- 合従軍は李牧が起こした戦いである
- 函谷関は秦の鉄壁の守りだった
- 李牧は合従軍に未参戦だった意外性
キングダムの中でも絶大な人気を誇る合従軍編ですが、史実とは内容が大きく違うようです。
実際の秦対合従軍はどのような戦いだったのでしょう?
キングダムでの合従軍編と共に、史実での合従軍編の紹介もしていきます。
目次
【キングダム】キングダムでの合従軍編とは?
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キングダムでの合従軍は、趙の李牧が起こしたものでした。
秦が山陽を攻略し、東郡と名前を変えた事で、秦が本格的に中華統一に乗り出す事に気付いた李牧が、秦を除く六国の王を説得し秦に攻め込んだのです。
ここに中華史上2度目の合従軍が起きたのです。
六国相手でははるかに戦力の劣る秦軍は、各所での防衛を諦め、函谷関に全戦力を集めます。
この戦いは合従軍が函谷関を抜く事が出来るかどうかの戦いになったのです。
秦の国門である函谷関は、これまで一度も敵の侵入を許した事のない鉄壁の門でした。
城壁は普通の城の倍の高さがあり、城門も強固で正に堅牢無比な城でした。
函谷関を抜く自信があった李牧でしたが、初日でいきなり趙の将軍である万極を信に討たれてしまい、楚の将軍である臨武君が騰に討たれてしまいます。
その後、桓騎の奇策により、五大将の一人である韓の成恢を張唐が打ち取ります。
そして、合従軍の武の象徴とも言うべき存在であった、楚の汗明を一騎打ちにて蒙武が討ち取ります。
王翦は燕のオルドを手玉に取り、全く寄せ付けませんでした。
自軍の動きを悟られないようにし、警戒するオルドの動きを封じ込みます。
山間での戦いで敵を見失う事は、自軍にとっていかに危うい事かをオルドはよく知っていたのです。
これによりオルドは何も出来ずにこの戦いを終えるのです。
動きを悟られなかった王翦本体は、函谷関の裏を取り城門を占拠した楚の媧燐の別働隊を打ち破り、城門を取り戻します。
函谷関を抜けないとみると、李牧は奥の手である南道から攻め込みますが、咸陽の喉元の城である蕞を抜く事が出来ず、合従軍の敗北が決まるのです。
秦にとって圧倒的に不利な状況で始まった戦いでしたが、要所で勝利を収めた秦が見事に合従軍を撃退するのでした。
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キングダムでの合従軍は、趙の李牧が各国を説得し、合従軍総大将は楚の宰相である春申君が務めています。
李牧はあくまでも参謀という位置づけになっています。
史実でも合従軍の総大将は春申君ですが、李牧が合従軍に参戦していたという記述はありません。
この頃の李牧は、北方の雁門を守る長官を務めていたはずで、まだ世に名前も通ってはいませんでした。
キングダムの合従軍での李牧の描かれ方は、完全にオリジナルとなります。
戦国四君の一人である春申君は、それまで楚王からの信頼も厚い宰相だったようです。
合従軍の総大将になった程なので、他国においてもかなりの影響力があったのはキングダムと同じだったようです。
しかしながら、合従軍を率いての敗北により一気に信頼を失い、楚王からも遠ざけられるようになってしまいました。
たった一度の失敗で失脚してしまうのですから、世知辛い世の中だったのですね。
この頃の中華は既に秦一強の様相を呈しており、斉を除く5国が合従軍に参戦しましたが、それでも戦力は秦の方が大きかったそうで、キングダムで描かれているような、ドラマチックな展開はなかったようです。
【キングダム】舞台となった函谷関とは?
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秦が合従軍を迎え撃った函谷関の守りの堅さは中華随一でした。
函谷関は紀元前361年に、当時の秦王であった孝公により東方からの侵攻を防ぐために建設されました。
井闌車が届かない高さで設計おり、城門も非常に固く造られていました。
門の上には3層の楼閣が2棟あったそうです。
孝公は第25代の秦王であり、第9代の秦王であった穆公亡き後の衰退してしまった秦を、強国に復活させたと言われる王です。
函谷関は孝公の時代に建設され、紀元前241年にその強固さで、5国連合軍である合従軍の攻撃を跳ね返すのです。
実に120年という長い年月を経て、函谷関は秦を救う事になるのです。
反秦戦争時には、後に漢王となり中華を統一する劉邦が咸陽を攻めますが、その強固さから函谷関を抜こうとはしませんでした。
劉邦はキングダムでの李牧の奥の手と同じ南道を進み、武関を抜け咸陽まで辿り着き、秦を滅ぼすのです。
春秋戦国時代には鉄壁を誇り、幾度となく秦を救ってきた函谷関でしたが、楚漢戦争時に楚の項羽によって破壊されてしまいます。
秦の衰退と共に国門である函谷関も、その役割を終える事になるのです。
【キングダム】龐煖の蕞進軍は史実通り
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キングダムでの秦対合従軍の戦いは、大分脚色されています。
実際には合従軍の記録は殆ど残されていません。
もしかしたら、記録が残る程の戦いではなかったのかもれません。
それ程までに、当時の秦の強さは際立っており、正に秦の一強時代だったようです。
キングダムでは、函谷関を抜く事が困難になった李牧が、南道を通って蕞を攻めていますが、史実では李牧は合従軍には参戦していません。
記録によると、各国の精鋭を率いて蕞を攻めたのは龐煖でした。
韓は人手不足だったのか、蕞攻めには兵を出せていません。
ですので、実際は趙、魏、燕、楚の4カ国で蕞を攻めています。
無論、龐煖はキングダムで描かれているような、ムキムキの武神などではなく、既にこの時には大分高齢のおじいちゃんだったようです。
老体にムチ打って蕞を攻めた龐煖でしたが、抜く事は出来ずに敗北したのです。
記録では蕞攻めもたった一文で残されていて、結末においてはたった一言で残されています。
「不抜(抜く事は出来なかった)」と。
【キングダム】史実では秦の参加武将は不明!?
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キングダムでの合従軍編は、秦の抱える将達が一同に揃いました。
蒙武、桓騎、張唐、騰、王翦、蒙驁の将軍達に加え、信や蒙恬、王賁といった若手や元王騎軍の軍長達も当然参戦していました。
秦の命運をかけた戦いだけあって、主要な武将が全員参戦していましたね。
しかし、史実では参戦武将は不明なのです。
当然合従軍側の武将もほぼ不明です。
元々、春秋戦国時代の記録そのものが少ないですが、後の始皇帝が行った政策の一つである焚書・坑儒により、「秦記」以外の歴書は焼かれてしまいました。
加えて、項羽が咸陽を占拠した後、大半の書物が焼かれたり略奪にあってしまったようです。
それらの歴史書が残っていれば、壮大な世界がもっと詳細に描かれていたと思うと残念な気持ちになりますね。
【キングダム】政は1度も戦場にでていない?
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キングダムでの合従軍は、最後に李牧が蕞を攻めますが、秦王である政が自ら戦地に赴き、住民の士気を上げ、民兵集団で李牧軍を撃退しています。
政が住民を戦う戦士に変える為、広場で演説をするシーンは、キングダムの中でも代表的な名場面の一つとされています。
しかし史実では、秦王嬴政が戦場に出たという記録は一切ありません。
一国の王が自ら戦地に赴くというのは、基本的にあまりあり得ない話かなと思いますが、特にこの時代の秦は、ほぼ一強時代だったのもあり、わざわざ王が士気を上げる為に戦地に出向く必要もなかったのでしょう。
実際の政は、常に王宮で高みの見物だったのでしょうね。
【キングダム】合従軍編は史記に詳細がない戦いだった?
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秦対合従軍の戦いは、合従軍が起こった年や、春申君が総大将を務めた事、戦いの場が函谷関だった事、蕞を龐煖が各国の精鋭を率いて攻めた事などは記録が残っていますが、それ以外はほぼ不明です。
なので、キングダムでの合従軍編は7割〜8割はオリジナルなのです。
他に確かなのは、この時代は既に秦の一強時代だった事くらいです。
元々は秦にも並ぶほどの東の超大国であった斉は、中華で最初に起きた合従軍によって大幅に戦力ダウンさせられ、趙は長平の戦いで40万人を生き埋めにされ、こちらも著しく戦力が落ちてしまいました。
中華で2度目に起きた合従軍が、秦に対する六国の最後のあがきだったようです。
合従軍後の六国は、楚の項燕や趙の李牧が奮闘しますが、その2人が絡んだ戦い以外は為す術なく秦に敗れ去っています。
キングダムでは熾烈を極めた戦いを繰り広げた合従軍編ですが、実際はどのような戦いが繰り広げられたかは定かではないのが残念でなりません。
逆に言えば、大した資料もない中で、これ程の壮大な世界を描いてくれた原先生はやっぱりすごいですね!
まとめ
史実での合従軍編は記録が殆ど残されていませんでした。
原先生の想像力には脱帽しますね!
しかし、可能ならば実際はどの武将が参加し、どのような戦いが繰り広げられたのかを知りたいものですね。
- 合従軍の総大将は春申君です
- 函谷関は鉄壁の守りでした
- 李牧は合従軍に不参加でした
- 政は戦場に出た記録なし
- 合従軍編は多くがオリジナルです
- 函谷関は秦を何度も救った
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