物語には、出番は少ないけれど印象に残るキャラクターが存在します。
もちろん人気小説「無職転生~異世界行ったら本気だす~」も例外ではありません。
そんなキャラクターのなかに、「ヒルダ」という女性が無職転生に登場します。
ヒルダはフィットア領ロアの町長フィリップの妻であり、エリスの母親です。
ヒルダはごく普通の貴族出身の女性ですが、ボレアス家の事情に巻き込まれ、苦悩する日々を過ごしていました。
原作ではヒルダを取り上げたシーンは、多くありません。
しかし彼女のことを知ると、その人生には深い悲しみが隠されていました。
今回はエリスの母親「ヒルダ」を取り上げ、その苦悩と彼女の結末について詳しくご紹介します。
目次
【無職転生】ヒルダのプロフィールは??(小説Ver)
彼女の本名は、「ヒルダ・ボレアス・グレイラット」と言います。
フィリップの妻であり、エリスの母親です。
髪の色はエリスと同じ赤髪で、胸が大きく色気のある美しい容姿をしています。
普段は、赤色の高貴な柄が入ったドレスを着ています。
ごく普通の貴族出身の女性で、フィリップとは政略結婚で夫婦になったようです。
【無職転生】ヒルダはなぜ息子を取り上げられていた??(小説Ver)
ボレアス家にはある伝統があり、それは、跡目争いにつながるものでした。
サウロスには10人の息子がいますが、次期当主候補と考えていたのは3人です。
この3人は、特にサウロスが気に入っていた息子たちでした。
フィットア領で町長を務める「フィリップ」。
エウロス・グレイラット家に婿入りした「ゴードン」。
そして、若くして王都の大臣職に付いた「ジェイムズ」です。
サウロスはこの3人の誰かを次期当主にするため、あえて争わせました。
ジェイムズの画策により、ゴードンはエウロス家の娘と恋に落ち、婿入りします。
そのため、ゴードンのボレアス家当主の道はなくなりました。
次に、フィリップですが、ジェイムズとの戦いは伯仲しており、お互いあらゆる人物を使い、裏で糸を引き、壮絶な権力争いを繰り広げたようです。
結果、フィリップが敗北し、ジェイムズがボレアス家次期当主になります。
敗北した理由は、6歳の年の差と、財力、そして人脈でした。
その後、フィットア領の町長の任をフィリップに与えたジェイムズは、フィリップとヒルダの間に生まれた長男を、養子と称して取り上げます。
これは、生まれた男児は次期当主の家で育てるという、ボレアス家の伝統に従ったものです。
伝統のため、文句を言うことなど許されません。
フィリップは納得していましたが、ヒルダにはそれが理解できませんでした。
長男を連れ行かれたときは、精神を病み、情緒不安定なっていましたが、エリスが生まれてしばらくは安定していたようです。
しかし、次男が生まれた際に、また、ジェイムズに取り上げられました。
このようにして、ヒルダは2人の息子を取り上げられてしまったのです。
それ以降、ヒルダの精神状態は不安定が続いていたようです。
自分が産んだ子供を、「伝統」という名目のもと2人も取り上げられてしまえば、普通の母親なら、精神を病んでしまうのも無理はありません。
【無職転生】ヒルダはなぜ・どれくらいルーデウスを嫌っていた??(小説Ver)
ルーデウスがボレアス家に来た当初、ヒルダは彼を嫌っていました。
自分の息子はいないのに、なぜ他人の子供が我が物顔で館を歩いているのかと思ったようです。
彼女にしてみれば、自分の子供ではなく他人の子供の面倒をみるということに、違和感があったのでしょう。
まるで大人のように振る舞うルーデウスの態度も、ヒルダのカンに障ったのかもしれません。
「生意気な他人の子供」と、彼女の目には映ったのでしょう。
そのため、ルーデウスを嫌っていたようです。
【無職転生】ヒルダはルーデウスをエリスの結婚相手に!?なぜそうなった??(小説Ver)
ルーデウスが10歳になった誕生日を、ボレアス家でお祝いしたエピソードがあります。
その誕生日に感動したルーデウスは、涙を流しました。
しかしその誕生日祝いに、パウロもゼニスも来られず、それを聞いたルーデウスは落ち込みます。
そんな様子を見たヒルダは、いきなり彼を抱きしめて「あなたはウチの子よ」と言いました。
ルーデウスは普段、ヒルダとの交流はありません。
なぜなら、彼自身、嫌われていると思っていたからです。
ヒルダにしてみれば、両親と離ればなれになったルーデウスが、不憫で仕方なかったのでしょう。
自分も息子と引き離された過去があるため、それが重なったのかもしれません。
「わたしがあの子を救わなければ!」という、彼女なりの使命感もあったようです。
そしてヒルダは、ルーデウスを自分の息子にするために、エリスと結婚させようと提案します。
結果、2人の年齢が若かったこと、また、唐突な意見だったことから、この話はなくなりました。
【無職転生】ヒルダが死亡!!その残酷な最後とは??(小説Ver)
フィットア領転移事件があった際、例外なくヒルダも転移しています。
フィリップと同じ、紛争地帯に飛ばされたのです。
2人が転移した紛争地帯とは、中央大陸南部の北にあります。
無数の小国が、一帯の覇権をめぐって争っているような場所です。
これはラプラス戦役以降、中央大陸ではアスラ王国以外滅んでしまったため、生き残った人間がその土地に流入し、好き勝手に国を作った結果でした。
そんな土地であれば、治安などいいわけがありません。
紛争地帯に飛ばされたヒルダとフィリップは、スパイと疑われ、身分を証明するような物も持ちあわせていなかったことから、冤罪のまま殺害されてしまいました。
殺害されたのち2人が吊るされた現場を、同じ紛争地帯に飛ばされたギレーヌが発見しています。
ギレーヌにより、現地で2人は埋葬されましたが、その後、ルーデウスとエリスの手によって、アスラ王国の墓地に移されました。
【無職転生】ヒルダ・フィリップ・サウロスの死を知ったエリスの反応は??(小説Ver)
フィットア領転移事件から3年後、ルーデウスとエリスはようやくフィットア領に帰郷します。
しかし、待っていたのはきびしい現実でした。
ロアの町だった場所は難民キャンプと化し、人もまばらで、掲示板には凄まじい数の行方不明者と死亡者の名前が載っています。
幸い、転移する間際まで一緒にいたギレーヌは無事でしたが、そこに、ヒルダもフィリップも、そして大好きだった祖父のサウロスもいません。
生き残ったボレアス家の執事アルフォンスから、転移事件後にフィリップとヒルダが紛争地帯で亡くなったこと、サウロスが理不尽な理由で責任を取らされ処刑されたことをエリスは聞きます。
しかし、エリスは覚悟をしていました。
彼女自身、わずかな望みはもっていたかもしれませんが、心のどこかで「自分の家族は、きっと無事ではないだろう」と思っていたのでしょう。
アルフォンスから語られる話を、エリスはルーデウスと一緒に黙って聞いていました。
ルーデウスの手をエリスが力いっぱい握る場面は、彼女のくやしさ、無念さ、悲しさを表した、とても印象深いシーンです。
エリスはその話を聞いた後も気丈に振る舞っていましたが、彼女自身、今まで想像もしなかった喪失感と寂しさに襲われていたのは間違いありません。
まとめ
今回は、エリスの母親「ヒルダ・ボレアス・グレイラット」についてご紹介しました。
原作では、ヒルダの出番はほとんどありません。
読者の方でも、「ヒルダ=エリスの母親」というイメージしかもっていないでしょう。
彼女の人生は、とてもしあわせてだったとは言えません。
なぜなら、貴族の娘としてヒルダはフィリップのもとへ嫁いだものの、息子が生まれると、ボレアス家の伝統により子供を取られました。
最後は、転移事件によって飛ばされた紛争地帯で殺害され、その一生を終えています。
しかし、ルーデウスと出会ったことで、「息子ができるかもしれない」と、少し希望をもった時期もあり、このときのヒルダはしあわせだったかもしれません。
いなくなった息子たちへの思いを、ルーデウスなら埋めてくれると思ったのでしょう。
決してヒルダが望んだような終わり方ではありませんでしたが、最後に1人ではなく、フィリップと生涯を終えたことも、ヒルダにとっては、唯一の救いだったのではないでしょうか。

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