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レイドは何者なのか?
結論から言うと、レイド・アストレアは四百年前の初代剣聖です。嫉妬の魔女サテラを封じた三英傑の一人で、二つ名は棒振り。すでに死んでいる人物です。
それなのに、いまスバルたちの前で暴れています。暴食の大罪司教ロイ・アルファルドの体を、乗っ取っているからです。
この記事では、レイドという人物と、死者が動き回っている理由を分けて並べます。
この記事でわかること
- レイドが何者なのか(初代剣聖・三英傑)
- 死んでいるはずの人物が塔にいる理由
- どうやってロイの体を奪ったのか
- ラインハルトとの血のつながり(ここが誤解されています)
- 剣聖の加護を持たないのに強い理由
- 性格・声優・アニメの話数
先に結論だけ
| 何者か | 初代剣聖レイド・アストレア。四百年前の人物 |
| 二つ名 | 棒振り。本人は名乗る名などないと言います |
| 立場 | 三英傑の剣聖(ほかに賢者フリューゲル・神龍ボルカニカ) |
| 塔での役目 | 二層エレクトラの試験官 |
| いま暴れている理由 | 暴食のロイ・アルファルドの体を乗っ取ったから |
| ラインハルトとの関係 | 直系ではありません。いまのアストレア家は弟トスカの家系 |
| 声優 | 杉田智和 |
死んだはずの剣聖が、なぜ塔にいるのか
プレアデス監視塔の本当の役割は、大図書館プレイアデスです。書庫を読む資格を得るには、試験を突破しなければなりません。
二層エレクトラの試験官が、初代剣聖レイドでした。初めて姿を見せるのは、Web版6章25『二層エレクトラの待ち人』です。
「――天剣に至りし愚者、彼の者の許しを得よ」
これが二層の試験です。試験官に許しをもらう、という形をとった果たし合いでした。
最初のうち、レイドは試験の文言を寝言のように繰り返すだけで、自我を保っていません。ところが突然頭を掻きむしって叫び、「二日酔いの頭に響く」と正気に戻って、スバルたちと向き合います。
そしてこの初戦が、この作品でも指折りの一方的な場面になります。
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試験の文言は「天剣に至りし愚者」、本人の名乗りは「ただの『棒振り』」。塔は剣の頂に立った者として呼び、本人は棒を振るだけの男だと言う。
この食い違いが、レイドという人物の芯だと思っています。称号も肩書きも「他人の付けた」ものとして笑い飛ばし、自分で選んだのは一番低い呼び名でした。いちばん高いところにいる男が、いちばん低い名前を名乗る。その余裕こそが、試験官としての怖さになっています。
ユリウスとアナスタシアが、箸で負けました
相手をしたのは、最優の騎士ユリウスと、精霊エキドナが表に出ているアナスタシアです。
Web版6章26『棒振り男』の場面です。レイドは「こっからオレを一歩でも動かしてみろや」と条件を出しておきながら、自分から走り回って二人を迎え撃ちました。二人が倒れるまで、ほんの数十秒です。
そのとき手にしていたのは、剣ではありません。ただの箸です。本人いわく「箸だろうと、斬れねえもンなんかねえよ」。
ちなみに、レイドが目を覚ました場面で、シャウラはスバルにしがみついたまま失神しています。名前が分かるのは6章27『エレクトラの壁』で、目を覚ましたシャウラが「『棒振り』レイドッス!」と叫んだときでした。四百年ここにいる番人が、顔を見ただけで気を失う相手です。
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この場面がうまいのは、強さの説明を一行もしていないところだと思っています。箸で、数十秒で、二人まとめて。それだけで格が伝わる。読者はここで「この人には勝てない」と納得させられ、そのうえで物語は勝ち方を探させにきます。強い敵を出すのではなく、勝てない前提を先に置く順番です。
四層に現れたレイドの正体(Web版6章68『サソリ座の女』)
二層の試験官は、本来そこから動けません。そのレイドが、塔の四層に降りてくるのがWeb版6章68『サソリ座の女』です。
このとき塔では、魔獣の群れと暴食の大罪司教、そして正体の分からない大サソリが同時に暴れていました。スバルは仲間の居場所と状態を感じ取る力『コル・レオニス』で、大サソリからも仲間と同じ温かい感覚が伝わってくることに気づきます。「絶対にシャウラだ」。塔の中でスバルたちを殺していた大サソリは、仲間のはずのシャウラでした。
逃げるスバルたちの目の前で、衝撃波が石の通路を斜めに両断します。噴煙の中から後ろへ跳んで現れたのは、血と埃にまみれたユリウス。続いて姿を見せたのは、赤い長髪の偉丈夫でした。二層ではなく、四層の通路を堂々と踏むレイドです。
「どうして、この階にいるの? あそこから出られないはずなんじゃ……」と声を震わせるエミリアに、レイドは笑って返します。「オレはいきてえとこにいって、斬りてえもンを斬って、抱きてえ女を抱く。他人のしきたりなンぞに従ってやるかよ」。前にはレイド、後ろには暴食と大サソリ。スバルが「大修羅場」と呼んだ挟み撃ちです。
ユリウスは、スバルに朗報と悲報があると切り出しました。朗報は、姿の見えない暴食の片割れを警戒する必要はないということ。悲報は、その理由でした。
「目の前にいる、初代『剣聖』レイド・アストレア。――彼が、ロイ・アルファルドだ」
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この回は、敵の数が減る知らせが、いちばん悪い知らせになるところがうまいと思っています。
暴食が一人減ったのは朗報のはずなのに、減った分はそのまま、二層から出られなかった最強の剣士の自由に化けている。
同じ回でシャウラの正体も割れます。味方だと思っていた番人が敵の姿をして、閉じ込められていた敵が外へ出てくる。塔の「内と外」「味方と敵」の線が、一話でまとめてひっくり返された回だと読んでいます。
どうやってロイの体を奪ったのか
ここが六章でいちばん大きな事故です。
暴食の大罪司教ロイ・アルファルドが、レイドの記憶を狙って二層に現れました。レイドは挑発し、ロイはその挑発に乗って記憶を喰らいます。
ところが、喰った側が負けました。
レイドの自我が強すぎて、ロイは自分の精神の主導権を奪われます。
結果、レイドがロイの体を乗っ取りました。
事実上の死者蘇生です。二層から動けないはずの試験官が、塔のどこにでも現れるようになりました。
この仕組みをユリウスが説明するのは、続くWeb版6章69『理不尽な剣の鉄槌』です。レイド本人の言い分は乱暴でした。「オレを喰い尽くす、味わい尽くすってンなら、オレを収めるでけえ腹がいる。こいつにゃそれがなかった。だから、オレが腹を食い破ってやった」。
公式サイトのあらすじでも、四期のこの状況はこう説明されています。二層の試験会場に留まらず、塔内を自由に闊歩するレイド。それはロイ・アルファルドの肉体をレイドの魂が乗っ取ったせいだ、と。
アニメでは4期の後半にあたります
| 4期の構成 | 分割2クール・全19話 |
| 前半 | 喪失編・全11話(2026年4月8日から) |
| 後半 | 奪還編・全8話(2026年8月12日から) |
| 塔を歩き回る回 | 4期15話・通算81話「一途な星」 |
| 原作 | 6章「記憶の回廊」・文庫21〜25巻 |
15話では、レイド、二人の大罪司教、魔獣のスタンピード、突然あらわれた大サソリが同時に襲いかかります。スバルはこれを五つの障害と呼んでいます。
ラインハルトの先祖ではありません
ここは取り違えられやすいところです。
レイドはアストレア家の始祖です。ただし、ラインハルトたちはレイドの直系の子孫ではありません。
いまのアストレア家は、レイドの弟トスカ・アストレアの家系です。二代目剣聖はレイドの子ではなく、弟の子――つまり甥にあたります。
トスカは、レイドの弟とは思えないほどの好青年だったと言われています。いまのアストレア家の人格は、レイドではなくトスカから来ていると考えると筋が通ります。
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剣聖の家が、剣聖本人ではなく弟の血で続いている。ここに、アストレア家の物語の出発点があると思っています。
剣の才は加護として家に残り、人柄はトスカの側から流れてきた。だから後の剣聖たちは、強さと人の良さを両方背負わされることになります。
始祖が「クズ」だったからこそ、子孫に求められる英雄像が、レイドの実像よりずっと清らかなものになったのかもしれません。
剣聖の加護を持っていません
二代目以降の剣聖には「剣聖の加護」があります。ところが初代であるレイドは、この加護を持っていません。
それでも実力は、歴代の剣聖のなかでラインハルトを除けば最強とされています。
- 剣技で概念を斬り、空間を斬ります
- エキドナ曰く大兎すら単独で全滅させられる
- 老人になったレイドに挑んだシャウラでも、10回戦って両手を使わせたのは2回ほど
加護という与えられた力ではなく、腕一本でここまで来た人物です。棒振りという二つ名は、そのまま本人の自己評価でもあります。
ラインハルトとどちらが強いのか
この二人を比べたくなるのは自然です。片方は初代、片方は現代の最強だからです。
作中の評価では、歴代の剣聖のなかでレイドはラインハルトに次ぐ二番手にあたります。つまり、真正面から比べればラインハルトのほうが上という扱いです。
ただし条件が同じではありません。ラインハルトは加護を山ほど抱えた存在で、レイドは剣聖の加護すら持っていません。
そのうえで、レイドは空間ごと斬ってきます。持っている札の数がまるで違うのに、差は一段しかない。ここがこの人物のいちばん厄介なところです。
四百年前、誰と旅をしていたのか
四百年前のレイドは、一人で戦っていたわけではありません。
- フリューゲル……賢者。シャウラの師
- サテラ……のちに嫉妬の魔女と呼ばれる少女
- ファルセイル・ルグニカ
- アレク・ホーシン……レイドとは古馴染み
- エキドナ……強欲の魔女
封印した相手であるサテラが、旅の仲間だったことになります。途中から加わった者、途中で去った者もいて、神龍ボルカニカもその一人だったようです。
旅の詳細は明かされていません。分かっているのは、最後にレイド・ボルカニカ・フリューゲルの三人がサテラを封じ、三英傑と呼ばれるようになったことだけです。
アニメでもこの六人は描かれています。4期のエンディング映像に、一行らしき六人の後ろ姿が映ります。
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魔女を封じた三英傑の旅に、のちの魔女本人がいた。この並びがいちばん重いと思っています。
レイドにとってサテラは、封じた敵である前に同じ道を歩いた顔見知りだったことになります。
レイドがその旅について自分から語りたがらないのは、乱暴な性格のせいだけではなく、語れば仲間を封じた話になってしまうからではないでしょうか。
性格は褒められたものではありません
強さと人柄は別です。
話し方はチンピラそのもので、口癖は「オメエ」。セクハラ発言も多く、シャウラからは悪ガキがそのまま大人になったような意地悪な人、さらには人間のクズとまで言われています。
仲間の呼び方も雑です。ユリウスは子分、ベアトリスとメィリィは砂利、スバルは雑魚。スバルはその後、なぜか稚魚に格下げされます。
エミリアのことは激マブと呼んで口説きにかかります。ただし、世間知らずなエミリアに「外に出すな」と説教をする場面もあり、まったくの馬鹿ではありません。
好物は龍の肉です。四百年前、たびたびボルカニカを食べようとしたため、神龍からは嫌われていました。
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英雄の描き方として、ここまで容赦のない作品はそう多くありません。世界を救った三人のうち、剣を担当した男が人間のクズでした。しかも子孫の人格は、英雄ではなく弟から受け継がれている。偉業と人格を切り離して置いたまま、作品はどちらも肯定も否定もしません。ラインハルトという完璧な子孫と並べたとき、この落差そのものが仕掛けだったのだと思います。
まとめ
レイド・アストレアは四百年前の初代剣聖です。二つ名は棒振り。すでに死んでいる人物です。
その死者が、なぜ塔にいるのか。
- 嫉妬の魔女サテラを封じた三英傑の一人(賢者フリューゲル・神龍ボルカニカ)
- 六章では二層エレクトラの試験官として登場
- 初戦(Web版6章26)でユリウスとアナスタシアを、箸で、数十秒のうちに倒した
- Web版6章68『サソリ座の女』で、二層を出て四層に現れる
- 暴食のロイ・アルファルドに記憶を喰わせ、逆に体を乗っ取った
- アニメは4期15話・通算81話「一途な星」
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この場面がうまいのは、強さの説明を一行もしていないところだと思っています。
箸で、数十秒で、二人まとめて。それだけで格が伝わる。
読者はここで「この人には勝てない」と納得させられます。
英雄の描き方として、ここまで容赦のない作品はそう多くありません。世界を救った三人のうち剣を担当した男が人間のクズで、しかも子孫の人格は弟から受け継がれています。これを偉業と人格の切り離しと読むか、英雄という呼び名への皮肉と読むかで、アストレア家の見え方が変わってきます。
——あなたはレイドの人格を、偉業と人格は別だという描き方だと思いますか。それとも、英雄という呼び名そのものへの皮肉だと思いますか。よければコメントで、どちらに近いか教えてください。
よくある質問
レイドは初代剣聖でありながら塔に現れ、経緯が分かりにくいところです。三英傑の話から確認しておきます。
Q. レイドは生きているのですか?
A. 本人はすでに故人です。六章では二層の試験官として現れ、その後は暴食のロイ・アルファルドの体を乗っ取って動いています。
Q. どうやってロイの体を奪ったのですか?
A. ロイがレイドの記憶を喰らったところ、レイドの自我が強すぎて、逆にロイが精神の主導権を奪われました。事実上の死者蘇生です。
Q. レイドとラインハルトは血がつながっていますか?
A. 同じアストレア家ですが、ラインハルトはレイドの直系ではありません。家をつないだのは弟トスカの側で、レイドから見ればラインハルトは弟の子孫にあたります。
Q. 剣聖の加護を持っていますか?
A. 持っていません。それでも歴代の剣聖ではラインハルトを除いて最強とされ、概念や空間まで斬ります。
Q. アニメでは何話ですか?
A. 4期15話、通算81話「一途な星」で、塔内を歩き回るレイドが描かれます。4期は分割2クール全19話です。
Q. レイドの声優は誰ですか?
A. 杉田智和さんです。アニメでは、6章を描く4期から登場します。
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最終更新:2026年9月6日


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