なぜソ連が存在するのか?
結論から言うと、作中にソ連についての直接の説明はありません。ただし84話でマキマが語った設定を置くと、答えが見えてきます。
チェンソーマンの舞台は1997年とされています。ところがソ連は現実では1991年に解体済みです。作中には、そのソ連からの刺客や、ソ連が作った「モルモット」が登場します。
この矛盾を考えるうえで、いちばん重要な場面が84話です。
この記事でわかること
- 84話でマキマが挙げた、消えた7つの名前
- 作中で語られていることと、読者の考察の境目
- なぜ1997年だと分かるのか
- 黒電話・フィアット500・シビックカントリーという手がかり
- ソ連の「モルモット」とは何か(レゼ)
先に結論だけ
| 時代設定 | 1997年 |
| 根拠 | 銃の悪魔の2度目の襲来を、作中が「9.12」と示している |
| なぜソ連がある? | 作中に説明はありません。84話の設定からの読みです |
| 84話の設定 | チェンソーマンが食べた悪魔は、その名前の存在がこの世から消える |
| 現実のソ連 | 1991年に解体 |
| ほかの手がかり | 黒電話・公衆電話・フィアット500・シビックカントリー |
84話でマキマが挙げた、消えた7つの名前
84話「地獄のヒーロー」で、マキマが岸辺に向かってある設定を明かします。単行本10巻に入っている場面です。
チェンソーマンが食べた悪魔は、その名前の存在がこの世から消えてしまうのです。
そのうえでマキマは、すでに消されたものの名前を7つ挙げます。
| 現実にあるもの | 作中だけの言葉 |
|---|---|
| ナチス | アーノロン症候群 |
| 第二次世界大戦 | 租唖 |
| 核兵器 | 比尾山大噴火 |
| エイズ株 | — |
マキマは「かつては存在し、その名を持つ悪魔と同様に恐れられた」と言い、そして続けます。
しかしそれらの名前を思い出せるのは、もう私しかいません。
この場面で岸辺は、核兵器のこともナチスのことも覚えていません。思い出せているのはマキマだけです。
ここから先は、作中に書かれていません
大事なところなので、はっきり分けて書きます。
| どこまでが作中か | 扱い |
|---|---|
| 食べられた悪魔は名前の存在が消える | 作中(84話・マキマ) |
| ナチスと第二次世界大戦が消された | 作中(84話・マキマ) |
| だからソ連が解体しなかった | 読者の考察。作中に説明はありません |
ソ連が残っている理由を語った台詞は、作中に見当たりません。ただ、第二次世界大戦という出来事そのものが消えている世界なら、その後の歴史が現実と同じ形になるほうがおかしいとは言えます。
僕はこう読む
この設定の恐ろしさは、読者にも影響が及ぶところだと思います。チェンソーマンが何かを食べると、それは「無かったこと」になる。誰も覚えていない。ということは、私たちが今この世界で当たり前だと思っている歴史も、すでに何かが抜けている可能性がある。ソ連が残っている作中世界を「おかしい」と感じるこちら側が、本当に正しいのかどうか。矛盾を設定ミスではなく武器に変えた——ここが藤本タツキ作品らしいところです。
ソ連の「モルモット」とは何か
作中のソ連は、名前だけの存在ではありません。はっきりした爪痕を残しています。
その一つが「モルモット」です。ソ連が、国に尽くす戦士を育てるために人体実験の要員として集めた、身寄りのない子供たちの呼び名でした。
その一人がレゼです。デンジの前に喫茶店の店員として現れ、爆弾の悪魔として襲いかかってくる人物になります。
- レゼ … ソ連の刺客。もとはモルモットの子供の一人
- トーリカ … ソ連からの刺客。師匠と狩りをして暮らしていた青年
- トーリカの師匠 … こちらはドイツから。正体は「真のサンタクロース」
- クァンシ … 中国からの賞金稼ぎ
ソ連は背景の設定ではなく、刺客を送り込んでくる現役の国として描かれています。だから「なぜ残っているのか」が気になるわけです。
なぜ1997年だと分かるのか
時代設定を確定させているのは、銃の悪魔です。
この作品でもっとも重要な悪魔と言える存在で、2度にわたって現れています。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 13年前の11月18日 | 銃の悪魔が最初に出現。7分間で120万人弱を殺害 |
| 9月12日 | 銃の悪魔が2度目の襲来。マキマが返り討ちにする |
作中が数字で示しているのは「13年前の11月18日」と「9.12」です。西暦そのものは台詞で言われていません。
それでも1997年と言われるのは、13話の回想に描かれたカレンダーから逆算できるためです。ここは読者が組み立てた年表であって、作中の明記ではありません。
通信手段が示す年代
もう一つの手がかりが電話です。
- 携帯電話が登場しない
- ポケベルもPHSも存在しない
- 早川家には黒電話が鳴り響いている
- コベニが公衆電話を探している
黒電話がまだ現役で、公衆電話を探す世界。ここから80年代から90年代だと絞れます。
コベニの愛車とシビックカントリー
車も年代を示しています。
新人デビルハンター・東山コベニの愛車は、ルパン三世で知られる2代目フィアット500です。
これだけならコベニの趣味という可能性もあります。ですが作中には「ホンダ・シビックカントリー」も登場します。
しかもいまではあまり見られないフェンダーミラーです。
2台とも古い車。個人の趣味では説明がつきません。世界そのものが古いということになります。
ダンスダンスマッシュルームの元ネタ
単行本10巻で、コベニが踊らされているゲームがあります。「ダンスダンスマッシュルーム」です。
元ネタは、一世を風靡した「ダンスダンスレボリューション」。
このゲームの登場は1998年です。
ここから、1997年から2000年くらいのイメージで作られていることが読み取れます。
僕はこう読む
年代の手がかりが、全部「持ち物」で示されているのが面白いところです。年号を説明する台詞はほとんどありません。黒電話、公衆電話、古い車、ゲームセンターの筐体。読者は生活の道具から年代を割り出すことになります。そしてその中に、ソ連という「あるはずのない道具」が一つだけ混ざっている。他が全部正確だからこそ、そこだけが浮く。矛盾を目立たせるために、周りを丁寧に作ったのだと思います。
まとめ
ソ連が残っている理由は、作中で語られていません。
手がかりになるのは、84話でマキマが岸辺に語った設定です。
- チェンソーマンが食べた悪魔は、その名前の存在がこの世から消える(単行本10巻)
- 挙がったのはナチス/第二次世界大戦/核兵器/エイズ株/アーノロン症候群/租唖/比尾山大噴火の7つ
- 思い出せるのはマキマだけ。岸辺は覚えていない
- 「だからソ連が解体しなかった」は読者の考察であって作中の説明ではない
- レゼは人体実験の要員「モルモット」の一人
僕はこう読む
この設定の恐ろしさは、読者にも影響が及ぶところだと思っています。
チェンソーマンが何かを食べると、それは「無かったこと」になり、誰も覚えていない。
つまり私たちが当たり前だと思っている歴史も、消された後の姿かもしれません。
年代の手がかりが全部「持ち物」で示されているのも面白いところです。黒電話、公衆電話、古い車、ゲームセンターの筐体。読者は生活の道具から年代を割り出すことになります。あの世界を単なる並行世界と読むか、何かを食べられたあとの世界と読むかで、ソ連の存在の意味が変わってきます。
——あなたはこの作品にソ連が残っていることを、単なる並行世界の設定だと思いますか。それとも、チェンソーマンが何かを食べたあとの世界だからだと思いますか。よければコメントで、どちらに近いか教えてください。
よくある質問
ソ連の存在は作中に説明がなく、84話の設定から読むしかありません。消された7つの名前から確認しておきます。
Q. チェンソーマンになぜソ連があるのですか?
A. 作中に直接の説明はありません。ただし84話でマキマが「チェンソーマンが食べた悪魔は、その名前の存在がこの世から消えてしまう」と語り、消えたものとして第二次世界大戦を挙げています。そこから、その後の歴史が現実と違う形になったと読むことができます。
Q. マキマはどの場面でその話をしていますか?
A. 84話「地獄のヒーロー」、単行本10巻です。相手は岸辺で、岸辺は核兵器もナチスも覚えていません。
Q. マキマが挙げた名前は何ですか?
A. ナチス、第二次世界大戦、アーノロン症候群、租唖、核兵器、エイズ株、比尾山大噴火の7つです。
Q. チェンソーマンの時代設定は何年ですか?
A. 1997年とされています。ただし作中で明記されているのは「13年前の11月18日」と「9.12」という数字までで、西暦は13話のカレンダー描写からの逆算です。
Q. ソ連の「モルモット」とは何ですか?
A. ソ連が、国に尽くす戦士を育てるために人体実験の要員として集めた、身寄りのない子供たちの呼び名です。レゼはその一人でした。
Q. 現実のソ連はいつ解体しましたか?
A. 1991年です。作中の1997年時点では、本来すでに存在しないはずです。
矛盾を設定の穴ではなく、武器のほうに変えて置いています
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最終更新:2026年9月6日


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