イザベラは、本当に「いい人」なのでしょうか
結論から言うと、善悪で割り切れる人物ではありません。彼女自身も農園で育ち、何も変えられないと知ったうえで「食べられない側」を選んだ結果、ママになりました。
グレイス=フィールドハウスの序盤で、イザベラはエマたちの前に立ちはだかる最大の敵として描かれます。身体能力も判断力も飛び抜けていて、まともに戦って勝てる相手ではありません。この記事では、その彼女がどうしてこの立場に就いたのかを見ていきます。
この記事でわかること
- イザベラがママになった理由
- 子守唄とレスリーという少年の関係
- 「いい人か」という問いの立て方そのものについて(カイの読み)
イザベラ自身も、農園で育った子どもでした
まず押さえておきたいのは、イザベラが外から来た大人ではないということです。彼女もまた、この仕組みの中で育てられた子どもでした。
その中で好意を寄せていたのが、レスリーという少年です。しかしレスリーは出荷され、戻ってきませんでした。
イザベラはそこで、何も変えられないことを知ります。そして選んだのが、せめて「食べられない人間」として生きるという道でした。ママになるとは、そういう意味です。
あの子守唄は、レスリーが作った歌です
イザベラが子どもたちに歌う子守唄があります。あれはレスリーが作ったオリジナルの歌です。
彼を忘れないため、そして自分が生き続けるための支えとして、彼女はその歌を持ち続けました。出荷していく子どもたちに、殺された少年の歌を歌っていたことになります。
僕はこう読む
この子守唄が、イザベラという人物のすべてを説明していると思います。
彼女は仕事として子どもを育て、出荷しています。感情を切り離しているように見えます。けれど歌だけは、殺された少年のものを使い続けた。
切り離せていないから、持ち続けたのだと思います。忘れられる人なら、とっくに別の歌にしていたはずです。
いちばん残酷な場面で、いちばん大事なものを口ずさんでいる。この矛盾を抱えたまま何年も続けたことが、彼女の払った代償だと読みました。
ママの椅子は、争って手に入れるものでした
回想では、ママ候補の少女たちが何人も登場します。彼女たちは、いつ空くか分からない飼育監の椅子を狙って学び続けます。
人体の構造を学び、子どもを喜ばせる裁縫を覚え、万一子どもが真実を知っても制圧できるよう体術を身につける。そして一定の水準に届かなかった者は、そのまま出荷されました。
つまりママになるとは、他の候補が食べられる中で自分だけ残るということです。イザベラはその選抜を勝ち抜いています。
僕はこう読む
「イザベラはいい人か」という問い自体が、この作品が仕掛けた罠だと思っています。
彼女は間違いなく加害者です。何十人もの子どもを出荷しました。同時に、間違いなく被害者でもあります。
この作品が描いているのは、悪い人がいる話ではなく、人をそうさせる仕組みがある話です。
だからイザベラを「実はいい人だった」と結論づけると、いちばん大事なところを取り落とします。いい人でも悪い人でも、あの椅子に座れば同じことをする。それがこの物語の怖さです。
最後に彼女が願ったもの
物語の終盤、イザベラは子どもたちの幸せを願いながら命を落とします。立ちはだかる存在として登場した人物が、最後は送り出す側に回りました。
エマたちが脱獄に成功したとき、彼女が見せた表情も含めて、この人物は最初から一貫して「変えられなかった側」だったのだと分かります。
まとめ|イザベラをどう読むか
- イザベラ自身も農園で育った子どもだった
- 好意を寄せていたレスリーが出荷され、変えられないことを知った
- 「食べられない側」を選んだ結果、ママになった
- 子守唄はレスリーが作った歌で、支えとして持ち続けていた
- 善悪ではなく、人をそうさせる仕組みの話として読む(カイの読み)
イザベラを許すかどうかは、読む人によって違っていいと思います。ただ「いい人だった」で片づけると、彼女がなぜそうなったのかが見えなくなります。問うべきは人柄ではなく、あの椅子のほうです。
——あなたはイザベラを、どう見ましたか。加害者だと思いますか、それとも同じ被害者だと思いますか。よければコメントで、あなたの読み方を聞かせてください。
よくある質問
Q. イザベラはなぜママになったのですか
A. 自身も農園で育ち、何も変えられないと知ったためです。せめて食べられない側で生きようとして、飼育監の道を選びました。
Q. あの子守唄には意味があるのですか
A. イザベラが好意を寄せていたレスリーが作った歌です。彼を忘れないための支えとして歌い続けていました。
Q. シスタークローネとの関係はどうだったのですか
A. クローネもママの椅子を狙う候補の一人でした。飼育監の座は限られており、候補どうしが争う構造になっています。
この記事を書いた人:カイ。読み終わったあとの「なんでここ、こう描いたんだろう」を、一人で考えています。→ 運営者情報
最終更新:2026年8月13日
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