鶴見の話によって見えてくるアシリパの知らないウイルクとキロランケの姿。
前回語られたのは、物語の大元である「アイヌ殺害事件」の真相についてでした。
ウイルクたちと時を同じくして金塊の在り処を知る老人の情報に辿り着いた鶴見たちは、老人を発見したという有古父に接触。
そして鶴見は有古父を介して、ウイルクへの信頼によってまとまっていたアイヌたちに“ウイルクは帝政ロシアと戦っていたゲリラで、ロシアでの革命運動の資金としてアイヌの金塊を探しに北海道へ来た”という情報を投げ込みます。
するとアイヌたちは仲間内での殺し合いを始め、当のウイルクは自ら頭部の皮を剥ぎ、それを他人の生首に被せることで自分の死を偽装したとのことでした。
果たして鶴見の話はどこまで真実なのか!?
目次
『ゴールデンカムイ』269話!のネタバレ
第269話は『ウイルクのやり方』
のっぺら坊の誕生など事件の続きが明らかとなりますが、扉絵が1話で出てきた噂話の答えのような構図になっているのが熱いです!
それでは『ゴールデンカムイ』269話!の要点をまとめてみます。
時間のない場合、目次に内容をまとめていますので参考にしてみてください。
ウイルクの手際
1ページ目では、鶴見の毒矢によって生まれたアイヌたちの争いの様子が描かれています。
確かに仲間割れのようですが…。
そしてそこから逃げ出してきたラッチも鶴見たちと遭遇した後すぐに死亡してしまいました。
アイヌたちが殺し合った現場には、目玉がくり抜かれた6人のアイヌの生首。
シロマクル、メシラ、スクタ、イレンカ、オシケポロ、そしてウイルク。
それにラッチの遺体を合わせて確かにウイルクグループの7人です。
となると誰が遺体をバラバラにしたのかと宇佐美は考えますが、疑問はすぐに晴れました。
なんとすべての頭部が皮を剥かれて、中身が入れ替えてあったのです。
そこから鶴見が出した答えは、アイヌが8人いたということ。
そしてその1人がキムシプであったこと。
鶴見は犯人がキムシプを使って自分の死を偽装したのだと考えました。
「目玉をくり抜いたのも…自分の目に特徴があるからだ」
そもそも鶴見はウイルクの顔を知っていますしね。
皮となった彼の顔の傷を愛おしそうに撫で、顔を寄せました。
常識人・菊田
銃声が聞こえたからか、現場に砂金掘りや猟師たちが集まってきてしまったため、鶴見らは手分けして動き出すことにしました。
宇佐美は登別の保養所に応援要請に、菊田は現場の保護、そして鶴見はウイルクの追跡へ。
しかし菊田にはひとつ懸念がありました。
それは有古に何と伝えたら良いのかということ。
だって父親の死に自分たちが関わっているのです。
宇佐美は「彼らが仲間割れしただけだから言う必要はない」と言いますが、その仲間割れを誘おうと仕組んだのは事実。
菊田が有古に目をかけている感じがするのも、死地を共にした仲間というだけでなく、ずっとこのことを気にしているからなのかもしれませんね。
ちなみに現在の有古は杉元&白石と合流しました。
同じ頃、菊田は命令通り仲間を探しているようですが、どこか浮かないような表情に見えるのは気のせいでしょうか。
再会
現在の鶴見は、ウイルクの行動にはこのような考えがあったのではとアシリパに語ります。
- 「アイヌ殺し」の犯人にされるだろうから
- アシリパたちの今後を考えて
- 死んだことにすればキロランケも諦めるだろうから
とはいっても、自分で顔の皮を剥がすなど常人には到底出来ませんよね。
しかしウイルクはそうして最短経路で決断して行動したということ。
元々迷いなく最短経路で動ける人ですから、自分や仲間の皮を剥がすという異常なほど合理的な行動に確かにウイルクらしさを感じますね。
ただ鶴見曰く、ウイルクには大きな誤算があったそう。
それは“追跡者が鶴見だった”こと。
ウイルクは逃走中に鶴見に遭遇しました。
そして鶴見はその目に“グリゴリー”の面影を、ウイルクは“ハセガワさん”の面影を見ます。
「ハセガワ…さん」
あの日以来の再会にそれぞれ何を感じたのでしょうか…。
その時彼らが言葉を交わしたのかは分かりませんが、その後ウイルクは(噂通りならば支笏湖でしょう)小舟に乗り逃走。
それを鶴見が撃ち、ウイルクが弾を躱そうとしたことで転覆という流れだったようです。
舟やキムシプの顔の皮が水中へ沈んでいきました。
のっぺら坊の誕生
ウイルクはその後、支笏湖近辺にある監獄部屋(違法に監獄から駆り出された囚人たちが寝泊まりしていた)に逃げ込んだそう。
顔の皮が無く頭に包帯を巻いただけの全裸の男の訪れはきっと恐怖だったでしょうね。
ウイルクはアイヌが7人殺されていること、彼らの金塊の隠し場所を知っていることを犬童典獄に伝えるよう告げました。
そして監獄側と第七師団が犬猿の仲ということもあり、ウイルクは極秘のうちに網走監獄へ移送されることとなります。
つまりウイルクが“網走監獄ののっぺら坊”となったのは自らの意思だったということですね。
ウイルクを求めるキロランケ
その頃キロランケはどうしていたのか。
キロランケはウイルクを追うためキムシプを探していた時に、例の7人の遺体が見つかったことを知ります。
急いで現場に駆け付けたキロランケの目に映ったのが、ウイルクの亡骸(顔)。
キロランケはウイルクを失った悲しみに暮れました。
そしてウイルクを理解するために自分も家族を持ってみることにしました。
そうしていたある日、日露戦争から戻ったキロランケは“遺体の中にキムシプがいた”という噂を聞きます。
そこから考えられるのは、どこかの誰かがアイヌ7人を殺したのではなく、アイヌ8人の中に犯人がいたという可能性です。
そして土方歳三がアシリパを探しに来たこと…
網走監獄にいるのっぺら坊の噂…
刺青の暗号…
それらの情報からキロランケはひとつの答えを導き出しました。
(のっぺら坊はウイルクではないのか?)
キロランケの目が希望に満ち溢れました。
キロランケがウイルクを殺した理由
キロランケは家族を持ってもウイルクと同じ答え(北海道だけを独立させ守りを固める)には辿り着きませんでした。
息子たちやアシリパなどの北海道アイヌの未来を考えても、極東連邦のために金塊を使うのが有意義ですし、守りを固めるという弱腰な戦い方では帝政ロシアにも明治政府にも勝てないと思うからです。
ウイルクと同じように家庭を持った今、キロランケは改めて感じました。
「やはりアイツが変わってしまったのだ」と。
そうしてキロランケは尾形の手を借り網走監獄でウイルクを殺害したのでした。
「ウイルクは群れの中の弱くなった狼だ」
狼は役目がないと判断した者を殺すなど自分たちが生き残るために余分な優しさが削ぎ落されているらしく、その合理的な生き様にウイルクは憧れたわけですが、キロランケはその考えを踏襲してウイルクを殺害したのです。
「かつてウイルクが憧れていたはずの狼のやり方で彼を殺してあげた」
『ゴールデンカムイ』ネタバレ269-270話のまとめ
キロランケのウイルクへの憧れが想像以上に大きかったですね。
「憧れは理解から最も遠い感情」だとかの久保帯人先生が言っていましたが、まさにそんな感じでキロランケはウイルクのことを理解することは出来なかったのです。
可哀想ですが、憧れたウイルクの方法で“殺してあげた”というところに自己満足の歪んだ愛を感じますね。
そして明らかになったのが、キロランケは杉元たちと出会う頃までウイルク(のっぺら坊)の存在を知らなかったこと。
一緒に北海道に来てから網走監獄での殺害まで2人の間に何があったのか気になっていましたが、これで空白が埋まりましたね。
今回の話を踏まえてコミックスを読み直すとキロランケにまた違った見え方が出来ます。
しかし話が本当であればウイルクとあそこまで接近しておいて鶴見が逃すはずはないと思うんですが、そこに何かやり取りがあったのか、それとも話自体がやはり作られているのか…どうしても鶴見の話には所々疑問が残りますね。
そして個人的に注目しているのが、有古が杉元たちと合流したこと。
今回の鶴見の行動は明らかに部下たちの不信感を生んでいますから、もし菊田が彼らと遭遇すれば、杉元がいることも踏まえてこの機会に真実を話してくれそうですよね。
菊田はアシリパに鶴見から真実を聞くよう促していましたが、菊田としてはやはり有古にも真実を知る権利があると考えているのではないかと。
その辺が次の展開へのきっかけになればと期待しています。
アイヌ殺害事件からウイルクの死亡まで一通り話が聞けましたが、アシリパは何を思い、鶴見は何を切り出すのか、次回も何が描かれるか楽しみです!

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