アニメ3期で注目しておきたい人物のひとりが、アイヌの少年チカパシ。
北海道ではやんちゃな子供らしい姿を見せていた彼が、樺太に渡ったことで大きな成長を見せます。
過去の闇を心に抱える大人たちの中で、目に見えて成長していく彼の姿は物語において大きな希望を見せてくれるのです。
そこで今回はチカパシについてご紹介!
チカパシは大人たちから何を受け取り、どう未来を生きていくのでしょうか。
目次
【ゴールデンカムイ】チカパシは家族を病気で亡くしている?
チカパシはアシリパと同じ小樽のコタンに住む男の子。
親兄弟が疱瘡で亡くなったため天涯孤独の身で、村の年寄りみんなで世話をしていました。
アイヌではたとえ自分の子ではなくても子どもは大切に育てられますが、それでも家族のいないチカパシは「居場所がない」と感じているようでした。
【ゴールデンカムイ】チカパシの人生を変えた谷垣との出会い
チカパシは村の子たちとはあまり遊ばない子で、その代わりに狩りに興味を持っており、その日もマカナックルと谷垣の狩りを盗み見ていました。
好奇心に富んだ瞳で狩りの様子を見ているチカパシに、谷垣も勝手に猟について行っていた幼少期の自分を重ね、彼に声を掛けました。
この出会いがチカパシの人生を大きく変えることになります。
チカパシは谷垣がコタンを発つ際に勝手について行ってしまいました。
初めはコタンに帰そうとした谷垣でしたが、チカパシの身の上と心情を理解し、チカパシの身柄を預かる形となります。
やんちゃなチカパシと、彼を見守りながら様々なことを教えていく谷垣。
共に旅をするうちに谷垣はチカパシの父親のような存在になっていました。
【ゴールデンカムイ】チカパシの性格は?
6歳~10歳であろうチカパシは、年相応にやんちゃで無邪気な性格。
インカラマッにお金を貰うのも躊躇わず、和泉守兼定でチタタプしたいと言い、姉畑や岩息にもすぐに懐きました。
良くも悪くも普通の子どもという感じなので、旅をする上で現地の人たちとの緩衝材のような役割にもなります。
好奇心も旺盛で、特に性への興味が強くトカプ(おっぱい)も大好き。
ただ谷垣とインカラマッのオチウ(性交)を目撃した際には、あまりの迫力に怖くて泣いてしまいました。
家族を亡くしたことを感じさせない明るい人柄はある反面、“家族”というものに対して強い想いを抱いていることが言葉の端々から感じられます。
男たちに混ざり、時には命すら危険な旅をしていく中で、人として男として大きく成長していきます。
【ゴールデンカムイ】二瓶鉄造から受け継ぐ勃起魂
チカパシの成長の道標になったのが「勃起」。
チカパシは谷垣によって「勃起」という言葉を知っていきます。
自分の名前の意味であること…自分を奮い立たせて戦うこと…縛られているインカラマッを見てちんちんがムズムズすること…一発で獣を仕留めること…どれも「勃起」。
それは谷垣が二瓶鉄造から教わった男の生き様でした。
チカパシは、谷垣が二瓶から受け継いだ勃起魂を継承したのです。
その魂は一人前の男である証であり、強く生きる男たちの絆。
二瓶鉄造の熱い魂はさらに未来へと紡がれたのでした。
【ゴールデンカムイ】アイヌ史資料集にあるチカパシの意味は?
脈々と受け継がれる男の勃起魂。
チカパシはすでに名前から運命づけられていました。
チカパシという名前は「陰茎(チカプ)を立てる(アシ)」という意味です。(チカプは本来“鳥”を表す言葉で“陰茎”は一種の隠喩)
つまり勃起。
アイヌは赤ん坊に病魔が近寄らないよう汚い幼名を付ける風習がありますが(オソマちゃん等)、6歳くらいになると、出てきた個性やその子が起こした出来事などにちなんでちゃんとした名前が付けられます。
恐らく6歳を過ぎているチカパシも、両親が亡くなる前に正式な名前を付けてもらいました。
しかしチカパシ(勃起)。
何故ならアイヌには良すぎる名前を嫌い、あえて汚いものや本人の出来事にちなんで珍妙な名前を付けることも多かったのだそうです。
そしてこのチカパシという名前は実際にあったものらしく、吉田巌氏『アイヌ史資料集』の中に書かれていたものを参考にしたと野田先生がブログで語っています。
その資料集にはチカパシの意味がこう書かれていました。
“陰茎の怒発”
野田先生が食いつかないわけがありませんね。
【ゴールデンカムイ】谷垣とインカラマッの間を後押し
谷垣とインカラマッでの3人旅に“家族”を感じていたチカパシ。
チカパシはインカラマッが牛山に言い寄られているのを見て、谷垣の食べていたご飯を奪いインカラマッに差し出しました。
それはアイヌにとっての求婚のようなもの。
男が半分食べたご飯を女に渡し、女が残りを食べたら婚姻が成立します。
「本当に家族になれば?」
谷垣とインカラマッの仲が進展してきていることを幼心に感じたチカパシは、本当の夫婦になるよう2人の仲を後押ししたのです。
当の本人たちはまだ微妙な関係だったため儀式を成立させませんでしたが、この件をきっかけとして「時が来たら改めて」と事実上の婚姻を結ぶことになったのでした。
口数の少ない谷垣とあまり本心を語らないインカラマッ…2人の心が通じ合ったのは、純粋で気を遣わないチカパシがいたおかげとも言えますね。
ちなみに谷垣のご飯の残りは白石が食べてしまいました。
【ゴールデンカムイ】チカパシとエノノカの関係は?
谷垣ともうひとり、チカパシの人生を変えた人物がいます。
それは樺太アイヌの少女・エノノカ。
樺太で出会ったチカパシとエノノカは、すぐに打ち解け行動を共にするようになります。
この年の近い女の子との出会いは、体を張って彼女を守るなどチカパシの男らしさを育てていきました。
そしてエノノカは父のホホチリをチカパシに付けるなど、2人の距離は自然と縮まっていったのです。
村の子たちと遊ぶことのなかったチカパシと、祖父と2人暮らしだったエノノカにとって、年も近く気の合う互いの存在は特別なものだったでしょう。
そして205話、チカパシに転機が訪れます。
シネマトグラフでアイヌの記録を残す作業の中で、チカパシはエノノカとヘンケと3人で鍋を囲み幸せに暮らす役を演じたのですが、そこに自分の居場所を感じたのでした。
【ゴールデンカムイ】谷垣が涙を流したチカパシとの別れ
北海道に戻る…それはエノノカとの別れとなります。
エノノカに「また来る」と伝え去るチカパシでしたが、涙を流しチカパシを見送る彼女を見て足を止めました。
あの日見た、エノノカとヘンケと幸せに暮らす光景を思い出したのです。
チカパシは意を決した様子で谷垣を見ましたが、谷垣はすでに大量の涙を流しており、こう伝えてきたのでした。
「チカパシ…お前はここに残って自分の本当の家族をつくりなさい」
チカパシにとって谷垣とインカラマッも紛れもない大切な家族。
しかし谷垣は、チカパシが“自分の”家族を作るために背中を押したのです。
谷垣の想いを受け取ったチカパシに、谷垣は二瓶の銃を渡しました。
「その銃を使う時はひとりで立つんだ」
二瓶から受け継いだ魂を渡されたチカパシは、すでに分かっていました。
ひとりで立つ…それも「勃起」だと。
チカプ(=鳥)の名がついたチカパシの巣立ちの時。
勃起魂で繋がれた2人は家族として互いに信頼し合い、前を向いて別れたのでした。
【ゴールデンカムイ】チカパシの再登場はありえる?
リュウとともに樺太に残ったチカパシ。
舞台が北海道に戻り、チカパシの出番は無くなりました。
物語はこのまま北海道でラストを迎えそうですが、やはりチカパシには再登場して欲しいですよね。
少なくともホホチリが取れて一人前となり、凛々しく二瓶の銃を構える姿が見たいなと思います。
ゴールデンカムイはそれぞれが“未来”のために奮闘している物語。
それで言うとチカパシがエノノカたちとの幸せな生活を見せてくれることが物語のひとつの答えであり、作中世界の光なのではないでしょうか。
しっかり者のエノノカの尻に敷かれていそうではありますが、自分の子どもに勃起魂を継承するチカパシの姿が描かれると良いですね。
リュウの子どもたちも見たいなあ。
谷垣とインカラマッの子どもとの出会いにも期待です。
まとめ
年相応な無邪気な子供だからこそ彼の成長がリアルであり、大きな見どころとなっています。
チカパシには未来を担う子供たちの強い姿と、未来の希望を感じますよね。
チカパシはアイヌであり、ウイルクやキロランケ、アシリパが危惧する少数民族ではありますが、ひとりの男として新しい時代を強く生き、共に旅した者たちの想いを次の時代へと繋げていってくれるでしょう。
寂しくも別れを迎えましたが、リュウと共に作中の癒しとなっていた愛されキャラ・チカパシの再登場に期待していましょう!

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