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尾形百之助の目的は何なのか
結論から言うと、尾形百之助の目的は金塊そのものではありませんでした。父に捨てられた自分にも、祝福された道があったのかを確かめることでした。
山猫スナイパーと呼ばれる第七師団の上等兵、尾形は、第七師団から土方一派、杉元たちへと居場所を変え続け、何を考えているのか分からない男として描かれました。けれど、母・弟・父を手にかけた理由を並べると、どれも愛されていたかを確かめようとした行動だったことが見えてきます。最後の答えは、310話で出ます。
この記事でわかること
- 尾形が金塊争奪戦に加わった本当の目的
- 母を毒殺した理由
- 弟の勇作と父の花沢中将を殺した理由
- 第七師団を裏切った理由
- アシリパに自分を撃たせようとした理由と、310話の答え
尾形の行動と目的を一覧で見る
尾形が手にかけた家族と、その理由を並べます。色の付いた行が、目的の答えにいちばん近い行動です。
| 相手 | 尾形がしたこと | 尾形が確かめたかったこと |
|---|---|---|
| 母 | あんこう鍋に殺鼠剤を混ぜて毒殺 | 葬式に父が来れば、母は最後に愛した人に会える |
| 弟・勇作 | 日露戦争の戦場で射殺 | 勇作がいなくなれば、父は妾の子の自分を想うのか |
| 父・花沢中将 | 自刃に見せかけて殺す | 祝福された道が自分にもあったのか |
| アシリパ | 父の仇という理由を与え、自分を撃たせようとする | 清い者も人を殺せば自分と同じになるのか |
表のとおり、尾形の殺しにはいつも誰かの愛を確かめる問いがついていました。金塊は、その問いを持ち歩くための口実に近いものだったと考えられます。
僕はこう読む
尾形の行動は冷たく見えて、実はずっと答えを探していたのだと思っています。
愛を確かめる方法として、殺すことしか知らなかった。
その不器用さが、尾形をいちばん読者を引きつける人物にしたのだと読んでいます。
山猫という呼び名にも、尾形の出自が刻まれています。母が芸者だったことから、師団の中では蔑みをこめて山猫と呼ばれていたのです。
母を毒殺した理由
尾形の母は浅草の芸者で、第七師団長・花沢幸次郎中将の妾でした。本妻との間に勇作が生まれると、母子は捨てられ、母の故郷の茨城で祖父母に育てられます。心を病んだ母は、かつて花沢中将がおいしいと言ったあんこう鍋を毎日作り続けていました。
尾形は鳥を撃ってきても母に目を向けてもらえず、ある日あんこう鍋に殺鼠剤を混ぜて母を毒殺します。後に尾形は、母への愛情が少しでも残っていれば父は葬式に来るはずで、母は最後に愛した人に会えると考えたと花沢中将に語りました。父は来ず、尾形は親の愛を知らないまま育ちます。
弟の勇作と父の花沢中将を殺した理由
軍に入った尾形は、本妻の子である腹違いの弟、勇作と出会います。誰にでも屈託なく笑う勇作は、尾形には両親から祝福されて生まれた子に見えました。花沢中将は、人を殺す罪悪感を背負わずに済む偶像として、勇作に人を殺すなと命じていました。
尾形は勇作にも手を汚させようとしますが、勇作は兄様はそんな人ではないと涙ながらに尾形を抱きしめます。その勇作を、尾形は日露戦争の二〇三高地の戦場で、後ろから撃ちました。理由を問う花沢中将に、尾形は勇作がいなくなれば父は妾の子の自分を想うのかを確かめたかったと答えています。花沢中将の答えは、出来損ないの息子への呪いの言葉でした。尾形は父を自刃に見せかけて殺します。この殺害には鶴見中尉の手引きがありました。
僕はこう読む
勇作を撃った理由は妬みではなく、愛の行き先を変えたかったからだと読めます。
父の愛がどこかにあるなら、自分に向いてほしかった。
呪われろと言われた瞬間に、尾形の問いは答えのないまま閉じてしまったのだと思っています。
第七師団を裏切った理由
鶴見中尉のもとで花沢中将の殺害や鯉登の誘拐に関わった尾形は、やがて第七師団を離れます。花沢中将を殺したときから、尾形は鶴見を人たらしだと冷ややかに見ていました。愛や情で部下をつなぎとめる鶴見のやり方は、愛を信じられない尾形には通じなかったのです。
鯉登は、花沢中将が反対していた満鉄の計画が尾形の行動に絡んでいるのではないかと考えています。鶴見の作った偽りの絆を壊したいという思いが裏切りの理由にあったのかもしれません。
狙撃手としての尾形に最後までついて回ったのが、ロシアの狙撃手ヴァシリです。国境での撃ち合いに勝った尾形は、300話の五稜郭でもヴァシリと撃ち合って勝ちますが、ヴァシリは生き延びました。尾形が唯一、自分と同じものを感じた相手が、敵の狙撃手だったことになります。
アシリパに自分を撃たせようとした理由
網走監獄の争乱で、尾形はキロランケの指示でのっぺら坊を、自分の判断で杉元を撃ちました。その後の旅で、尾形は誰も殺さないと決めているアシリパに勇作の清さを重ねるようになります。
尾形は、自分の中に道理さえあれば罪悪感に苦しむことはないと考えていて、アシリパに父の仇という道理を与え、自分を撃たせることで清い存在を自分と同じ側に引き下ろそうとしました。けれどアシリパは、勇作と同じように人を殺さない道を守りました。
310話で出た答え
暴走列車で、アシリパは杉元を救うために尾形へ毒矢を放ちます。毒の幻のなかで、尾形は勇作と、罪悪感と、愛について問われ続け、最後は自分の銃で頭を撃ち抜きました。310話の題は祝福です。勇作に、兄様は祝福されて生まれた子だと告げられて、尾形は笑みを浮かべて落ちていきました。
尾形の目的は、ここで初めて答えを得たと読めます。祝福された道が自分にもあったのかという問いに、作品は最後に、あったという答えを置いたのです。
僕はこう読む
尾形が最後に得たのは、金塊でも勝利でもなく、自分も祝福されていたという答えでした。
それを受け取れたのが死の直前だったことが、尾形という人物のいちばんの悲しさだと思っています。
まとめ
尾形百之助の目的は、金塊ではなく、父に捨てられた自分にも祝福された道があったのかを確かめることでした。母・勇作・父への行動はすべてその問いから出ていて、310話で答えを得て終わります。
- 母を毒殺したのは、葬式に父が来れば母が愛した人に会えると考えたから
- 勇作を撃ったのは、父の愛が自分に向くのかを確かめたかったから
- 父の花沢中将は、呪いの言葉を残して尾形に殺された
- 鶴見の情でつなぐやり方が通じず、第七師団を離れた
- 310話「祝福」で、自分も祝福されていたと受け入れて最期を迎えた
僕はこう読む
尾形は、愛を確かめるために人を殺し、最後に自分を撃ちました。
問いの答えを、自分の命と引きかえにしか受け取れなかった男だったと思っています。
尾形の目的を、愛されたかった男の物語として読むか、罪悪感から逃げ続けた男の物語として読むかで、310話の受け取り方は大きく変わります。
——あなたは、尾形の目的を、愛されたかったからだと思いますか。それとも、罪悪感から逃げたかったからだと思いますか。よければコメントで教えてください。
よくある質問
尾形百之助の目的は、金塊との関係や家族を殺した理由とあわせてよく聞かれます。短く答えておきます。
Q. 尾形百之助の目的は金塊ですか
A. 金塊そのものではありません。自分にも祝福された道があったのかを確かめることでした。
Q. 尾形はなぜ母を毒殺したのですか
A. 母への愛情が残っていれば父が葬式に来て、母が最後に愛した人に会えると考えたからです。
Q. 尾形はなぜ勇作を撃ったのですか
A. 勇作がいなくなれば、父が妾の子の自分を想うのかを確かめたかったからです。
Q. 尾形の父は誰ですか
A. 第七師団長だった花沢幸次郎中将です。尾形は父を自刃に見せかけて殺しました。
Q. 尾形の目的の答えは何話で出ますか
A. 310話「祝福」です。勇作の幻に祝福された子だと告げられ、最期を迎えます。
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この記事を書いた人:カイ。読み終わったあとの「なんでここ、こう描いたんだろう」を、一人で考えています。 → 運営者情報
最終更新:2026年10月23日


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