ニナ・ファリオンとは、誰なのでしょうか
結論から言うと、剣神ガル・ファリオンの娘で、剣王の称号を持つ剣士です。剣帝を目指していましたが、ジノとの結婚と出産で自ら諦めました。
この人物を追うと、エリスとの関係がそのまま成長の記録になっていることが分かります。惨敗から始まり、最後は友人になる。順に並べます。
この記事でわかること
- ニナの立場と、剣王までの道のり
- 剣帝を諦めた理由
- エリスに惨敗した場面
- ルーデウスを奴隷にしようとした件
- ジノとの結婚に出された条件
- エリス・イゾルテとの三竦み
剣神の娘で、剣王まで到達しました
まず立場からです。
ニナ・ファリオンは、剣神ガル・ファリオンの娘です。ガル・ファリオンの直弟子である剣帝ティモシー・ブリッツに、幼い頃から指導を受け、剣神流を熱心に稽古してきました。
外見は濃紺色の髪を首の後ろで束ね、浅黒い肌が特徴です。
称号については、こうです。
- ガル・ファリオンの命で、エリスと「2人目の剣王」を選ぶ試合に出場。善戦するも敗北した
- 負けたニナは号泣している
- その数年後、剣王として認められた
- 剣帝は目指していたが、ジノとの結婚と子供の出産で断念
断念の直接のきっかけは結婚前にジノと本気で試合をして負けたことでした。そこで剣術に対する諦めがつき、代わりに子育てという道に没頭したいという気持ちが湧いています。
ニナに後悔はありません。
僕はこう読む
ニナが剣帝を諦めた場面は、負けたから諦めたという話ではないと思っています。
この人物は、それまでずっと負け続けてきました。エリスに惨敗し、バーディガーディに愛剣を折られ、剣王の座も一度は取れなかった。それでも折れていません。負けるたびに稽古に戻っています。
ところがジノに負けたときだけ、諦めがついた。相手が違うからです。
エリスは越えるべき壁でした。ジノは一緒に生きる相手です。負けても失うものが無い相手に、初めて負けた。そこで剣を置けたのだと読んでいます。
剣の才能はありますが、字が読めません
意外な一面もあります。
ニナは剣術の才能に優れている一方、文字が読めません。これは蛇足編でギレーヌが語る場面で判明します。
ギレーヌはこう警告しています。この世界は剣の腕に優れた人間も容赦なく殺す。魔術や算術、せめて文字くらいは読めないと、死はあっという間にやってくると。
ニナに限らず、剣の聖地の子供たちは文字が読めませんでした。剣の聖地の教育方針そのものに関わる話です。
エリスには、惨敗しています
ニナを語るうえで外せないのがこの場面です。
剣の聖地にエリスとギレーヌが現れます。エリスは剣神ガル・ファリオンに、龍神オルステッドを倒すために剣神流を学ぶと宣言しました。
ガル・ファリオンはエリスを気に入り、腕試しにジノ・ブリッツと戦わせます。ところがエリスはジノを即座に打ち負かしました。
そこで指名されたのが娘のニナです。剣聖から金属入りの木刀を渡されたニナは、目の前のエリスを殺すと決意します。剣の聖地に突然現れて無礼を働いた相手を、許すつもりはありませんでした。
顔面に数十発、そして失禁
試合が始まります。ニナは素早い動きで剣神流の型どおりに技を放ち、エリスの木刀を打ち砕きました。勝利を確信し、脳天に強烈な一撃を叩き込もうとします。
次の瞬間、ニナはエリスに顔面を殴られました。
さらに蹴り飛ばされ、馬乗りで押さえ込まれ、顔面に数十発の拳を叩き込まれます。観戦していた剣聖たちが慌てて制止しました。
ニナは鼻血を垂らし、歯が折れて失神。しかも失禁していました。
ニナも強かったのですが、エリスの野獣のような強さが上回った結果です。なおエリスはこのあとガル・ファリオンに瞬時に敗北していますが、実力を評価されて剣神流への入門を許可されました。
2年間、口をききませんでした
この敗北から、ニナは露骨に不快感を示すようになります。
恥をかかされたエリスは剣神流の剣士にふさわしくないと言い続け、2年間、口をききませんでした。さらにジノや同年代の弟子たちと組んで、エリスを仲間外れにしていきます。
月に1回の内弟子の総稽古では、軽い嫌味を言う程度でした。実力が拮抗していたことが、とにかく気に入らなかったのです。
ニナは実戦不足でしたが、試合のルールに則った戦いなら自分が優勢——そう考えて、勝手にエリスをライバル視していました。
ルーデウスを奴隷にしようと、大学まで行きました
関係が変わるきっかけは、ここです。
女子たちと男性の話をしていたニナは、稽古を終えて通りかかったエリスを見つけます。自分たちが雑談している間も稽古していたと知って焦り、男性とは無縁の生活だと馬鹿にしました。
ところがエリスは勝ち誇った表情で、すでに性行為は済ませていると堂々と宣言します。
相手は誰かと問い詰めると、エリスはルーデウスのことを自慢げに語りました。そして「今の自分は彼と釣り合わないから、もっと強くなる必要がある」と言って去っていきます。
ニナは完全に敗北したと悟りながらも、それを信じたくありませんでした。
倒して奴隷にし、エリスに見せつけるつもりでした
ニナは情報屋からルーデウスの情報を集めます。有名人だと知って驚愕しますが、すぐに「幼い頃の才能だけで生きている人物だ」と勝手に解釈し、噂も大したことはないと自分に言い聞かせました。
そして決意します。ルーデウスを自分の力で倒し、奴隷にして剣の聖地へ連れ帰る。エリスに彼の姿を見せたら、どう反応するのかを試したい——。
旅支度をして馬でラノア王国へ向かい、ラノア魔法大学に到着します。入学したわけではありません。ルーデウスを探しに来ただけです。
魔王に倒され、泣きました
ニナはルーデウスを発見しますが、獣族の青年が挑んで一瞬で倒される光景を目撃して衝撃を受けます。
気を取り直して図書館へ向かうと、ルーデウスと決闘するための列ができていました。ニナもそこに並びます。
そこへ現れたのが真っ黒い肌をした筋肉質の魔族——魔王バーディガーディです。彼はここにいる全員を倒して自分が先に戦うと宣言しました。
並んでいた者たちが怒り狂うなか、ニナも襲いかかり、剣神流の奥義・光の太刀を放ちます。体に傷を付けましたが一瞬で再生され、善戦むなしく愛剣を折られて倒されました。
しかも手加減されていたと知ります。武器を失い、何もできない悔しさから大粒の涙が零れ落ちました。
ルーデウスの魔術を見て、改心します
そこへ図書館からルーデウスが出てきます。バーディガーディと話し、場所を移して決闘が始まりました。
気になって追いかけたニナが見たのは、ルーデウスが杖を向けた瞬間、バーディガーディの上半身が弾け飛ぶ光景でした。
自分が敗北した相手を倒すルーデウス。ニナは黙り込み、その強さを理解します。そして彼を支えるために努力しているというエリスの話を、信じました。
静かに大学を去り、剣の聖地へ戻ったニナは、いつも通りに剣を振るエリスを見て心を入れ替えます。
以降、剣の修行に没頭し、エリスを馬鹿にしなくなりました。この一件を機に、エリスの本当のライバルになっていきます。
僕はこう読む
「ルーデウスを奴隷にして連れ帰る」という発想が、この人物の可愛いところだと思っています。
普通なら、エリスに勝つために稽古します。ニナがやったのはエリスの男を取り上げに行くことでした。剣の話ではありません。負けを認めたくない子どもの理屈です。
しかもわざわざ馬で他国まで行っている。行動力だけは本物です。
そして現地で、自分を手加減で倒した魔王が、一撃で吹き飛ぶところを見てしまう。ここで初めて、エリスが見ている世界の高さが分かる。
間違った理由で動いたから、正しい景色に行き当たった。説教でも敗北でもなく、こういう形でしか人は変われないのだと読んでいます。
結婚の条件は、父を倒すことでした
結婚の経緯も整理します。
ニナはアスラ王国で、第二王女アリエルの戴冠式を見に行きます。その傍らで目にしたのが剣友エリスの幸せそうな様子でした。ルーデウスと結婚したエリスは、剣の聖地で知り合った頃とは違う一面を見せていました。
剣の聖地に戻ったニナは、ジノ・ブリッツのところへ行き、自分たちも結婚しないかと持ちかけます。そのまま部屋に連れて行き、深い関係になりました。逆プロポーズです。
翌日、2人でガル・ファリオンのもとへ向かい、ジノが結婚したいと伝えます。
ところがガル・ファリオンは許しませんでした。剣術も中途半端で野心も無い男は、娘の相手にふさわしくないという判断です。
そのうえで、条件を出します。
「自分を倒すことができれば許可する」
これを聞いたジノは変わりました。過酷な特訓と稽古を徹底的に積み、ある日の朝ニナに改めてプロポーズしたうえで、ガル・ファリオンに試合を申し込みます。
そして渾身の一撃で倒すことに成功しました。こうして2人は結婚します。
子供は3人です。息子のネル・ブリッツ、娘のジル・ブリッツ、そして剣の聖地を訪れたエリスとの再会時に、お腹の中に3人目がいると明かしています。3人目の性別は不明です。
エリス・イゾルテとは、三竦みの関係でした
最後に、剣の聖地での3人の関係です。
ある日、剣の聖地に来客がありました。水神流最強の剣士レイダ・リィアと、その孫娘イゾルテ・クルーエルです。ガル・ファリオンがレイダに出した手紙がきっかけでした。
ガル・ファリオンはエリスを鍛えてほしいとレイダに依頼します。レイダは少し天狗になっている弟子イゾルテの刺激になればと考え、剣神流の剣術を見せてほしいと願い出ました。
そしてエリスの才能を見極めるため、イゾルテとニナと試合をさせることに。結果が面白い形になります。
三竦み
- ニナ は イゾルテ に勝つ
- イゾルテ は エリス に勝つ
- エリス は ニナ に勝つ
ここから3人は修行と試合に明け暮れます。試合のあとすぐに意見交換をし、お互いの弱点を教え合い、長所を理解していきました。
やがて互角以上に戦えるようになり、かけがえのない友人関係を築きます。剣の聖地を去ったあとも、エリス・イゾルテとの縁はずっと続いていきます。
まとめ|ニナ・ファリオンをどう読むか
剣神の娘で、剣王。剣帝は自分で諦めた剣士です。
立場と実力
- 剣神ガル・ファリオンの娘。剣帝ティモシー・ブリッツに幼少期から指導を受けた
- 数年かけて剣王の称号を獲得。剣帝は結婚と出産で断念した
- 剣の才能はあるが文字が読めない。剣の聖地の子供たちに共通する
- 奥義光の太刀を放てる
エリスとの関係
- 初戦で顔面に数十発を受け、歯が折れて失神・失禁した
- その後2年間、口をきかず仲間外れにした
- ルーデウスを奴隷にしようとラノア魔法大学へ行き、魔王バーディガーディに敗北
- ルーデウスの魔術を見て改心し、以後は本当のライバルになった
結婚と家族
- アリエルの戴冠式でエリスの幸せを見て、ジノに逆プロポーズした
- 父が出した条件は「自分を倒すこと」。ジノは特訓の末に渾身の一撃で勝利した
- 子供はネル・ブリッツ、ジル・ブリッツ、そして3人目(性別不明)
- エリス・イゾルテとは三竦みの関係から生涯の友に
僕はこう読む
ニナはこの作品で唯一、まっとうに負け続けた人だと思っています。
ルーデウスには前世の知識があり、エリスには狂気じみた才能がある。ニナにあるのは剣神の娘という肩書きと、人並み外れた稽古量だけです。それで足りなかった。
失禁するほど叩きのめされ、魔王には手加減され、剣王の座も一度は取れませんでした。どの負けも、言い訳が用意されていません。
それでも最後は剣王になり、結婚し、子供を3人育てています。越えられなかった相手と、生涯の友になった。
剣帝になれなかったことを、この作品は挫折として書いていません。諦めたのではなく、選び直した——そう読むほうが、ニナの歩き方に合っていると思います。
そのうえで、まだ残る問いがあります。ニナが剣帝を本気で目指し続けていたら、届いていたのかどうかは分かりません。結婚前にジノに負けたことで諦めがついた、と描かれるだけです。剣王まで到達した実力を考えれば、可能性はあったはず。ここは確かめようがありません。
——あなたはニナが剣帝まで届いていたと思いますか。それとも剣王が限界だったと思いますか。よければコメントで、あなたの読み方を聞かせてください。
よくある質問
ニナ・ファリオンは称号と結婚の話が混ざりやすい人物です。切り分けて拾っておきます。
Q. ニナ・ファリオンとは誰ですか
A. 剣神ガル・ファリオンの娘で、剣王の称号を持つ剣士です。剣帝ティモシー・ブリッツに幼い頃から指導を受けてきました。
Q. ニナは剣帝になったのですか
A. なっていません。目指してはいましたが、ジノとの結婚と子供の出産を経て断念しました。本人に後悔はありません。
Q. ニナとエリスはなぜ対立したのですか
A. 剣の聖地に来たエリスとの初戦で、顔面に数十発を受けて失神・失禁するほど打ちのめされたためです。その後2年間、口をききませんでした。
Q. ニナはラノア魔法大学の学生ですか
A. 違います。エリスの想い人であるルーデウスを倒して奴隷にし、剣の聖地へ連れ帰るために訪れただけです。
Q. ニナとジノの結婚条件は何でしたか
A. 父である剣神ガル・ファリオンを倒すことです。ジノは過酷な特訓を積み、渾身の一撃で勝利して結婚を認められました。
Q. ニナとジノの子供は何人ですか
A. 3人です。息子のネル・ブリッツ、娘のジル・ブリッツ、そしてエリスとの再会時にお腹にいると明かした3人目がいます。3人目の性別は不明です。
この記事を書いた人:カイ。読み終わったあとの「なんでここ、こう描いたんだろう」を、一人で考えています。→ 運営者情報
最終更新:2026年9月9日
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