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ユキさんのその後はどうなったのか?
結論から言うと、田舎へ帰る猫田銀八についてゆき、亡くなるまで二人で暮らしました。いまも猫田の家には仏壇があり、大切に弔われています。物語の現在では、すでに故人です。
戦後編を読み終えたあと、いちばん気になるのがここだと思います。三人の関係がどう決着したのか、そのあと何十年をどう過ごしたのか。順に置いていきます。
この記事でわかること
- ユキさんがそのあとどう生きたか
- 三人が出会った経緯
- 広島から来たユキが抱えていたもの
- ひまわりに込められたもの
- 猫田・鴨川それぞれのアンダーソン戦
- 鴨川が身を引いた「生涯拳闘宣言」
- いま、ユキさんがどこにいるのか
三人は、米兵に殴られたところから始まりました
舞台は荒れに荒れていた戦後です。鴨川源二と猫田銀八は、拳闘屋として拳で稼いでいました。リングでは殺し合うほどぶつかり、降りれば親友という間柄です。
そこへ知らせが入ります。もう一人のライバル・浜団吉が、米兵に敗れたと。
拳闘のあと、勝った米兵たちは雨のようにチョコレートを撒きました。鴨川たちは「拾うな」と言います。貴重な品だと分かっているからこそ、複雑な場面です。
その傍若無人な振る舞いに怒った鴨川と猫田は、米兵アンダーソンに挑みます。そして一方的にやられました。
倒れた二人が見つけたのが、足がすくんで動けずにいた少女でした。行く所がないというその少女に、鴨川は家の一つを使っていいと声をかけます。
少女の名はユキ。そこに猫田も合流し、三人の賑やかな生活が始まりました。
ユキが残した言葉が、この時代を言い当てています。
「ひとつ拾うと、ひとつ捨てなきゃならないもの………日本人の誇りを」
ユキさんは広島から来ていました
穏やかな共同生活の裏に、ユキは秘密を抱えていました。ユキは広島で被爆した女性です。
抱えていたのは原爆病でした。だるさを伴い、やがて死に至る病です。残された時間が短いことを、本人は分かっています。
そのユキが東京へ出てきた理由が、また重い。生きる気力を求めて来たのです。
体を治しに来たのではありません。治らないと知ったうえで、それでも生きたいと思える理由を探しに来た。そういう人でした。
だから鴨川と猫田に出会えたことは、ユキにとって偶然の幸運ではありません。探していたものが、そこにあったということになります。
ユキは最後まで明るく振る舞い続けました。その姿に、鴨川は尊敬に近い念を抱きます。
ひまわりが好きな理由が、この人の芯です
ユキが好きだったのはひまわりでした。太陽に向かって、真っ直ぐに咲く花です。
この好みが、そのままユキという人の強さになっています。下を向かない。うつむかない。病を抱えながら明るく振る舞い続けたことと、同じ形をしています。
だから、あの場面が効きます。夏が終わり、うつむいてしまったひまわりを見て、ユキが寂しそうにする——そこへ猫田が声をかけます。
「ユキさんには下を向いて欲しくないダニ」
僕はこう読む
猫田はこのとき、ひまわりの話をしていません。うつむいた花を見て寂しがるユキが、自分の残り時間を重ねていることに気づいている。だから花ではなく、ユキに向かって「下を向くな」と言った。ストレートすぎるこの男が、いちばん察していたのだと思います。鴨川ではなく猫田が選ばれた理由が、ここに全部あります。
猫田VSアンダーソン。拳闘生命を絶たれます
物語が動くのは、アンダーソンがユキを襲おうとしたときです。
猫田は試合を決意します。想いを寄せるユキに誇りを見せるため、そして戦後の復興のために。そのとき猫田はユキに「鴨川には黙っておいてくれ」と頼みました。
理由があります。猫田は自分の異変に気づかれていたのです。輪タクで傷だらけになる、コップを落とす、同じ言葉を繰り返す——鴨川はすでに疑いを持っていました。知られれば止められる。
試合が始まります。「電光石火」と呼ばれた猫田の拳闘は芸術的でした。体格差のあるアンダーソン相手に、圧倒的なスピードでダウンを奪います。
それを見た鴨川は「勝てる」と思い、応援に回りました。ところがインターバル中に猫田が寝ていたとセコンドの団吉から聞かされ、疑いが戻ります。
そして疑いのとおり、試合中に発作が起こりました。
アンダーソンは容赦しませんでした。後頭部を狙う反則のラビットパンチを連打します。猫田はなんとか立ち上がりますが、この試合で拳闘生命を絶たれました。
鴨川VSアンダーソン。今度は鴨川が拳を失います
親友二人の仇を討つため、鴨川がアンダーソンに宣戦布告します。
「貴様を殴る拳が日本にはまだある!俺の拳だ」
鴨川は丸太を素手で打ち込む荒技で、のちに代名詞となるハードパンチ「鉄拳」を身につけます。
しかし相手も同じではありませんでした。猫田戦でプライドを傷つけられたアンダーソンは弱点を克服しており、体格差と技術差もあって鴨川は追い詰められます。
ここまでかと思われたとき、一命を取り留めた猫田が、ユキと共に現れました。そして助言を送ります。
その助言を聞いた鴨川は、勇気と鉄拳でアンダーソンの肋骨を粉砕しました。
ただし代償があります。鴨川もまた両拳を負傷し、拳闘生命を絶たれました。
僕はこう読む
二人とも拳を失う結末にしたところが、この戦後編の要だと思っています。片方だけが失えば、勝ち負けの話になります。両方が失えば、残るのは「誰が誰と生きるか」だけです。拳闘漫画が、拳闘を全部取り上げてから恋の決着を描いた。だからこの数十ページが、いまも語り継がれているのではないでしょうか。
鴨川の「生涯拳闘宣言」で、決着がつきます
ユキが想いを伝えようとしたとき、鴨川が返したのはこの一言でした。
「俺が愛しているのは拳闘だけだ」
拳を失った直後の男が、拳闘だけを愛していると言い切る。言葉としては矛盾しています。もう戦えないのですから。
それでも、そう言うしかありませんでした。猫田が同じ人を想っていることを、鴨川は知っていたからです。
この宣言を聞いたユキは、何も言わずに猫田とともに旅立ちます。問い返しも、確認もしていません。
激闘が終わり、猫田は故郷で治療に専念すると決めます。
鴨川はユキに、猫田のそばにいてやってくれと伝えました。ユキは猫田について行くことを決めます。
ところが猫田は、ユキの想いが鴨川に向いていることを知っていました。だからユキに、その想いを鴨川に伝えてくるよう諭します。
想いを伝えに来たユキに対し、鴨川が返したのが生涯拳闘宣言でした。
愛しているのは、拳闘以外にない。
その言葉を聞いたユキは、鴨川の想いも分かったうえで、猫田と共に故郷へ旅立ちました。
鴨川もまた、ユキを憎からず思っていました。それでも猫田の気持ちを知っていたから、あえて突き放したのです。
ユキさんはいつ、なぜ亡くなったのか
ここが、いちばん検索されている問いだと思います。
ユキさんは、猫田とともに故郷へ旅立ったあと、まもなく亡くなりました。
死因は原爆病です。広島で被爆したときから、すでに決まっていたことでした。
順番を並べると、こうなります。
| 順番 | 起きたこと |
|---|---|
| 1 | 猫田がアンダーソン戦で拳闘生命を絶たれる |
| 2 | 鴨川も拳を失い、「生涯拳闘に生きる」と宣言してユキを突き放す |
| 3 | 猫田が故郷での療養を決める |
| 4 | ユキが何も言わず、猫田とともに旅立つ |
| 5 | まもなく、原爆病で亡くなる |
死亡の場面そのものは描かれません。作中に映されるのは、残されたものだけです。
僕はこう読む
「まもなく」という短さが、この話の全部だと思っています。三人で過ごした時間も短く、猫田と過ごした時間はもっと短い。それでもユキは、生きる気力を求めて東京に来た目的を果たしています。長さで測れば何もありません。でもユキが探していたのは長さではなかった。だから作者は、死ぬ場面を描かずに仏壇だけを見せたのだと思います。
いまも、猫田の家に仏壇があります
ここが「その後」のいちばん先です。ユキは猫田の故郷へついてゆき、亡くなるまで二人で暮らしました。
ユキさんの死亡は、作中ではっきり示されています。本編が始まる時点で、ユキさんはすでに故人です。ただし死亡の場面そのものは描かれず、残されたものだけが映されます。
そして猫田はいま、山のペンションで暮らしています。その家には、ユキさんの仏壇があります。
猫田の手で、今も大切に弔われ続けている。何十年も経って、一歩たちの時代になってなお、ユキさんはその家にいます。
戦後編を読んだあとに猫田が出てくると、見え方がまるで変わります。あの飄々とした老人は、ずっと一人で誰かを弔い続けてきた人だったということになるからです。
僕はこう読む
仏壇を出したのは、この物語がボクシング漫画であることの答えだと思っています。勝敗も記録も残りません。残るのは、誰と過ごしたかだけです。拳を失った男が最後に手にしたものを、勝ち負けの外側に置いた。戦後編がいまも語られるのは、ここがあるからではないでしょうか。
鴨川のほうは、いまも思い続けています
身を引いた鴨川は、それで忘れたわけではありません。作中では、いまもユキさんを思い続けている様子が描かれます。
猫田と鴨川は、その後も長く付き合いが続きます。同じ人を想った二人が、何十年も並んで年を取った。そのことを、どちらも口には出しません。
アニメの声を当てているのは折笠富美子さんです
アニメ版でユキさんを演じているのは折笠富美子さんです。
病を隠して明るく振る舞う人物なので、明るさの下に薄い影を置く演技が求められます。ひまわりの場面の声を聞くと、その差が分かります。
戦後編は原作45〜46巻です
ユキさんが出てくるのは戦後編と呼ばれる過去編で、原作の45〜46巻あたりにあたります。
アニメでは第3期「Rising」の第22話〜第25話にあたります。単発の特別編ではなく、シリーズの中にきちんと組み込まれた形で映像化されました。
本編とは絵柄も雰囲気も違い、独立した短い物語として読めます。原作ファンからの評価がとくに高い部分で、「はじめの一歩はここまで」と言う読者がいるほどです。
| 原作 | 45〜46巻 |
| アニメ | 第3期「Rising」第22話〜第25話 |
| ユキさんの声優 | 折笠富美子 |
まとめ|ユキさんのその後をどう読むか
ユキさんは猫田の故郷へついてゆき、亡くなるまで二人で暮らしました。
経緯を並べます。
- 広島で被爆した女性で、原爆病を抱えていた
- 東京へ来た理由は「生きる気力を求めて」。治療のためではない
- 鴨川は「俺が愛しているのは拳闘だけだ」と宣言して身を引いた
- いまも猫田の家に仏壇があり、弔われ続けている
僕はこう読む
猫田はこのとき、ひまわりの話をしていません。
うつむいた花を見て寂しがるユキが、自分の残り時間を重ねていることに気づいている。
だから花ではなく、ユキに向かって「下を向くな」と言いました。
二人とも拳を失う結末にしたところが、この戦後編の要だと思います。片方だけが失えば勝ち負けの話になり、両方が失えば残るのは「誰が誰と生きるか」だけになります。鴨川の宣言を拳闘を選んだ告白と読むか、猫田の想いを知ったうえで身を引いた嘘と読むかで、この結末の意味が変わってきます。
——あなたは鴨川のあの宣言を、本当に拳闘を選んだ告白だと思いますか。それとも、猫田の想いを知って身を引くための嘘だと思いますか。よければコメントで教えてください。
よくある質問
猫田の家の仏壇に弔われている、という一点しか最期の手がかりがありません。細かい点を拾っておきます。
Q. ユキさんはその後どうなったのですか?
A. 猫田銀八の故郷へついてゆき、亡くなるまで二人で暮らしました。物語の現在では既に故人です。
Q. なぜ鴨川ではなく猫田と一緒になったのですか?
A. 想いを伝えに来たユキに、鴨川が「愛しているのは拳闘以外にない」と生涯拳闘宣言で応えたためです。猫田の気持ちを知ったうえで、あえて突き放しました。
Q. いまユキさんはどこにいますか?
A. 猫田が営む山のペンションに仏壇があり、猫田の手で今も弔われ続けています。
Q. ユキさんはいつ死んだのですか?
A. 猫田とともに故郷へ旅立ったあと、まもなく亡くなりました。死因は原爆病です。死亡の場面そのものは描かれていません。
Q. ユキさんはどこから来たのですか?
A. 広島です。被爆して原爆病を発症し、生きる気力を求めて東京に出てきました。
Q. ユキさんが東京に来た理由は?
A. 病を治すためではありません。治らないと知ったうえで、それでも生きたいと思える理由を探しに来ました。
Q. 戦後編はアニメの何話ですか?
A. 第3期「Rising」の第22話〜第25話です。
Q. アンダーソンとは誰ですか?
A. 戦後編の敵役となる米兵です。猫田と鴨川はどちらもこの相手との試合で拳闘生命を絶たれました。
Q. 戦後編は原作の何巻ですか?
A. 45〜46巻あたりです。本編とは雰囲気の異なる過去編として描かれています。
Q. ユキさんの声優は誰ですか?
A. 折笠富美子さんです。
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この記事を書いた人:カイ。読み終わったあとの「なんでここ、こう描いたんだろう」を、一人で考えています。 → 運営者情報
最終更新:2026年9月6日


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