- アイヌ文化をリアルに描写
- ゴールデンカムイは金色の神
- 熊のカムイが特別な存在
ゴールデンカムイには様々なアイヌの文化や信仰が登場します。
魅力的に映る描写の中には、私たちが忘れている大事な考え方が詰まっているのです。
ここでは、アシリパがよく使う言葉からアイヌの文化をご紹介しつつ、「ゴールデンカムイ」というタイトルに込められた意味を探っていきたいと思います。
目次
【ゴールデンカムイ】作者の綿密な取材で再現されたアイヌ文化
今週は休載なので【ゴールデンカムイ舞台裏:タシロ】
2巻第10話をはじめ、よく登場するタシロ(山刀)。
アシ(リ)パやキロランケが使うタシロの原型は、平取町立ニ風谷アイヌ文化博物館に展示されています。美しい彫り細工は一見の価値アリ! pic.twitter.com/1Qu4ArdYPB— 野田サトル作品公式『ドッグスレッド』『ゴールデンカムイ』 (@kamuy_official) April 21, 2016
ゴールデンカムイの魅力の一つが、アイヌの文化を知れること。
この作品の影響で、あまりアイヌを知らなかった人たちにも多く知れ渡ることとなりました。
説明文として補足されているのではなく物語の中に組み込まれているので、とても興味を持ちやすく自然と頭に入ってくるのが人気の理由です。
何気ない1ページ、1コマの中にも細かな描写されており、それがリアリティを生み物語に圧倒的な厚みを出しています。
それを作り出しているのが作者である野田サトル先生の緻密な取材。
野田先生は元々取材と勉強にたくさん時間をかける方だそうで、ゴールデンカムイを書くにあたっても自らアイヌの文化に触れたり、ジビエ料理を食べたり、様々な関係者にお話を聞いたり、取材中に出会ったことやたくさんの資料などが作品に存分に活かされているようです。
その膨大な知識の中で“明るく、面白く、強いアイヌ”が生き生きと描かれているのですから、興味を持たずにはいられませんよね。
主人公の杉元が初めて触れるアイヌ文化にいつもまっすぐ向き合っている姿が、アイヌと我々読者の距離をより縮めていてくれているのだと思います。
【ゴールデンカムイ】カムイは「神」という意味
次回「『ゴールデンカムイ』とアイヌ文化展」、東京で開催!
新年1/17(火)~19(木)に丸の内はKITTE、同月1/20(金)~26(木)に八重洲はアイヌ文化交流センターにて開催します。ぜひお越しください!
詳細はこちらです⇒https://t.co/OTLw5r5pL7 pic.twitter.com/tk7DztwqaQ— 野田サトル作品公式『ドッグスレッド』『ゴールデンカムイ』 (@kamuy_official) December 26, 2016
作品名にも入っている「カムイ」。
これはいわゆる神や霊のようなものです。
しかし多くの宗教で言うところの「神(万物創生的な圧倒的神感)」とは違い、アイヌの考えでのカムイとは、“世界はカムイと人間が支え合って作られている”つまり共に世界を作る対等な存在だと捉えられているのです。
神に祈り委ねるのではなく、神とともに生活を作るというのは、アイヌの強さが表れていてとても興味深い点ではないでしょうか。
【ゴールデンカムイ】ゴールデンカムイは英語とアイヌ語の造語
【✈️#Twitterで北海道旅行】
TVアニメ『ゴールデンカムイ』の背景美術を公開‼本日お届けするのは、アイヌコタンの風景!
コタンはアイヌ語で「村」を意味します。第三話ではアシ(リ)パのコタンを訪れました?#ゴールデンカムイ#ジェノスタジオ pic.twitter.com/1YusLS6agb— ジェノスタジオ (@geno_studio) August 29, 2020
「ゴールデンカムイ」という作品名は、「ゴールデン」という英語と、先述のアイヌ語の「カムイ」を合わせた造語のようです。
直訳すると“金色の神”でしょうか。
普通に考えればやはりこの作品の核となる“金塊”のことでしょうね。
【ゴールデンカムイ】全てに神が宿っているというアイヌの考え
【今夜 テレビ神奈川にて放送ッ!!】
TVアニメ『#ゴールデンカムイ』第一期
第二話「のっぺら坊」
6/21(火) 25:00~感謝を表すアイヌ語「ヒンナ」。
杉元(CV:小林親弘)と アシ(リ)パ(CV:白石晴香)の感謝の気持ちを込めた食事シーン、 是非ご覧くださいッ!!https://t.co/livNC0dmTC pic.twitter.com/Ytpqv6G4o6— TVアニメ『ゴールデンカムイ』公式 (@kamuy_anime) June 21, 2022
人間と共存しているカムイ。
アイヌの信仰では、動植物や自然、自然現象など人間の力の及ばないものや、服や食器など身の回りの役立つもの・生活に欠かせない道具など、ありとあらゆるものにカムイが宿っていると考えられています。
それらのカムイは時には恩恵を、時には厄災をもたらし、また人間はカムイをカムイ・モシリ(神々の国)へ送り返しながら感謝・畏怖し良い関係で共存しているのです。
だからこそ姉畑支遁がカムイを穢した際には人間に蝗害をもたらしました。
【ゴールデンカムイ】位が高いのは熊のキムンカムイ
【ゴールデンカムイ軒】6品「+1?」のシークレットメニュー
ご提供する6品に加え、ヒグマを使った「渋谷道玄坂ゴールデンカムイ軒オリジナルメニュー」もご用意しました!こちらは数に限りがありますため抽選となります。ぜひ2倍お楽しみに…! pic.twitter.com/N0ElAPWlmw— 野田サトル作品公式『ドッグスレッド』『ゴールデンカムイ』 (@kamuy_official) August 18, 2016
様々なものに宿るカムイの中でも、狩猟を生業としているアイヌにとって動物のカムイは非常に重要な神様です。
それらにもホロケウカムイ(狼)、レプンカムイ(シャチ)、カパチリカムイ(大鷲)、コタンコロカムイ(シマフクロウ)などたくさんのカムイが存在しています。
カムイの扱いは地域差があるようですが、主に動物のカムイの中で位が高いとされているのがキムンカムイ(熊)。
エゾヒグマが生息する北海道ならではとも言えますね。
【ゴールデンカムイ】欠かせない儀礼 イオマンテ
『儀礼:イオマンテ』
-宴の時間-
#金カム #イラスト pic.twitter.com/TdxG9gPaVO— ×̈兎野きなこ@へっぽこ絵描き (@kinakonoouti) February 18, 2024
そのキムンカムイの子熊を育てることは、アイヌにとって名誉な事となります。
なので狩りなどで母親のいなくなった小熊を保護した場合、1~2年村の檻で大切に育てます。
それから村をあげて盛大に神々の国へ送り返し、この世界が楽しい場所だとキムンカムイから他のカムイに伝えてもらうのです。
それがアイヌにとって欠かせない儀礼の一つ“イオマンテ”。
これによって、カムイたちが何度でも訪れて来てくれると考えられています。
【ゴールデンカムイ】我々が刻むもの チタタプ
【TVアニメ プレイバックッ!!】
第二十二話「新月の夜に」https://t.co/6nCBTVMtDl
⚠杉元・土方一行、皆でチタタプ
⚠土方の協力を得て、杉元一行、網走監獄へ潜入
⚠鶴見中尉率いる第七師団、網走監獄に襲来#ゴールデンカムイ
TVアニメ『ゴールデンカムイ』
本日12/24(月・祝)第二期最終話放送ッ!! pic.twitter.com/3XeDkCiCRu— TVアニメ『ゴールデンカムイ』公式 (@kamuy_anime) December 24, 2018
グルメ漫画としての魅力も持つゴールデンカムイでお馴染みとなっている言葉「チタタプ」。
〝我々が刻むもの〟と言う意味で、チタタプと言いながら食材を刃物でミンチにする調理法なのですが、その中にもアイヌのカムイに対する感謝が感じられます。
チタタプは獲物と一緒に脳みそや内臓や軟骨、あるいは肉を削ぐことが面倒なほど小さな動物であれば丸ごと叩くので、食べづらい部分も余すことなく食べることが出来ます。
効率よく食材すべてを食べられるという利点はもちろんですが、食材を無駄なくいただくことによってカムイを丁重に送り、またやって来てもらうという意味もあるのだと思います。
私たちも魚の骨やエビの尻尾を残している場合じゃないと思わされますね。
【ゴールデンカムイ】食事に感謝する言葉 ヒンナ
本日7月15日は #世界ありがとうの日 ですッ!!
TVアニメ『ゴールデンカムイ』でも登場するアイヌ語“ヒンナ”は感謝を表す言葉です。
アニメ第三十二話にて、アシ(リ)パたちがくじら汁を食べて、食事への感謝から“ヒンナ”と言うシーンをご紹介します!https://t.co/fvcnMzXFXj #ゴールデンカムイ pic.twitter.com/tTIRDfAhqt— TVアニメ『ゴールデンカムイ』公式 (@kamuy_anime) July 15, 2021
作中でよく使われている言葉が「ヒンナ」。
チタタプを入れたオハウなど、食事の際にいつも美味しそうにヒンナヒンナと言っているので「美味しい」という風に覚えがちですが、本来この言葉には「いただきます」や「ごちそうさま」のような、食事への感謝の意味が込められています。
ただ形式的にいただきますを言ってもそれはただの食事にすぎませんよね。
この食事をもたらしてくれた食材や調理道具や環境に感謝し食べれば、それは大切な美味しい食事になるのです。
そう考えれば「ヒンナ=美味しい」も間違いではなさそうですね。
【ゴールデンカムイ】みんな大好き オソマ
最新8巻、発売1週間前!
混戦必至な北の大地の金塊争奪戦、
合間に吹き抜けるは春の風。
杉元のオソマ大好きな
アシ(リ)パさんの笑顔も咲きこぼれます。
合戦激化・笑顔満開の8巻、8/19(金)発売です。
ぜひお手元にどうぞ! pic.twitter.com/c5JqRuWo6H— 野田サトル作品公式『ドッグスレッド』『ゴールデンカムイ』 (@kamuy_official) August 12, 2016
最後にご紹介するのは皆大好き「オソマ」。
これに関しては意味も何もただ“ウンコ”なんですけど、ゴールデンカムイの影響で「ヒンナ」と並び最も有名になったアイヌ語のひとつです。
アシリパが味噌をオソマと言うようになったせいで、ゴールデンカムイファンにとっては“ウンコ”とも“味噌”とも解釈できる言葉になってしまいました。
決して味噌をオソマと言ってはいけません。
まとめ
アイヌの文化や信仰を知ると、すべてのことが当たり前じゃないと思わされますよね。
私たちの行動によりカムイが訪れ恩恵を与えてくれたり逆に厄災をもたらしたり。
すべては神に与えられた必然のものではなく、自分たちも共にすべてを作っているのです。
それで言えばアイヌの埋蔵金と言われる金塊にはどんなカムイが宿っているのでしょうか。
作中から知れたアイヌの考えを受けるとそこにはやはり人側の在り方が大きく反映されるでしょうから、「ゴールデンカムイ」というタイトルには、杉元たちが身を投じているこの物語がただの金塊争奪戦ではないことを感じさせます。
当然誰が金塊を手にするかでカムイが世界に何をもたらすのかが全く違うと思いますので、それぞれが抱く大義と金塊に宿るカムイの繋がりを考えながら読んでいくのもまた楽しいですね。
- アイヌ文化を深く知れる作品
- カムイは共存の神の意義
- ゴールデンカムイは造語の意味
- イオマンテが重要な儀礼
- チタタプに感謝の思想が宿る
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