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デンプシーロールとは、何なのでしょうか
結論から言うと、実在する技です。元世界ヘビー級王者ジャック・デンプシーが編み出しました。幕之内一歩の創作技ではありません。
そして弱点も、はっきりしています。規則正しい振り子運動なので、カウンターを合わせやすいことです。沢村竜兵に見切られたのは、この一点でした。
この記事でわかること
- 実在の技であること、生みの親と動き
- 実際のボクシングでの扱いは「基礎中の基礎」だということ
- 一歩がこの技を編み出した理由
- 初披露と、完成した試合(28巻から30巻)
- 弱点はカウンター1つに集約されること
- 破った3人の選手と、その破り方
- 新型デンプシーロールと、体に残った代償
実在します。ジャック・デンプシーの技です
まず、いちばん多い疑問から答えます。
デンプシー・ロールは実在の技です。ボクシングの元世界ヘビー級王者ジャック・デンプシーが編み出しました。技の名前は、そのまま彼の名前から来ています。
動きはこう説明されます。
相手がグロッキーになったところで、自分の軸が相手の軸の向こう側に出るように死角へ回り込み、左右のウィービングで勢いをつけ、体重の乗ったスピーディーなフックを叩きつける。
日本では、スーパーライト級の世界チャンピオンだった藤猛が、相手に止めを刺すときに使っていました。藤猛も一歩と同じハードパンチャーで、ハンマーパンチという異名を持っています。
実際のボクシングでは「基礎中の基礎」です
ここが、いちばん誤解されているところだと思います。
現在のボクシングで「デンプシー・ロール」という呼び名そのものは、ほとんど見かけません。
技が消えたわけではありません。逆です。
真面目にインファイトを練習していれば、どんなボクサーでも知らないうちに習得できる基礎中の基礎だとされています。
つまり必殺技ではなく、インファイターの基本動作だということになります。実戦では相手に止めを刺すときに用いられることがほとんどです。
僕はこう読む
この事実を知ったうえで作品を読み直すと、森川ジョージがなぜこの技を選んだのかが見えてくると思っています。
デンプシーロールは「才能のある者だけが使える技」ではありません。基礎です。誰でも通る道です。
一歩は「強いって何ですか」と聞き続ける主人公でした。天才ではありません。宮田のようなセンスも、間柴のような凄みもない。実家の釣り船屋で鍛えた足腰と、練習量だけで来た人物です。
その一歩の代名詞が、誰でも身につく基礎を、誰も真似できないところまで磨いた技でした。技の選び方そのものが、この作品の主張だと読んでいます。
この技は、伊達戦の初黒星から生まれました
作中での成り立ちを追います。
破格のパンチ力を持つ一歩は、日本タイトルマッチで伊達に敗れ、初黒星を喫しました。
そこから所属ジムの会長でありトレーナーでもある鴨川源二とともに編み出したのが、この技です。
考え方は「打たれる前に打つ」。攻防一体型のスタイルになっています。
動きは、独特なウェービングからフックを打ち、その反動でまたフックを打ち込むという連続です。
横から縦への連続ブローになるので、強靭な足腰が要求されます。
一歩がこれをこなせた理由もはっきりしています。実家が釣り船屋で、パンチ力と背筋、体幹が幼少期から鍛えられていたこと。そのうえで足腰をいじめ倒し、捻れを伴うブローに対応できる筋肉を作ったことです。
初披露はポンチャイ戦、完成は千堂戦です
試合ごとに整理します。
初めて披露されたのは伊達戦のあとの再起戦、ポンチャイ・チュワタナ戦です。タフネスを誇るタイ人が相手でした。
このとき一歩は珍しく「次で倒してきます」と陣営に伝えてからリングに上がっています。
そして完成形が出るのが千堂武士戦です。
単行本では第28巻から第30巻、日本フェザー級タイトルマッチにあたります。新人王戦で勝った相手と、立場を入れ替えての再戦でした。
試合中、一歩は弱気な面も見せます。必殺ブローのガゼルパンチを当てても、千堂は立ち上がってきました。
そこで「強いって何ですか」の答えを出すよう会長に言われた一歩が、ついに完成形のデンプシーロールを披露します。
難波の虎・千堂に左右のフックを炸裂させ、一歩は日本王者になりました。
弱点は1つです。振り子のリズムがカウンターを呼びます
ここから弱点の話です。実在の技である以上、弱点も実在します。
技そのものの欠点は、こう説明されています。フックに隙が多く、カウンターで倍返しということも少なくない。
作中ではさらに具体的です。規則正しい振り子運動なので、カウンターを合わせやすい。
ウェービングのリズムが一定なので、攻撃のタイミングを読んでバックステップをすれば、カウンターを合わせられます。
もう1つあります。前進しながら打ち出す技なので、相手が後退するか停止しなければ連撃が続きません。
つまり下がってくれる相手にしか完成しない技だということになります。
破った選手は3人います
作中でデンプシーロールを止めた選手を並べます。
デンプシーロールを破った3人
- 島袋岩男……息を止めて打ち合う我慢比べ。技を破ったというより一歩そのものへの対策
- 沢村竜兵……カウンターの名手。振り子のリズムを読み切った
- アルフレド・ゴンザレス……オールラウンダー。一歩最大の武器である前進を、ショートフックのカウンターで削った
いちばんはっきり破ったのは沢村です。
沢村は宮田を超える才能を持つと言われ、死刑執行人・間柴了をも凌駕するカウンターの使い手でした。振り子のリズムで動く不器用な一歩は、絶好の餌食になります。
実際、早いラウンドで沢村のノックアウト勝ちもあり得た展開でした。技は完全に見切られていたということです。
ゴンザレス戦の削り方も、考え方としては同じです。デンプシーロールを出す頃には、もう前進する体力が残っていない。技そのものではなく、技に入るまでの部分を潰されました。
新型デンプシーロールと、その代償
沢村戦で一歩が出した答えが、新型デンプシーロールです。
やったことは「止まる」ことでした。
捻れて動作に入っている段階で、無理やり止まる。そうしてカウンターのタイミングをずらします。
ただしこれは荒技です。筋肉が引きちぎれ、体が軋んでいるように描かれています。選手生命さえ縮めかねない代償を払っていました。
そして最終的に、一歩は沢村をデンプシーロールで倒します。
その後、鴨川会長はさらに先の新型を仕込みにかかります。横だけでなく縦の動きを加えるという方向でした。デンプシーロールは横のフック系が多いため、下からのアッパーを加えるための動きです。
ゲバラ戦で敗れ、一歩は引退しました
新型のお披露目となったのがアントニオ・ゲバラ戦です。
一歩は簡単にダウンを奪いますが、そこからデンプシーロールがうまく出せません。ゲバラは一歩にとって初めてのサウスポーで、それを差し引いてもかなりの苦戦でした。
そして結果です。一歩は、デンプシーロールに合わせたゲバラのカウンターに敗れました。
試合後、パンチドランカーの疑いが浮上します。一歩はリングを降り、いまはトレーナーとして活動しています。
ただし復帰の気配もあります。外からボクシングを見ることで新たに見えた部分があり、ダメージも少しずつ抜けている描写です。休んだことで動き出した筋肉に、会長も驚いていました。
まとめ|デンプシーロールをどう読むか
デンプシーロールは実在の技で、弱点は規則正しい振り子運動によるカウンター1点に集約されます。
技の事実
- 元世界ヘビー級王者ジャック・デンプシーが編み出した実在の技
- 死角へ回り込み、左右のウィービングで勢いをつけて体重の乗ったフックを叩きつける
- 現在は呼称こそ見かけないが、インファイトの基礎中の基礎
- 日本ではスーパーライト級世界王者・藤猛が止めを刺すときに使った
作中での歩み
- 伊達戦の初黒星を受け、鴨川源二とともに編み出した
- 初披露はポンチャイ・チュワタナ戦
- 完成形は千堂武士戦(28巻から30巻・日本フェザー級タイトルマッチ)。ここで日本王者に
- 破った選手は島袋岩男・沢村竜兵・アルフレド・ゴンザレスの3人
- 新型は「無理やり止まる」技。筋肉が引きちぎれる代償を伴う
- ゲバラのカウンターに敗れ、パンチドランカーの疑いで引退
僕はこう読む
デンプシーロールを追っていくと、この技が一歩を勝たせ、そのまま一歩を降ろしたことが分かります。
伊達に負けて生まれ、千堂を倒して王者にし、沢村を倒し、そしてゲバラのカウンターで終わらせた。入口も出口も、同じ技です。
しかも弱点は最初から分かっていました。振り子のリズムはカウンターを呼ぶ。作中の誰もがそう言い続けていた。それでも一歩はこれを手放さなかった。
手放さなかったのは、他に持っていなかったからだと思っています。宮田にはカウンターがあり、間柴にはリーチがあり、千堂には天性の打たれ強さがあった。一歩にあったのは、鍛えた足腰と練習量だけです。
だから基礎中の基礎を、命を削ってでも磨き続けた。その果てに引退がある。この作品が残酷なのは、努力が正しく報われて、そのうえで終わったところだと読んでいます。
そのうえで、まだ残る問いがあります。一歩が復帰したとき、新型デンプシーロールがどんな形になるのかは、まだ描かれていません。横と縦を加えるところまでは会長が仕込んでいました。カウンターを呼ぶという弱点そのものを消せるのか。ここは止まったままです。
——あなたは一歩が復帰するとしたら、デンプシーロールを捨てて別の武器で戦うべきだと思いますか、それとも弱点を抱えたままでも磨き続けるべきだと思いますか。よければコメントで、あなたの読み方を聞かせてください。
よくある質問
デンプシーロールは実在の技と作中の描写が混ざって語られやすいところです。切り分けて拾っておきます。
Q. デンプシーロールは実在しますか
A. 実在します。元世界ヘビー級王者ジャック・デンプシーが編み出した技で、彼の名前がそのまま技名になっています。
Q. 実際のボクシングでも使われていますか
A. 使われています。ただし現在は呼び名そのものを見かけません。真面目にインファイトを練習していれば誰でも身につく基礎中の基礎とされ、相手に止めを刺すときに用いられることがほとんどです。
Q. デンプシーロールの弱点は何ですか
A. カウンターです。フックに隙が多いうえ、規則正しい振り子運動なのでタイミングを読まれます。また前進しながら打つ技なので、相手が下がるか止まらなければ連撃が続きません。
Q. デンプシーロールを破ったのは誰ですか
A. 島袋岩男、沢村竜兵、アルフレド・ゴンザレスの3人です。島袋は息を止めての我慢比べ、沢村はカウンター、ゴンザレスはショートフックで一歩の前進を削りました。
Q. デンプシーロールが完成したのは何巻ですか
A. 千堂武士との日本フェザー級タイトルマッチで、単行本では第28巻から第30巻にあたります。初披露はそれ以前のポンチャイ・チュワタナ戦です。
Q. 新型デンプシーロールとは何ですか
A. 捻れて動作に入っている段階で無理やり止まり、カウンターのタイミングをずらす技です。筋肉が引きちぎれるほどの負荷がかかり、選手生命を縮めかねない代償を伴います。
Q. 一歩はなぜ引退したのですか
A. アントニオ・ゲバラ戦で、デンプシーロールに合わせたカウンターに敗れたためです。試合後にパンチドランカーの疑いが浮上し、現在はトレーナーとして活動しています。
実在する技で、弱点はカウンターです。沢村戦、唐沢の対策、負けた相手も。
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この記事を書いた人:カイ。読み終わったあとの「なんでここ、こう描いたんだろう」を、一人で考えています。→ 運営者情報
最終更新:2026年9月9日


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