オーバードとは、何なのでしょうか
結論から言うと、正式に認められた遺物の等級ではありません。「奈落の至宝(オーバード)」は、探窟家たちのあいだで都市伝説として語り継がれている存在で、遺物録にも載っていません。
ここが「特級遺物」と混同されやすいところです。特級は等級。オーバードは等級の外側。この記事では、その違いから見ていきます。
この記事でわかること
- 遺物の四級から特級までの分類
- 判明している特級遺物4つ
- オーバードが等級ではない理由
- 遺物録に載っていないこと
- レグがオーバード候補とされる根拠
- レグが干渉器ではないと分かった経緯
遺物は、四級から特級まで分類されています
まず前提です。遺物は発掘される階層の深度が深いほど希少性が高くなり、効果も強力になります。
そして効果ごとに階級が定められています。
- 四級……ガラクタだが、他国では高価で取引されている
- 三級……四級よりは実用性があるが、使う機会は限られる
- 二級……探窟や日常生活をより快適にしてくれる
- 一級……二級と比べ物にならず、非常に貴重
- 特級……規格外の性能を持ち、それ一つで国家間のパワーバランスをも変える
最上位の特級遺物の収集依頼は、国家から直接、白笛探窟家に依頼されます。成功すれば一生遊んで暮らせるような大金が得られる仕事です。
ちなみに白笛探窟家への昇格条件には「探窟史を変えるような発見をする」という項目があり、新たな特級遺物の発見もこれに該当すると推測されています。
判明している特級遺物は、4つです
- 時を止める鐘(アンハードベル)……リコの母ライザが発見した遺物。名前のとおり時を止めると思われる。この任務の途中でリコが産まれ、父トーカが死亡している
- 精神隷属機(ゾアホリック)……ボンドルドが窃盗した遺物。使用者の意識を他の人物に植え付けられるが、移植された側は精神に異常が生じ発狂することがある。ボンドルドは異常な探求心により、自我を保ったまま移植できるとみられる
- 命を延ばす酒(ディプシーイオン)……遺物録に記載。名前しか出ておらず、詳しい能力は不明
- 決して切れない糸(スタースレッド)……遺物録に記載。こちらも名前のみ。シンプルな能力だからこそ応用性があるのかもしれない
オーバードは、その等級表に載っていません
では「奈落の至宝(オーバード)」はどこに位置するのか。
作中での説明は「アビス史上最も価値のある遺物のひとつ」です。ここで「それって特級遺物のことでは?」と思いたくなりますが、違います。
オーバードは、正式に階級として認められている訳ではありません。いわば都市伝説のように語り継がれている存在です。
だから妙なことが起きます。誰もが「奈落の至宝」という言葉は知っているのに、いったいどんな物がそれに該当するのかは誰も知らない——そういう扱いなのです。
当然、遺物録にも記載されていません。
それでも存在を信じる人物はいます。夢見がちな子供たちはもちろん、ハボルグのような熟練の探窟家にも数名いるようです。
実際、無断でアビスの底を目指すリコたちを追ってきた黒笛探窟家のハボルグは、本当に冒険を応援するつもりで来たようでもあり、同時にナットたちに「奈落の至宝を見る最後のチャンスだ」と言いくるめられたようにも見えました。
僕はこう読む
オーバードが等級表の外にある、という設計がうまいと思っています。
この作品の遺物は、すべて値段が付くものです。四級でも他国では高く売れ、特級なら一生遊んで暮らせる。アビスの価値は、地上の金額に換算できるようになっています。
そこにひとつだけ、換算できない枠が置かれました。等級が無く、遺物録にも無く、実物を見た者もいない。
熟練の探窟家が、それでも信じて潜っていく。金額に換算できないものが、いちばん人を深く潜らせる。この作品が探窟という行為をどう見ているかが、この一語に出ていると思います。
レグが、オーバードの候補とされています
都市伝説だったオーバードに、実在の可能性を持たせた存在がレグです。
レグは、探窟家見習いのリコがアビスの中で機能停止しているところを拾った少年型ロボット。オーバード候補とされる理由は、こう並びます。
- 長いアビス探窟史でも、彼のような機械生命体は発見されていない
- オーゼンの怪力でも傷付かない強靭な肉体
- 上昇負荷(アビスの呪い)を受けない体質
- すべての防御を無効にする「火葬砲」を扱える
- 人間との交流が可能な知能を持つ
これだけそろえば、まさに「奈落の至宝」に相応しい存在です。
レグは、干渉器ではありませんでした
もうひとつの可能性として干渉器説がありましたが、こちらは薄くなっています。
レグは深界六層の干渉器であるガブールンから「お前のような干渉器は知らない」と言われました。
また、作中に登場した干渉器はいずれも機械仕掛けの雰囲気が強いのに対し、レグは人間味が強い——同種の干渉器ではないと考えられます。
ただし注意点もあります。さらに深層でレグのような存在が多数見つかった場合、希少性が下がってオーバードではなくなる可能性があります。
なおレグ自身の記憶はまだ戻っておらず、正体がオーバードかどうかも確定していません。
都市伝説のまま終わるのか
オーバードは、このまま都市伝説で終わってしまうのでしょうか。
その可能性は低いと考えています。すでに候補であるレグが存在するからです。
今後レグを超える貴重な存在が見つからなかったとしても、レグの時点で希少性は十分に高く、オーバードに認定されるだけの条件はそろっています。
ただしレグの存在を知る人物が少ない——オーゼンという有名人はいますが——ため、公の場で「レグがオーバードだった」と宣言される場面は来ないかもしれません。
宣言されなければ遺物録にも記されず、結局そのまま噂のような存在で残る。都市伝説的存在としては、むしろその扱いのほうが似合っているとも言えます。
まとめ|オーバードをどう読むか
オーバードは正式な等級ではなく、遺物録にも載らない都市伝説です。
決め手だけ並べます。
定義
- 正式名は「奈落の至宝(オーバード)」。アビス史上最も価値のある遺物のひとつとされる
- 階級として認められておらず、遺物録にも記載が無い
- 言葉は誰もが知っているのに、どんな物が該当するかは誰も知らない
等級との違い
- 遺物は四級〜特級に分類され、特級は国家間のパワーバランスを変える
- 特級の収集依頼は国家から白笛探窟家へ直接行われる
- 判明している特級はアンハードベル・ゾアホリック・ディプシーイオン・スタースレッドの4つ
レグ候補説
- 前例のない機械生命体/オーゼンの怪力でも傷付かない/上昇負荷を受けない
- 火葬砲を扱え、人間と交流できる知能を持つ
- ガブールンに「お前のような干渉器は知らない」と言われ、干渉器説は薄くなった
- ただし記憶は戻っておらず、正体も未確定
僕はこう読む
レグがオーバードなのだとしたら、この作品でいちばん皮肉な形になると思っています。
遺物は持ち帰って売るものです。特級ともなれば国家が動き、探窟家は一生遊んで暮らせる。アビスの価値は、地上へ持ち出して初めて金になります。
ところがレグは、リコと一緒に、下へ潜っていく側にいます。持ち帰られるどころか、いちばん深くへ向かっている。
史上最も価値のある遺物が、売られることを自分で拒んでいる——そう読むと、レグが遺物録に載らないまま終わるという結末も、悪くない気がします。
そのうえで、まだ残る問いがあります。オーバードが複数あるのかどうかは、まったく分かっていません。「最も価値のある遺物のひとつ」という言い方がされている以上、他にもあることになります。レグ以外のオーバードがどこにあり、どんな能力を持つのか。ここは描かれていません。
——あなたはレグ以外のオーバードが、この先で見つかると思いますか。それともレグだけで終わると思いますか。よければコメントで、あなたの読み方を聞かせてください。
よくある質問
オーバードは特級遺物と混同されやすく、等級の一種だと誤解されがちです。切り分けて拾っておきます。
Q. オーバードとは何ですか
A. 「奈落の至宝」と読み、アビス史上最も価値のある遺物のひとつとされる存在です。ただし正式な等級ではなく、探窟家のあいだで都市伝説として語り継がれているもので、遺物録にも載っていません。
Q. オーバードは特級遺物とどう違うのですか
A. 特級は四級から続く正式な等級の最上位で、国家から白笛探窟家へ収集依頼が出されます。オーバードはその等級表そのものに載っておらず、実物が何なのかも判明していません。
Q. 特級遺物には何がありますか
A. 時を止める鐘(アンハードベル)、精神隷属機(ゾアホリック)、命を延ばす酒(ディプシーイオン)、決して切れない糸(スタースレッド)の4つが判明しています。
Q. レグはオーバードなのですか
A. 候補とされていますが確定していません。前例のない機械生命体で、オーゼンの怪力でも傷付かず、上昇負荷も受けず、火葬砲を扱い、人間と交流できる知能を持つことが根拠です。
Q. レグは干渉器ではないのですか
A. 可能性は低いとされています。深界六層の干渉器ガブールンから「お前のような干渉器は知らない」と言われており、作中の干渉器が機械仕掛けなのに対しレグは人間味が強いためです。
Q. オーバードは今後見つかりますか
A. すでに候補のレグが存在するため、都市伝説のままで終わる可能性は低いと考えられます。ただしレグの存在を知る人物が少ないため、公の場で認定される場面は来ないかもしれません。
レグの正体を、遺物ではなく都市伝説そのものに重ねる読みです
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この記事を書いた人:カイ。読み終わったあとの「なんでここ、こう描いたんだろう」を、一人で考えています。→ 運営者情報
最終更新:2026年9月9日


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