒に仕事をする約束をしていました。
ですが、ルーデウスはその約束をすっかり忘れていたのです。
待ち合わせ時間になっても来ないルーデウスを、サラが探している途中の出来事でした。
サラは、ルーデウスの頬をたたき、「2度と顔を見せないで」と言い、立ち去ります。
この状況に耐えられなくなったルーデウスは、あろうことか死のうとしますが、ゾルダートがそれを止めました。
このままローゼンバークにいれば、ギルドでサラたちと顔をあわせるかもしれません。
ルーデウスには、それが耐えられなかったようです。
これがきっかけとなり、ルーデウスはゾルダートの提案で、一緒にローゼンバーグを離れました。
ルーデウスとカウンターアローとの冒険は、ここで終わりとなりましたが、その後ルーデウスもサラも、一言謝っておけばよかったと後悔していたようです。
このことから、カウンターアローとルーデウスが離れたのは、ミミルが原因ではないことがわかります。
まとめ
今回は、カウンターアローのメンバー「ミミル」についてご紹介しました。
Web版の無職転生では、ミミルについての話は出ていません。
ミミルが登場したのは書籍版の7巻ですが、この7巻は完全書き下ろしの内容になっているので、読んだ方は新鮮だったかもしれません。
エリスと別れたあとのルーデウスが「どう過ごしていたのか」という内容が書かれた話です。
「カウンターアロー」という冒険者パーティは、そこで登場しました。
ミミルの登場シーンは、かなり少なく、彼についての詳細もあまり書かれていません。
しかし、神撃魔術を使うなど、優秀な魔術師であったことは間違いないでしょう。
残念ながらミミルは亡くなってしまいましたが、彼の活躍をもう少し見たかったという無職転生ファンは、多かったかもしれません。
