『ゴールデンカムイ』において初登場から大きく印象を変えていったのが鯉登音之進と月島基です。
自由なボンボン鯉登と無表情芸が秀逸な月島は『ゴールデンカムイ』に欠かせない名コンビ!
しかし2人の鶴見への忠誠心は全く別物で、物語が進むにつれて鶴見を含む3人の関係性は少しずつ変化していきます。
それでは一体どのように変化していったのか、鶴見への忠誠心を含めた鯉登と月島の関係性を最終回の様子まで詳しく解説していきます!
目次
【ゴールデンカムイ】鯉登と月島の関係は上司と部下
鯉登と月島は共に第七師団歩兵第27聯隊の所属で、上司と部下の関係性。
年齢は月島が一回りくらい年上かと思われますが、階級は鯉登の方が上(鯉登が少尉・月島が軍曹)なので月島が敬語を使っています。
と言っても新任少尉の鯉登を月島が補佐している形なので、たいてい月島の方が鯉登を諫めています。
【ゴールデンカムイ】鯉登と月島の出会いはいつ??
鯉登と月島の出会いは作中では描かれていませんが、恐らく鯉登が士官学校を卒業後、少尉に任官され月島が補佐についてからなのだと思います。
鯉登は1902年に士官学校に入学して日露戦争には出征していないですから、その後の1905~06年辺りではないでしょうか。
物語のスタートが1907年なので、それほど長くはない付き合いです。
【ゴールデンカムイ】鯉登の通訳をする月島??微笑ましい名コンビぶり!!
付き合いは長くないとは言っても2人の名コンビぶりは絶妙!
だいたいは「囚人や敵を1人で追ってしまう」「樺太任務に荷物をたくさん持ってきてしまう」「団体行動を無視して1人でうろついてしまう」「無警戒に危険生物に近づいてしまう」などなど勝手な行動を起こしてしまう鯉登を月島が諫めたりフォローしたりという形なので、笑ってしまうほど月島の苦労が窺えます。
特に鯉登は鶴見と話すと早口の薩摩弁になってしまい会話が成り立たないため、その都度月島が通訳をさせられることになるので、それはさすがに面倒くさい様子。
しかし月島はどんなことでもしっかりと鯉登をフォローし、そんな月島を鯉登は頼り、何かあればすぐに「月島ァ!」と呼びます。
この2人の関係を作者の野田先生は「わがままでお転婆な姫様と教育係の侍女みたいな関係性」で描いているそう。(公式ファンブック質問箱より)
まさにそんな感じの微笑ましいコンビぶりが作中でたびたび描かれています。
また微笑ましいだけでなく、月島がやられれば鯉登は激昂し、鯉登がやられそうになれば月島は身を挺してその身を庇うなど、2人の間には確かな信頼関係が見えます。
【ゴールデンカムイ】鯉登と月島の鶴見中尉に対する思い!!正反対の二人に共通するものとは??
鯉登と月島は鶴見に従う優秀な部下ですが、そこにある鶴見への思いはかなり違います。
鯉登の鶴見に対する思い
鯉登は鶴見を信奉しており、鶴見の写真を胸に常備しているほど。
鶴見に気に入られるため鶴見の役に立つため、自分の能力を余すところなく発揮しています。
話し方が変わってしまうほど、鶴見に対する愛が大きすぎて盲信している印象ですね。
ちなみに鶴見の写真を用意するのは月島の役目。
月島の鶴見に対する思い
月島は鶴見の忠実な部下であり、ひたすらに任務をこなしています。
そこに信奉や心酔はなく、時には疑念を抱いている様子すらあるほど。
冷静に鶴見を捉えた上で、与えられた仕事を淡々と遂行している印象ですね。
盲信的ではない分むしろ忠誠心は強く、鶴見の信頼できる右腕として汚れ仕事も請け負っています。
共通するのは鶴見に策された過去
思いは違えど鶴見に忠誠心を持つ2人には、ある共通点があります。
それはその忠誠心を鶴見に作られたということ。
鯉登は14歳の時に鶴見に出会い、16歳の時にロシア人と思われる者たちに誘拐され、その時鶴見に助けられたことで鶴見に憧れ陸軍に入りました。
実はこの一連は鶴見が鯉登の父である海軍将校・鯉登平二の信頼を得るために息子の音之進を利用したもので、要は鶴見の策略でした。
一方で月島は死刑囚となっていたところ、鶴見の尽力により釈放されました。
こちらは月島を自身の忠実な駒にするため、月島の幼馴染「いご草ちゃん」を利用しました。
形は違いますがどちらも鶴見が様々に手を回しており、その結果2人はまんまと鶴見に尽くす兵になったわけです。
【ゴールデンカムイ】鯉登少年の誘拐に月島も関わっていた??
樺太編で鯉登は「あの誘拐事件は自分たち親子をコマのひとつにするために鶴見が仕組んだものだったのでは」と気づいてしまいます。
それを月島に問い詰めると、月島も誘拐事件に関わっていたと知ってしまったのでした。
しかし「あなたたちは救われたじゃないですか」と月島。
仕組まれていたとしても鯉登は親子の絆を得ています。
対し月島は大切な人への想いや思い出を踏みにじられ過去を捨て去っており、鶴見に全て仕組まれていたことに気づきながらも「もうどうでもいい」とでもいう感情で鶴見に従っていたのです。
しかし「とんでもないことを成し遂げられるのは鶴見のような人間なのだろう」とも考えており、もはや鶴見の行く末を見届けることが月島の生きる意味になっていました。
月島の忠誠心は「鶴見劇場を最後までかぶりつきで観たい」という、鯉登や宇佐美とは質の違う心酔だったのです。
そのために月島は、いざとなれば鯉登すらも消すと警告しました。
大切な存在がいるからこそ心酔から不信感へ転じた鯉登と、大切な存在を捨てたからこそ誰よりも傾倒していた月島。
鶴見に対する思いの違いから、2人の間には微妙な距離が出来始めてしまいました。
【ゴールデンカムイ】鯉登と月島は最後まで鶴見中尉に尽くすのか??
鶴見に不信感を抱き始めた鯉登ですが「たとえ自分たち親子が利用されていたとしても、鶴見の行く道の途中で皆が救われればそれで良い」と結論。
「鶴見の本当の目的を見定めながら、鶴見と月島を最後まで見届ける」という答えを出しました。
さらに鯉登は、月島の鶴見に対する姿勢を「健康的ではない」と指摘。
「私は鶴見中尉殿を前向きに信じる、月島はその私を信じてついて来い」と健康的な道へ導いたのでした。
そして2人はこれまで通り鶴見の野望のために力を尽くすようになりますが、最終決戦の函館で鯉登は最終的な答えを鶴見本人に示します。
それはこの金塊争奪戦が終わって何も得られなければ、部下を鶴見から守るために鶴見を殺すということ。
さらに鯉登はその後、鶴見がボロボロになった月島をまだ連れ回そうとしている姿を見て「月島は充分に働いたからもう解放してあげて欲しい」と訴えたのでした。
こうした鯉登の意思と判断により離脱したものの、鯉登と月島は一応最終決戦まで鶴見に尽くした形です。
月島は意識を失っていなければ本当の最後まで鶴見に尽くしていたのかもしれませんが。
【ゴールデンカムイ】鯉登と月島の最終回での関係性は??
鶴見が函館湾に沈み金塊争奪戦は終わりを迎えましたが、月島はその後いつまでも鶴見の遺体や遺品を探し続けていました。
鶴見を失い、生き方を見失っていたのです。
すると鯉登は「権利書や金塊が無くては国防が務まらないというものであってはいけない」とし、「鶴見がいなくても前に進まなければならない」と月島を諭しました。
そして鶴見についてきた部下たちを中央から守るために「私の力になって助けてくれ」と鯉登。
そんな鯉登の光に導かれ、月島は鶴見のいない新たな道を歩み始めたのでした。
ちなみに鯉登は後に中将まで昇進し「最後の第七師団長」となり、月島はその右腕を全うしたようです。
物語が終わっても鯉登と月島は変わらない関係性…いやこれまで以上に固い信頼関係で結ばれていたということですね。
まとめ
鯉登と月島は鶴見の卓越した権謀術数によって鶴見の忠実な部下となりましたが、それに気づいた後の反応が「鯉登は不信感・月島は忠誠」と真逆でした。
初めの印象が「鯉登は心酔・月島は冷静」だっただけに面白いですよね。
また、初めは「月島が鯉登の面倒を見ている」という上司と部下が逆転していた印象だったのが、鯉登の成長と共に「鯉登が月島を導く」という形になっていくのも熱いです。
実は誰よりも闇深いゆえに鶴見に依存していた月島と、真実を知っても「鶴見を信じる私を信じろ」とカミナ(グレンラガン)のように真っすぐ月島を導いていく鯉登。
光と闇の名コンビ・鯉登と月島の関係性は、最初から最後まで見どころしかありません!

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