衝撃続きの樺太編から舞台を北海道に戻した「ゴールデンカムイ」。
ようやく馴染みの北海道に帰り、金塊の暗号を解く展開へと期待が高まる中、読者を待ち受けていたのは予想の斜め上…まさかのホラー展開だったのでした!
今回は杉元一行の再会と北海道帰還で安心しきっていた読者を、突如恐怖に陥れ話題となった“平太師匠編”についてご紹介していきます!
始まりは217話。
帽子を被ったひとりの男性がヒグマに襲われ、クチャクチャ喰われるシーンから始まったのでした。
目次
【ゴールデンカムイ】杉元たちが出会った天才砂金獲り師
杉元たちは砂金で1日50円も稼いだ男がいるとのことで、その噂の雨竜川に足を運ぶことにしました。
そこで、雪で足を滑らせて崖から落ちそうになっている男性を救出します。
その男性が先のヒグマに襲われていた男だったことで読者に戦慄が走りました。
何故ならその男の額にはヒグマから逃げる際についた傷があったから。
杉元たちは知る由もありませんが、彼らは男がヒグマに喰われた後に出会ったのです。
謎めいた男は噂の“1日で50円も稼いだ”天才砂金掘り師でした。
「平太」というその男は、救ってもらった恩から杉元たちに砂金掘りのコツや儲けのカラクリを丁寧に教え、杉元と白石は彼を「平太師匠」と慕うようになります。
【ゴールデンカムイ】平太師匠を見守る個性的な家族
平太師匠には4人の連れがいました。
平太が「嵩ニイ」と呼ぶ男性、「次郎ニイ」と呼ぶ男性、「親父」と呼ぶ老人、「ノリ子姉ちゃん」と呼ぶ女性。
嵩と次郎は平太の兄、親父は親父、ノリ子は嵩の妻といった感じでしょうか。
杉元たちを怪しむ嵩を始め、平太の近くで様子を見ている彼らは杉元たちとは距離を置いているようでした。
【ゴールデンカムイ】ヴァシリが描いていた人物は?
杉元たちが砂金採りをしている間、ヴァシリはひとり離れて鳥の絵を描いていました。
するとそこへノリ子が自分の絵を描いて欲しいと声を掛けてきます。
「綺麗に描いてね」と妖艶に服を脱ぐノリ子。
ヴァシリは黙々と彼女の裸を描き始めました。
しかし後に白石がその絵を見た時に衝撃が走ります。
なんとヴァシリが描いていたのは何故か、上半身に例の暗号の刺青が彫られた平太の姿だったのです。
【ゴールデンカムイ】平太が恐れていたヒグマとは?
砂金掘りをしている時、平太師匠がヒグマを見つけました。
「あれはウェンカムイだ…」と異様に恐れる平太は、もう何年もヒグマに狙われているのだと言います。
熊はすぐにその場から姿を消しましたが、その後親父と次郎、嵩、ノリ子と次々に平太の家族を襲い食い殺していきました。
平太も慌てて逃げ回るのですが、何故かアシリパをもってしても辺りにはヒグマがいた痕跡が見つからないのです。
その謎は、「親父も次郎ニイも嵩ニイもノリ子姉ちゃんも食われてしまった…俺がウェンカムイを連れてきたから」と涙を流す平太に掛けた杉元の言葉で発覚しました。
「さっきから誰の話をしてるんだ?」
そう、杉元たちと一緒にいたのはずっと平太のみ。
家族もヒグマも、すべて平太の頭の中にだけに存在する平太の妄想だったのです。
その理由は、アイヌに聞いた話から“ウェンカムイは人間を罰する神様”だと勘違いし恐れていたため。
平太の家族はとうの昔に亡くなっていました。
昔平太は、平太が汗水流して掘った砂金もその日のうちに散財してしまう欲深い家族たちをウェンカムイに罰して欲しいと考え、ヒグマの習性を利用して彼らを熊に襲わせたのです。
ヒグマが平太を襲う前に猟師に斃されたため、平太だけが生き残りました。
それから平太は、家族と自分がヒグマに襲われる妄想に憑りつかれるようになったのでした。
【ゴールデンカムイ】門倉が語る死刑囚の松田平太とは?
平太の妄想はウェンカムイが家族を襲い、平太も襲われ、最後には平太自身もウェンカムイとなり誰かを襲いに行くというもの。
それは誰か(現実世界の人間)を殺さないと治まらないのだといいます。
何度も繰り返すうちに捕まり網走監獄に収監されたのですが、門倉曰く、その様子は裁判記録にこう書かれていたそう。
“ヒグマの毛皮を被り被害者の体をズタズタにしてその肉を食べていた”
本当にヒグマそのもののようになり人を襲っていたということですね。
これが「道東のヒグマ男」と呼ばれ死刑囚となった松田平太としての平太でした。
門倉が言うには他にも、平太は「自分の中に別の人間が何人もいる」と語っていたそう。
つまり多重人格者。
恐らく平太には少なくとも家族分の人格が脳内に形成されていたのでしょう。
ヴァシリに声を掛けたノリ子も、ノリ子の人格としての平太だったというわけです。
どの人格がウイルクと接していたかは分かりませんが、暗号の刺青も平太の知らない間に彫られたとのことでした。
【ゴールデンカムイ】杉元に襲いかかる平太
杉元たちが接していた平太師匠の精神状態も最終段階“自分もウェンカムイとなり誰かを襲う”ところまできていました。
平太はヒグマの毛皮を纏って、ヒグマとして杉元の前に立ちはだかります。
並の成人男性なら杉元の相手にはなりませんが、なんと平太は小柄にも関わらず、杉元を圧倒するほどの怪力、まさにヒグマと同等の膂力をもって杉元の腕を軽くへし折ったのでした。
精神状態が体のリミットまで外し、身体能力までヒグマに近くなっているのでしょう。
これが「道東のヒグマ男」と恐れられた平太の実態でした。
【ゴールデンカムイ】妄想に取り憑かれた平太の結末は?
ヒグマ相手に何度も生を掴んできた不死身の杉元の猛攻によりヒグマ(としての平太)は弱ってきます。
すると平太が「いいぞ。今なら…」と熊の中から手を出し、その場にあったアマッポ(仕掛け弓矢)の紐を引きました。
そして放たれた矢は、杉元ではなく平太自身を貫きます。
しかしそれは平太が意図的にやったことでした。
「やった…あいつに勝ったぞ」
平太はウェンカムイに追われる人生を、何度も何度も繰り返す悪夢からの殺人を、終わりにしたいとずっと苦しんでいたのです。
「誰かに止めて欲しかった」と願っていた平太は、杉元がヒグマに立ち向かえるほど強かったからこそ、ようやく自分の中のウェンカムイを斃すことができたのでした。
平太は杉元に感謝しながら息を引きとりました。
【ゴールデンカムイ】平太師匠は海賊房太郎と繋がりがあった?
実は杉元たちと出会うより前、平太師匠は海賊房太郎と会っていました。
囚人時代から知り合いだったのかは定かではありませんが、房太郎は砂金採りの名人である平太師匠を連れて支笏湖に行っていたのです。
支笏湖はのっぺら坊が捕まったとされる湖。
房太郎は最大水深360メートルの湖を難なく潜り、のっぺら坊が捕まった際に沈んだのではないかという金塊(砂金)の一部を手に入れ、平太師匠に産地の川を特定させていました。
砂金の一片を平太師匠が持っており、それを見つけた杉元一行はその産地を巡ることで房太郎に出会ったのでした。
まとめ
これまで様々な変態が出てきましたが、本人の意志とは関係ない殺人…いわゆる精神障害の囚人は初めて描かれました。
話を見るに平太は元々人が良さそうな性格なので、終わってみればなんともツラい話でしたね。
平太師匠との出会いによって杉元一行にもたらされたものはいくつもあります。
まずアシリパが「正しく伝えること」を意識しました。
アシリパは樺太に行き“アイヌの文化を後世に残さなければ”という意志が芽生えましたが、ウェンカムイについて誤った知識を得ていた平太と出会ったことによって「正しく」伝えなければならないと改めて感じることとなりました。
そして房太郎に出会えたこと。
フランクな性格の房太郎は杉元たちの内面を浮き彫りにし始めています。
杉元たちは各々が己の心と向かい合い、金塊を得た後についてのことを考えるようになってきているのでした。
そして最後の1点は新たな刺青人皮を手に入れたこと。
今まで集めてきたものを鶴見に全て奪われてしまった杉元一行でしたが、ここで再び鶴見も土方も手に入れていない人皮を手に入れることが出来たのでした。
個人的には平太の刺青が正中線で途切れていないように見えるのも後の伏線だったらいいなと思いますが、少なくとも平太は北海道帰還後の杉元一行の道標として大きな存在感を残したのでした。

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