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ロズワールがレムを引き取った理由
結論から言うと、ラムの折れた角の代わりにするためです。ラムとレムを「二人で一人の鬼」として、ルグニカ王国を守る『龍』を殺す切り札にするつもりでした。
場面は原作Web版6章86話『昨日の話』です。プレアデス監視塔で、ラムは暴食の大罪司教ライ・バテンカイトスと向き合っています。その戦いの直前、ラムは十年近く抱えてきた疑問の答えにたどり着きました。「ようやくわかったわ。ロズワール様の狙いが」。
ロズワールの最終的な目的のためには、王国を守る『龍』を殺す必要がある。ラムはそれを、燃える鬼族の村で救われたときから聞かされていました。分からなかったのは、その殺し方だけです。答えに気づいたラムは、その答えを使ってライを追い詰めていきます。話の順に追っていきます。
この記事でわかること
- 6章86話『昨日の話』がどんな回か
- ロズワールの「龍殺し」の計画と、ラムに求めた対価
- レムがラムの「角の代わり」だったという答え
- 拳王・肉食獣・跳躍者を重ねたライと、ラムの「三回、機会をあげるわ」
- 共感覚で眠るレムに負担を分けた戦い方
- ライ・バテンカイトスの最期と、血で書いた文字
6章86話『昨日の話』はどんな回か
ロズワールとラムで調べた人が知りたいことを、先に表にまとめます。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 話数 | 原作Web版 第六章86『昨日の話』 |
| 場所 | プレアデス監視塔の通路(眠るレムと負傷した地竜のそば) |
| ロズワールの計画 | 最終目的のため、ルグニカ王国を守る『龍』を殺す |
| レムを引き取った理由 | ラムの失われた角の代わり。2人で1人の鬼として、龍を殺す切り札にするため |
| 戦った相手 | 暴食の大罪司教ライ・バテンカイトス |
| 結末 | 逃げたライを、ラムが千里眼で追い、風の刃で首を飛ばす |
回の始まりで、ラムが思い返すのはロズワールの昔の言葉です。「時がくればわかる。――君の、君たち姉■にしか果たせない役割が」。暴食に名前を食べられたレムにまつわる言葉は、ラムの記憶の中で塗りつぶされたままでした。題の『昨日の話』の意味は、回の最後に明かされます。
僕はこう読む
「姉■」の黒塗りが、この回でいちばん重い1文字です。
ラムはレムを覚えていません。それでも答えにたどり着けたのは、欠けた文字の形から、そこに誰かがいたと読み取れたからです。忘れた妹の役割を、ロズワールの言葉の穴から逆算した。記憶ではなく推理で妹を取り戻しにいく姉の話として、この回は始まっていると読んでいます。
ロズワールの「龍殺し」と、ラムが払うと決めた対価
十年近く前、赤く燃える鬼族の村で、ロズワールはラムと妹を救いました。その代わりにロズワールが求めた対価を、ラムは鬼族の応報と引き換えに払うと決めます。それが、『龍』を殺す計画への協力でした。
地の文によれば、ロズワールの動きはすべて、長い人生を懸けた最終目標のためにあります。ルグニカ王国に深く潜り込んだのも、鬼の姉妹を救ったのも、『聖域』を押さえたのも、スバルを試したのも、そのためでした。スバルの行動で計画が一度狂っても、それまでの仕込みは無駄にしない。ラムはそれを「周到なところは変えられないわね」と受け止めています。
僕はこう読む
ラムは「応報」と引き換えに対価を払うと決めました。故郷を焼かれた復讐を、ロズワールの計画に預けたわけです。
ところが十年たった今のラムは、ロズワールの周到さを呆れながら面白がっている。取引で始まった関係が、いつのまにか相手の癖を知り尽くした者どうしの関係になっていた。契約の言葉のまま、中身だけが恋に変わっていた十年だと読んでいます。
レムは「ラムの角の代わり」だった
ラムが出した答えは、こうです。ロズワールが幼い鬼の姉妹を最後の切り札として引き取ったのは、妹をラムの失われた角の代わりにするため。角を折られたラムと、角を持つ妹。2人で1人の鬼として、『龍』を殺すために手元に置かれていた。
ロズワールもまた、暴食の権能で妹を忘れているはずです。それでも自分の狙いにはすぐ気づけたはずで、妹を取り戻そうとするラムたちを見ながら、その事実を口にしなかった。ラムはそう読みました。
さらにラムは、もう一歩先を考えます。今回の旅に自分が同行するのを許した時点で、ロズワールはこうなることを予期していたのではないか。いざとなれば、ラムが思惑に気づき、自分から切り札をめくると信じていたのではないか。考えすぎかもしれない、と認めたうえで、ラムはこう言い切ります。
「――どうせなら、好きな男に信頼されていたと思った方が気分がいいわ」
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妹を道具として引き取られた、と分かった直後に、ラムは怒らずに「気分がいい」と言います。
冷たい事実と、甘い解釈。ラムはどちらが本当かではなく、どちらで戦うかを選んでいる。主の計算の中に自分の十年が数えられていた、と思うことにした。その選び方こそが、ロズワールへの忠誠の形なのだと思っています。
3人の怪物を重ねたライと「三回、機会をあげるわ」
ラムの前に立つライは、これまでしてこなかったことを始めていました。食べた記憶を1人ずつ借りるのではなく、混ぜ合わせて1つの体にすることです。
| 重ねた相手 | 持っていた力 |
|---|---|
| 『拳王』ネイジ・ロックハート | ヴォラキアの剣奴孤島で、素手だけで何百回も生き抜いた拳 |
| 『肉食獣』ベリ・ハイネルガ | グステコ聖王国を震え上がらせた殺人鬼。刀剣で掠り傷ひとつ負わない肌 |
| 『跳躍者』ドルケル | カララギの商人から逸脱者になった男。空間を跳ぶ神出鬼没の技 |
| 重ねた結果 | 壊す腕、攻撃を受けつけない体、どこへでも跳ぶ足を持つ1体の魔人 |
額から血を流す満身創痍のラムは、指を3本立てて言いました。「――三回、機会をあげるわ」。3回、先に殴らせてあげる、試したいことがある、と。
ライは拳王の拳、膝蹴り、肘鉄と3回打ち込み、ラムは「まず、一回」「二回目」「三回目」と数えながら、すべてを紙一重でかわしました。最後は伸ばした手で相手の頭を床に叩きつけ、「馬鹿ね」と告げます。3回の機会があると思って勝負する者は3回とも負ける、本気で勝つ気がないから、とラムは言い、時の運ですらもう自分の敵ではないと証明しました。
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「3回殴らせてあげる」は、ふつうなら負ける側の言い方です。
ラムはそれを、運を試すために使いました。何度でもやり直せる相手、他人の人生を何人分も持っている相手に、1回きりの自分で十分だと示す。たくさんの記憶を重ねて強くなったライに、数を誇る意味そのものを否定してみせた3回だったと読んでいます。
共感覚で、眠るレムに負担を分けた
ラムが戦えた理由は、眠り続けるレムとの『共感覚』でした。双子の姉妹は、強い感情や、ときにケガや痛みまで分け合います。ラムはそれを、スバルが権能で自分の負担を引き受けたのを体感して思いつきました。
ラムは、角を失った体にかかる負担を眠るレムへ流し込みます。眠るレムの額では白い角が淡く光り、重ねた両手には、杖に仕込まれていたラムの折れた角が持たされていました。ラムは戦いの前に、眠る妹へこう言っています。
「許してちょうだい。こんなときに、あなたにも荷を背負わせる悪い姉様を」
ラムはさらに『千里眼』で相手の視界を盗み、狙いを先読みしました。枷を外したラムの力は、地の文の言葉で全盛期の五割。それでも、角が折れる前の幼いころより、成長した今のほうがよほど強いとされています。
僕はこう読む
ロズワールの計画では、レムは「角の代わり」という道具でした。
ところがラムは、同じ仕組みを使いながら、レムに「悪い姉様を許して」と謝っています。道具として渡された妹を、姉として借りた。龍を殺すための仕掛けが、この夜だけは姉妹が一緒に戦うための絆として動いた。ロズワールの計算と、ラムの愛し方が、同じ角の上で重なった場面だと読んでいます。
ライ・バテンカイトスの最期
ラムの暴力は、ライが重ねた技をことごとく潰していきます。拳王の膝を折り、肉食獣の巨体を天井へ釘付けにし、跳躍者の跳ぶ先を読んで顔をつかむ。最後にライは、借り物ではない自分の顔に戻りました。ラムはライの弟と妹のことを口にし、ライは妹に手を出すなと涙声で懇願します。
ラムが一瞬視線をそらしたすきに、ライは「――姉様は、優しすぎます」と言い残し、跳躍で姿を消しました。逃げながらライは、ラムに初めて心の底から焦がれ、自分が集めてきた『美食』がすべて色あせたと感じます。
ところが逃げ道には、ライ自身が螺旋階段で見せた見えない刃が張られていました。ラムは一度見ただけの技を再現し、千里眼でライの右目に重なって先回りしていたのです。逃げられないと悟ったライは、斬り落とされた手首の血で、塔の壁に大きく文字を書きます。「あァ、愛して――」。言い切る前に、ラムの「――フーラ」の風の刃が、その首を飛ばしました。
僕はこう読む
ライは死ぬ間際に、初めて本気で何かを欲しいと思いました。それが、自分を殺しにくるラムでした。
食べることでしか誰かとつながれなかった者が、最後に食べられない相手に恋をして、血で壁に想いを書く。奪うことしか知らない愛の、行き止まりがそこにある。あの血文字は、暴食という生き方の最後の告白だったと思っています。
ライが死んで、ラムはレムの名前を呼んだ
ライの首が飛んだあと、ラムは眠り続ける妹のそばに跪き、頬に手を添えます。それまで塗りつぶされていた妹の名前を、ラムははっきり口にしました。
「――今日、ここで、ラムがレムの姉様だってわかるためにあったのよ」
あの炎の夜に角が折れたのは何のためだったのか。ラムはずっと、自分が自分になるためだったと考えてきました。その答えが、この日から変わります。共感覚で負担を分け合い、魂と魂で触れ合ったことで、2人がかけがえのない姉妹だと実感できたからです。
ラムは、2人がどんな昨日を重ねてきたのか、足りない思い出を一緒に埋めようと語りかけます。「たくさんの、昨日の話をしましょう」。題の『昨日の話』は、この言葉から来ています。そして最後に、「――愛してるわ、レム」。
まとめ|レムは龍を殺すための「角の代わり」だった
Web版6章86話『昨日の話』で、ラムはロズワールの狙いに気づきました。ロズワールが鬼の姉妹を引き取ったのは、レムをラムの折れた角の代わりにし、2人で1人の鬼として『龍』を殺す切り札にするためでした。
- ロズワールの最終目的には、ルグニカ王国を守る『龍』を殺す必要がある
- ラムは鬼族の応報と引き換えに、その計画に協力すると決めていた
- レムは、ラムの失われた角の代わりとして引き取られていた
- ラムは「三回、機会をあげるわ」と言い、3人分の力を重ねたライの攻撃をすべてかわした
- 共感覚で眠るレムに負担を分け、千里眼で相手の狙いを読んだ
- 逃げたライは壁に血で文字を書き、ラムの風の刃で首を飛ばされた
- ライが死んだあと、ラムはレムの名前を呼び、「たくさんの、昨日の話をしましょう」と語りかけた
僕はこう読む
回の最後、地の文は、ラムの「愛してるわ、レム」がライの最期の言葉と同じでも、同じ響きにはならない、と結んでいます。
ライの「愛して」は、食べたいという飢えでした。ラムの愛は、眠る妹に謝りながら荷を分け、これからの昨日を一緒に埋めようと言うことでした。ロズワールが「角の代わり」として引き取った妹を、ラムは思い出を分け合う相手として呼び直した。題の『昨日の話』は、計画の言葉を姉の言葉で上書きした回だと思っています。
ラムは、レムが道具として引き取られたと知ったうえで、それでも好きな男に信頼されていたと思うほうを選びました。その選び方が、ライとの戦いの勝ち方にもつながっています。
——あなたは、ロズワールがラムの同行を許したのは、本当にラムを信頼していたからだと思いますか。それとも、ラムの言うとおり考えすぎだと思いますか。よければコメントで教えてください。
よくある質問
6章86話とロズワールの計画、ラムとライの戦いについて、よく聞かれることを置いておきます。
Q. ロズワールがレムを引き取った理由は何ですか。
A. Web版6章86話でラムが出した答えでは、ラムの失われた角の代わりにするためです。2人で1人の鬼として、ルグニカ王国を守る『龍』を殺す切り札にするつもりでした。
Q. ロズワールはなぜ龍を殺そうとしているのですか。
A. 6章86話では、ロズワールの最終的な目的を達成するために『龍』を殺す必要がある、とだけ語られます。ロズワールは長い人生を懸けたその目標のために、王国に潜り込み、聖域を押さえ、スバルを試してきました。
Q. ライ・バテンカイトスの弟と妹は誰ですか。
A. 同じ暴食の大罪司教のロイ・アルファルドとルイ・アルネブです。6章86話で逃げるライは「ルイとロイ、二人には悪いけどさァ」と弟妹を笑い、ラムに妹へ手を出すなと懇願していました。
Q. ライ・バテンカイトスは何話で死亡しましたか。
A. Web版6章86話『昨日の話』です。ラムから逃げたあと、壁に血で文字を書いているところを、ラムの風の刃で首を飛ばされました。
Q. ラムの「三回、機会をあげるわ」とはどういう意味ですか。
A. 先に3回殴らせてあげる、という申し出です。ラムはライの3回の攻撃をすべてかわし、時の運ですらもう自分の敵ではないと証明しました。
Q. 6章86話でラムはレムを思い出したのですか。
A. ライが死んだあと、ラムは眠る妹を「レム」と名前で呼び、「――愛してるわ、レム」と語りかけています。6章90話でも、ライを討ったことで仲間たちがエミリアを思い出したと語られます。
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この記事を書いた人:カイ。読み終わったあとの「なんでここ、こう描いたんだろう」を、一人で考えています。→ 運営者情報
最終更新:2026年10月3日


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