物語は宇佐美の過去編へ。
12歳の頃、高木智春という友人がいた宇佐美。
しかし宇佐美は、東京へ行く前に宇佐美に勝ちたいと乱取りを申し込んだ智春を容赦なく蹴みつけました。
今回その凶行の理由と、その中で鶴見が見出したものが語られていきます!
目次
『ゴールデンカムイ』227話!のネタバレ
それでは『ゴールデンカムイ』227話!の要点をまとめてみます。
時間のない場合、目次に内容をまとめていますので参考にしてみてください。
どうしても許せなかったこと
踏ん怒の形相で智春を踏みつける宇佐美。
鶴見が慌てているのがすごく新鮮です。
鶴見がすぐさま止めに入ったところ、智春は白目を剥きながらも辛うじて息があるようでした。
宇佐美が冷静に、不気味に理由を告げました。
「僕は気が進まなかったのに篤四郎さんが“こっちの広いところでやりなさい”と言ったから…」
いや…そうじゃなくて…
鶴見は乱取りの話をしていたわけで、「親友にこんな真似をすると分かっていたら…」と言います。
しかし宇佐美は智春のことを親友なんて思っていなかったようで、「親友ぅぅ?」とさらに怒りを顕わにしました。
やはり宇佐美にとって智春はいつも“鶴見との時間”を邪魔する存在でしかなかったようです。
それでも宇佐美は彼をギリギリ見過ごしてきました。
父親が陸軍第二師団の偉い人だから鶴見に目をかけてもらっていた→「許す!」
東京の陸軍幼年学校に行くことで将校になってますます鶴見に近づく→「許す!」
今日まで何も言わずに見下していた→「許す!」
これまで智春に関する数々の事柄を宇佐美は許していましたが(たぶん許してないけど)、しかしどうしても許せないことが今日起こってしまったのです。
それは鶴見と智春の会話。
先ほど(話でいうと前回)塞ぎ込んでいた智春のところに鶴見がやってきて声をかけたわけですが、その時の2人の会話が外にいた宇佐美に全部聞こえていました。
そして彼の逆鱗に触れたのが、鶴見が智春に言ったこの言葉。
「気持ちの強さは時重くんに負けてない。その気持ちがずっとあればきっと智春くんの方が強くなるよ」
宇佐美は唇を噛みしめプルプルしながらそれを聞いていました。
「僕にはそれだけだったのに!!」
鶴見が一番だと認めてくれていたことだけがすべてだった宇佐美にとって、裏切られた思いだったに違いありません。
ナチュラルな狂気が恐ろしい…
宇佐美の叫びを聞いた鶴見は、怒りで息を荒くする彼を抱き寄せました。
そして「ああ言えば智春くんが諦めてくれると思っただけ」なのだと謝り、改めて宇佐美に伝えます。
「キミは今でも私の一番だよ」
その言葉を聞いた宇佐美は「そうだったんですか!」と一転ごきげんな表情に。
表情の変化が狂気的です…。
「それ…死んじゃいました?」
智春を「それ」呼ばわりするのも怖い…。
「共犯ですね僕たち…」
今しがた人を殺したというのに宇佐美は何だか嬉しそうです。
鶴見は少し考えた後、“智春は鶴見の乗ってきた馬に蹴られた”というように宇佐美と口裏を合わせることにしました。
馬は知らせを聞き怒り狂った智春の父親によって撃ち殺されたそうですが、225話で宇佐美が死んだ馬を見下ろしていたのもきっとこの時のことを思い出していた…というか、馬を見るたびに度々殺しては思い出して悦んでいるのかもしれません。
宇佐美獲得
そして時は再び明治28年、宇佐美と鶴見が再会したところです。
宇佐美の言っていた“僕らの聖地”というのは―
「ここは僕が初めて人を殺した場所(僕の童貞喪失)」
宇佐美が稽古もないのにはるばる足を運んでいたのは―
「この聖地へ何度も来てはあの日のことを思い出すんです(僕と篤四郎さんだけのヒミツ)」
というわけだったのです。
鶴見は智春の一件の後に第七師団に所属となった様子。
理由としては“鶴見の馬が智春を蹴り殺したから親に逆恨みされて第二師団にいづらくなった”という感じのようですが、宇佐美はそうなると分かってて自分を庇ってくれたのだと思い喜んでいます。
左遷されたと言いつつも「でもいいさ…中央から離れたさらに離れることでより自由にできることもある」と呟く鶴見。
まあ元々北海道に行きたいと思っていて、ちょうど智春の死を利用した可能性もありますね。
それに、鶴見は宇佐美という存在に興味を抱いていたようです。
「第七師団で待ってるよ」
こうして宇佐美を自陣に迎えました。
鶴見の辿り着いた答えとは
225話の武田先生との会話の続き。
教練を受けたはずの兵士たちがいざ戦闘になると“発砲するふり”をするという話でした。
鶴見は、宇佐美という存在を介して“殺人への抵抗を飛び越えられる人間”というものを考えていました。
そのことを踏まえ、どうすれば敵兵を殺してくれるかについて鶴見は「日清戦争を経て答えを見つけた気がする」と言います。
兵士の攻撃性を引き出す原動力とは―
敵兵への憎しみではなく、恐怖でもなく、政治思想の違いでもない。
鶴見が見出した答え…それは『愛』。
背後に月島・宇佐美・鯉登・尾形が描かれています。
鶴見の“計画的な人たらし”が発揮されてきた面々とも言えますね。
ベトナム帰還兵によれば、互いの背中を預けた戦友との絆は夫婦以上ともいう「強い恋愛関係」と表現され、第二次世界大戦を含めた膨大な兵士たちからの聞き取りによれば、「敬愛する上官…愛する同志の期待を裏切る不安」が殺人への壁を乗り越えさせるのだといいます。
しかしそこにはやはり罪悪感が生じます。
そこで「いかに部下との愛を育み、どんな汚れ仕事でも従う兵士を作れるか…」それが指揮官の議題だと鶴見。
ただ、“生まれながらにして兵士”の者もいるのだと言います。
羊の中に僅かにいる“犬”。
攻撃性が強く忠実で、後悔や自責を感じずに人が殺せる兵士。
まさに宇佐美という存在ですが、軍隊にはそのような兵士が切実に必要なのだと鶴見は考えていました。
その宇佐美は現在、菊田と2人で連続殺人犯のいる札幌へと向かっています。
犯人は「物盗り」ではなく「殺しのための殺し」であり、間違いなく現場に戻ってくると確信している宇佐美。
「何度も戻り自分の殺しを妄想して自慰行為をするような変態に違いない」
宇佐美自身がまさにその変態ですから、犯人と何か通じるものがあるのでしょう。
暇を持て余している鯉登
一方現在の軍病院。
二階堂が「朝起きたら義手がどこにも無いのです!」と大騒ぎ。
それを見て「誰かが隠したんじゃないのか?」とクスクス笑う鯉登。
そこでインカラマッの出番です。
「お願いしますインカラマッさん!」と頭を深々と下げる二階堂。
そしてインカラマッの占いによってすぐに鯉登の犯行がバレてしまいました。
すると「なんでわかったんだ!不思議だ」と驚く鯉登に、「私でも見当つきましたが」とツッコむ月島。
恐らく読者みんな見当ついていたと思います(笑)
鯉登は「インカラマッはすごいんだぞ月島~」と言いながら何かをガジガジ噛んでいます。
それは“魔除けのイケマの根 一本1円20銭”。
確か以前白石も同じものを買わされていましたが、その時の倍近い価格になってますね。
足もと見るインカラマッはしっかり者ですね。
「鯉登少尉から金を巻き上げるのはやめろ」と月島。
確かに素直なボンボン鯉登は良いカモです。
インカラマッの凄さを説くチョロ之進が月島に、お前も試しに見てもらったらどうだと提案。
しかし拒否する月島。
「見つからないものとか…探しているものはありませんか?」とのインカラマッの言葉に、月島の中でいご草ちゃんの存在が頭を過ります。
ここでいご草ちゃんが浮かぶあたり、月島の中ではまだ消化できていないということが窺えますね。
確かにインカラマッの力を借りれば、いご草ちゃんの行方も分かるかもしれません。
しかし月島は厳しい表情でこう答えました。
「オレを手懐けようなんて思うなよ」
これはインカラマッへの言葉なのか鶴見に対して揺れる自分の気持ちなのか…。
代わりにインカラマッは、北海道に帰ってきたはずなのに軍病院に来ない谷垣の行方を月島に問いました。
「私が人質だからですか?」
月島は答えません。
無視しているというよりは、何か揺れ動いているような不安定な雰囲気を感じますね。
かたや、義手の中に何か詰まっているせいで箸が出てこないと言っている二階堂。
中に詰まっていたものは…
「羊羹だ」
これも鯉登の仕業でした。
最近宇佐美ホラーでしたので、鯉登と二階堂には癒されますね。
『ゴールデンカムイ』ネタバレ227-228話のまとめ
12歳ですでにこれですから…宇佐美はとことん狂ってますね。
家庭環境も悪くない印象でしたし、まさに「生まれながらにして」ということなのでしょう。
理由は智春自身じゃなく鶴見の言葉にあったわけなので、やはり鶴見に対する嫉妬心が周りへの危害となるというところが北海道犬の話に繋がりますね。
宇佐美的には「一番」「共犯」という言葉が大事そうな気がします。
今のように手綱が握れているうちはいいですが、智春の時のように何かふとした一言などですれ違いがあった時に一気に憎悪に振り切れそうで怖いですね。
鶴見はその辺に気を付けなければならないでしょう。
鶴見の考えが少し聞けたのも良かったですね。
今まで人たらしの面とカリスマ性しか描かれていなかったですが、そこには鶴見が考え抜いた「愛」という答えがありました。
愛と言っても鶴見自身に対する愛だけではないですね。
鶴見は月島といご草ちゃん、鯉登親子、尾形の家庭環境という数々の愛の形を利用しています。
しかし愛とは繊細なもの。
無償の愛ではなく兵士にするために利用する愛には、どこかしらに綻びが生じるのでしょう。
鶴見との関係に揺れる月島・鯉登、愛というものが分からなかった尾形。
鶴見が愛で育ててきた兵士たちが鶴見から離れていっているのが皮肉ですね。
だからこそ宇佐美のような人間が軍隊的にも鶴見的にも貴重なんでしょうが、存在があまりにも爆弾すぎる…。
何気にいろんな「愛」がこの漫画には描かれていますが、今回改めてテーマとして示された感じですね。
次回は杉元が「がちキャン△」!?
ゆるくないというところに期待です。

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