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パックスは死亡したのか
結論から言うと、パックスは死亡しています。シーローン王として即位したあと、王城のバルコニーから自ら身を投げ、王のまま生涯を終えました。
ザノバの弟であり、シーローン王国の第七王子です。ロキシーへの仕打ちで「下衆王子」と呼ばれた人物ですが、その評価だけで終わらないのがこの人の厄介なところです。
この記事でわかること
- パックスが何をして追放されたか
- 王竜王国で変わったあとに何が起きたか
- なぜ可哀想と言われるのか(カイの読み)
擁護できない第七王子時代
パックスはロキシーの教え子でした。ロキシーはシーローン王国に滞在し、王子たちの家庭教師をしながら水王級魔術の習得に励んでいた時期があります。
そのロキシーに対し、パックスは王子の立場を使って迫りました。ルーデウスからの手紙を見つけると、送り主を殺されたくなければ自分の恋人になれと言い放ちます。
ロキシーは呆れ、王族の自覚を持って我儘な振る舞いを控えろと諭しました。ルーデウスという優秀な弟子を知っているぶん、才能も態度も伴わないパックスに落胆する気持ちが隠せていません。この見下された感覚が、パックスのプライドを深く傷つけます。
ロキシー自身は、家庭教師の仕事のかたわら王国の書庫で水王級魔術の書籍を見つけ、その習得に打ち込んでいた時期でした。指導は仕事のひとつに過ぎません。パックスにとっては、その温度差も効いたはずです。
やがてロキシーは、ルーデウスたちの住むフィットア領の転移事件を知り、シーローン王国から出奔する形で去ります。残されたパックスは、そこから本格的に悪事へ傾いていきました。
奴隷市場に出入りしてつながりを作り、私兵を雇います。自分の城に仕える王宮兵士たちの家族を人質に取り、逆らえない状態にして資金と権力を集めました。王子の立場を、脅しの道具としてだけ使っている状態です。
| 時期 | 起きたこと |
|---|---|
| 第七王子時代 | ロキシーに迫り、兵士の家族を人質に取って権力を集める |
| 監禁事件 | リーリャとアイシャを監禁し、ロキシーをおびき寄せる罠を張る |
| 露見 | ザノバが悪事を上の王子たちに明かし、計画は失敗 |
| 追放 | 王竜王国へ留学の名目で人質として送られる |
| 転機 | 第十八王女ベネディクトと出会い、学問に打ち込む |
| 即位 | 王竜王レオナルドの支援を得てクーデターを起こし、王になる |
| 最期 | 王城のバルコニーから身を投げる |
2年待ち続けた監禁
転移事件でシーローンに飛ばされてきたリーリャとアイシャを、パックスは独断で監禁しました。ロキシーを呼び戻すための餌です。魔術師を封じる結界まで用意しています。
ところがこの計画には穴がありました。二人がそこにいるという情報を、外に一切出していなかったのです。知らせが届かなければ、ロキシーが助けに来ることもありません。
パックスはそれに気づかないまま、2年待ち続けました。ロキシー以外に来られては困るという意識もあったようですが、結果として誰にも届いていません。
動いたのはルーデウスでした。ヒトガミの助言でリーリャたちの居場所を知り、シーローンへ向かいます。ロキシーの代わりにルーデウスが結界へ閉じ込められ、一度は計画どおりに見えました。
ここで流れを変えたのが、第三王子のザノバです。人形好きのザノバがルーデウスの持ち物から人形を見つけ、ルーデウス側につきました。シーローン王国の人間兵器「怪力の神子」が味方に回った時点で、勝負はついています。
ザノバはパックスを人質に取り、権力を持つ第一王子と第二王子に弟の悪事を明かしました。事態を重く見た国王は、パックスを国外追放とします。行き先が、中央大陸南部で世界第3位の国力を持つ王竜王国でした。
表向きは留学です。実態は人質でした。いざとなれば死んでも構わない人物として送り出されています。
僕はこう読む
2年という時間が、この人物を言い当てていると思っています。
やっていることは悪質なのに、設計が根本的に足りていない。
権力の使い方だけ覚えて、届ける方法を知らないまま待っている。
怖い悪役ではなく、ずっと誰かに手順を教わり損ねた人として描かれています。
王竜王国で一度変わっている
追放先の王竜王国で、パックスの権威はまったく通用しませんでした。誰にも相手にされない日々のなか、庭で寂しそうにしている少女と出会います。
毎日話しかけるうちに、少女は笑うようになりました。その少女こそ第十八王女ベネディクトです。王位継承権もなく、王竜王国で出来損ないと呼ばれていた王女でした。
やがてパックスの耳に、シーローンの出来損ないと王竜王国の出来損ないが仲良くしている、という噂が届きます。ここでパックスは生活態度を改め、魔術と勉学に打ち込みました。1年半後、国内の学問の大会で好成績を出しています。
その姿に目を留めたのが、王竜王国の国王レオナルド・キングドラゴンでした。謁見の間にパックスを呼び、人質として来た者が未来を諦めない姿勢は見事だと称賛します。
レオナルドの申し出は寛大なものでした。褒美は金銭でも地位でもよく、シーローンからの亡命を認めて王竜王国の一員として迎えてもよい、とまで言っています。ここでパックスが選んだのは、そのどれでもありませんでした。
この評価と後ろ盾が、のちのクーデターにつながっていきます。人質として送られた少年が、送り出した国へ兵を連れて戻る流れです。
王になっても評価は変わらなかった
王竜王国の支援を得たパックスは、故国へ攻め込んで王位を手にします。ところが即位したパックスを待っていたのは、国民の憎悪と家臣の離反でした。
何をしても、あの下衆王子が何か企んでいる、と受け取られます。かつての行いが正当に返ってきた形ではあるのですが、変わったあとの行動まで同じ色で塗られ続けました。
最後は王城のバルコニーから身を投げます。ザノバとルーデウスの目の前での出来事でした。身を投げる前に、まだ生まれていない子を死神ランドルフに託しています。
ベネディクトはランドルフによって王竜王国へ連れ戻され、そこで子を産みました。名前は父と同じパックス、通称は小パックスです。
僕はこう読む
パックスが可哀想と言われるのは、罰が重すぎたからではないと思っています。
変わったことを誰も測ってくれなかったからです。
ロキシーへの仕打ちは擁護できません。
ただ王竜王国での1年半は本物でした。その1年半だけが、誰の評価にも反映されないまま終わっています。
兄に認めてほしかった弟が、最後まで認められなかった話として読んでいます。
まとめ
パックスは死亡しています。クーデターを経て王になったあと、孤立の果てに自ら命を絶ちました。
順を追って押さえておきます。
- シーローン王国第七王子。ザノバの弟でロキシーの教え子
- ロキシーへの仕打ちとリーリャ・アイシャ監禁が露見し、国外追放
- 王竜王国でベネディクトと出会い、学問に打ち込んで評価を得る
- 王竜王レオナルドの支援でクーデターを起こし、シーローン王に即位
- 国民の憎悪と家臣の離反のなか、王城のバルコニーから身を投げた
僕はこう読む
この結末が重いのは、パックスが努力の効かない場所にいたからだと思っています。
勉強しても、王になっても、評価の起点が変わりません。
作品全体がやり直しの話であるぶん、やり直しが届かなかった人物として置かれている。
ルーデウスの隣にこの人がいることには、意味があると思っています。
パックスを自業自得と見るか、変わったのに届かなかった人と見るかで、最後の場面の重さがずいぶん違って見えます。
——あなたはパックスを、報いを受けた愚か者だと思いますか。それとも、やり直しが間に合わなかった人だと思いますか。よければコメントで、どちらに近いか教えてください。
よくある質問
パックスがロキシーを2年待ち続けた監禁事件と、王竜王国で1年半かけて学問の大会に出た時期は、同じ人物の話です。
Q. パックスはどうやって王になったのですか。
A. 王竜王国で評価を得たあと、王竜王レオナルドの支援を受けて故国へクーデターを起こしました。第七王子という立場から、実力行使で王位に就いています。
Q. パックスはなぜ自ら命を絶ったのですか。
A. 即位後も国民の憎悪と家臣の離反が続き、何をしても下衆王子という見方が変わらなかったためです。孤立の果てに、王城のバルコニーから身を投げています。
Q. ベネディクトとの子供はどうなりましたか。
A. 小パックスと名付けられています。ベネディクトは王竜王国の第十八王女で、出来損ないと呼ばれていた立場から、パックスと出会って変わった人物です。
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この記事を書いた人:カイ。読み終わったあとの「なんでここ、こう描いたんだろう」を、一人で考えています。→ 運営者情報
最終更新:2026年9月17日


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